【八王子天狗祭クイックレポ】TOTALFAT 俺たちの大好きなパンクの過去・現在・未来
TOTALFAT
八王子天狗祭【天狗ステージ】 TOTALFAT
昨年からはガラリと顔ぶれが変わっている天狗ステージだが、主催者・グドモとともに2年連続出演となるのがTOTALFAT。彼らがグドモにとって決して欠くことのできない存在であることが、この事実からも伝わってくる。
初っ端、「夏のトカゲ」のイントロが鳴らされるとフロアには大きな円が生まれ、まだまだ元気いっぱいのパンクキッズによるサークルモッシュがスタート。フロア後方など完全に徒競走状態だ。間奏では恒例のタオル回しを煽ったり、パンクロックの枠を飛び越えた楽しみ方でフロアの注目をがっつり奪っていく。かつては正統派のメロディックパンクを鳴らしていた彼らだが、型にはまらない自由な表現を手に入れてからは水を得た魚のようにのびのびとステージを楽しんでいる。2曲目「PARTY PARTY」も同様、彼らオリジナルのパンクロックスタイルが眩しい。
TOTAL FAT
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「Revenge of Underdogs」ではさっきよりも大きな円を3つも作らせ、ハードコアパンクチューンに乗せ、一斉に左回りがスタート。Jose(Vo/G)が「みんなで歌おうか!」と呼びかけ、フロアを巻き込んでの大合唱となった「Place to Try」。サビでフロアが大きくうねる光景は圧巻だった。ここまでは卓越した技術と、ライブバンドらしいむき出しのテンションで突っ走ってきた4人だが、最後にShun(Vo/B)が盟友への想いをじっくりと語った。
TOTAL FAT
「(グドモは)人生で一番大事な友だちです。同じ高校に通ってたし、同じクラスになったやつもいる。俺たちの高校は教室が廊下とべランダでつながってて、休み時間になると将来バンドでああしてぇこうしてぇっていう話をしてました。“俺たちの街でフェスをやりたい”っていう話もしてました。……今、現実になってるよ!」
TOTAL FAT
彼は思い出話をしただけなんだけど、我々からするとまるで青春音楽映画のような内容だ。バンドって夢がある。それに比べて自分は……なんて己を悲観する必要はなかった。Shunはこう続けた。
「TOTALFATもグッドモーニングアメリカも歌い続けますよ。学校のベランダで話してたときから未来へのスパイラルは始まってたんだと思います。そのスパイラルにお前たちを巻き込んでいくからな!」
この言葉にグッとこないはずがない。バンドを、パンクロックを好きであることの喜びを、この場に居合わせた幸運を、ラストの「宴の合図」で名も知らぬ仲間たちと分かち合った観客の顔には、満面の笑みが浮かんでいた。
取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=佐藤 広理(@hilf_ntlo)
TOTAL FAT
1. 夏のトカゲ
2. PARTY PARTY
3. Highway Part2
4. X-stream
5. Revenge of Underdogs
6. Place to Try
7. 宴の合図