楠本桃子のゲームコラムvol.68 MMORPGを舞台にした色褪せぬ名作『.hack』は現代の日本を予言した?

コラム
アニメ/ゲーム
2018.3.10
 ※公式サイトより引用

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今回紹介するゲームは『.hack』(ドットハック)!

サイバーコネクトツーが制作した『.hack』シリーズは、1stシーズンである『.hack』、2stシーズンである『.hack//G.U.』、3stシリーズである『.hack//Link』により構成されています。それぞれのシリーズは独立したストーリーとなっていますが、世界観は共通。

今回は.hackのゲームシリーズ一作目、1stシーズンである
『.hack//感染拡大 Vol.1』
『.hack//悪性変異 Vol.2』
『.hack//侵食汚染 Vol.3』
『.hack//絶対包囲 Vol.4』
について主に記載しています。

vol1〜vol4は、物語が完全に繋がっており、全てをクリアしないと物語の全容はわかりません。それぞれ独立したディスクとして発売されているので、今からプレイする際には全てのディスクを購入してからプレイすることをお勧めします! ゲームクリアをしたデータがあれば、それぞれのバージョンにクリア時のデータも引き継ぐことができるので、ひとつずつ進めて行きましょう。
 

【まるで現代の日本を予言!?  MMORPG“The World”と現実世界】

※公式サイトより引用

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本作の舞台となるのは、架空のMMORPG「The World」の世界。MMORPGとは、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲームの略で「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」と訳されています。

プレイヤーは主人公の“カイト”となり、The Worldを冒険します。カイト自身もMMORPGのプレイヤーであり、カイトの物語を進めるプレイヤーもまた、ゲームのプレイヤーというメタ的要素が含まれる本作。メタ要素は『.hack』全体に散りばめられており、それは現実世界とリンクしているかの様にリアル。

例えば、The Worldからログアウトをすれば、そこは主人公のパソコンのデスクトップ。BBSやメール、『.hack』の世界で起こっているニュースを閲覧することができます。BBSやメールでのやり取りは、実際に生きている他プレイヤーと行なっているかのような反応があるため、思わず夢中になってしまいます。

ニュースも作り込まれていて、2018年である現代の現実に近しいニュースが流れて来ることも。発売当時の2002年に予想されていた未来技術との答え合わせをすることも、2018年の現代に『.hack』をプレイする面白さのひとつとなっています。『.hack』の世界で起きている出来事は、今この時代だからこそ共感できる、というものが多く、発売当時に遊んだプレイヤーにも是非もう一度プレイしてもらいたいな、と感じました。
 

【エリアワードで生成される無限の世界】

※公式サイトより引用

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本作は“エリアワード”というシステムを使用して冒険するステージを生成します。エリアワードは3つの単語を使用して作成。どんな単語を使用したかにより、冒険可能なステージが変化します。単語の組み合わせにより、出現するモンスターのレベルや属性、天候やフィールドが決定されるため、様々な世界を楽しむことが可能! 自分で自由に組み合わせができるため、ステージの種類は無限。レベル上げにも、レアアイテム集めにも、思うままのステージを作り上げることができます。

物語のキーとなるステージやイベントステージは、特別なエリアワードの組み合わせが必要。そういった特別ステージへ向かうためのワードはBBSやメールで入手することができるため、ひとつずつしらみ潰しに探し回らなくても良い親切設計になっています。

冒険するステージでは、モンスターも出現。アクション要素とコマンド入力が融合したバトルを駆使して撃破しましょう。スキルやアイテムを使用しながら戦うオーソドックスなバトルでありながら、本作特有のシステムとして“データドレイン”というものがあります。データドレインは、モンスターやバグのデータを書き換えて弱体化をする、という本作の世界観にマッチした攻撃方法となっています。

データドレインを行なってモンスターを撃破すると装備品やアイテムが手に入りますが、使用するごとに“侵食ゲージ”が増加。侵食ゲージが一定以上増加してしまうと、力が暴発してしまいゲームオーバーになってしまったり、味方に不利な状態になってしまったりするので注意が必要です。主人公がモンスターにとどめを刺すことで、侵食ゲージを下げることができるため、ゲージの調整を行いつつ戦うことが必要となってきます。時には暴発のスリルを楽しみながら物語を進めていくことも本作の味わい深いスパイスとなっています。
 

【限りなくMMORPGに近いオフラインゲーム】

※公式サイトより引用

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本作ではMMORPGで使われる用語が数多く出てくるため、普段からMMORPGをプレイしているプレイヤーにはニヤリとする場面も。ネットゲームあるあるネタも要所に盛り込まれ、オタク心をくすぐります。BBSでのやり取りを眺めたり、街中のPCと会話をしたりするだけで、まるでMMORPGを実際にプレイしているかの様な感覚になります。

ネットゲームはやったことないけれど、興味がある、という方の予行練習用としてもプレイしやすいゲームかもしれません。もちろん、専門的な用語もプレイ中に解説が入るので、一切ネットゲームに触れたことがない方でも理解はしやすくなっています。

また、クリア後には“パロディモード”というオマケ要素も充実。本編のストーリーが全てギャグ調になったオマケモードであり、本編と同じくフルボイスでストーリーが進みます。クリア後のお楽しみ要素ですが、大ボリュームの面白さなので、本編クリア後には是非パロディモードでひと笑いをしてみてください!!
 

【メディアミックスで様々な層に愛された『.hack』という作品】

※公式サイトより引用

※公式サイトより引用

普段ゲームをプレイしない、という方でも『.hack』という名前は聞いたことがある、という方は多いと思います。『.hack』シリーズは、ゲームだけでなくアニメ、映画、漫画、小説、と様々な媒体でメディアミックスされている作品であり、その名前を目にする機会も多いタイトルです。それぞれの媒体がそれぞれの『.hack』を描いているので、『.hack』の全てを理解したいなら様々なコンテンツに触れることとなるでしょう。

ゲーマーでない層にも愛された本作は、今もなお人気シリーズとしてたくさんのファンに支えられています。本作の世界観や詳細なストーリー設定は、ついつい没頭してしまう面白さ。当時は珍しかったMMORPGというテーマも、今ではとても身近なものです。『.hack』が描いた未来に生きていることを噛み締め、今こそ改めてプレイしてみてはいかがでしょうか。

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