中川晃教、春のシンフォニック・コンサートツアー2018『Spring has Come』~大阪公演開幕レポート!

レポート
舞台
2018.4.6
中川晃教

中川晃教

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さまざまな感情を呼び覚ます、
そういう声の力、歌の力をお届けできたらーーーーーー。

そんな思いを胸に今春、中川晃教が待望のシンフォニックコンサート2018『Spring has Come』を全国6ヵ所で開催する。2016年、主演ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞をダブル受賞。年々存在感を増す人気実力派の舞台俳優であり、歌手活動が17年目に突入したシンガーソングライターでもある。その歌声は一度でも耳にすれば「いつまでも聴いていたい」と思わずにはいられない。中毒性に満ちた唯一無二のハイトーン・ボイスが持ち味だ。4月1日、ツアーの先陣を切りザ・シンフォニーホールで開幕した大阪公演の模様をレポートする。

■歌手・中川晃教の魅力全開、室内管弦楽団との試みに満ちた全13曲

今回は、約20人編成の音屋室内管弦楽団との共演で実現したクラシックとポップス、そして中川晃教の“声”がさまざまに響き合う、シンフォニックな試みに満ちたプログラムだ。前後編を含め約2時間で全13曲が披露された。中川晃教の新旧オリジナルソングから、彼の代名詞ともいえるミュージカル作品より忘れがたいナンバーの数々まで、選曲や構成は会場によって微妙に変化をつけるという。大阪公演は世界有数のオーケストラを迎えるザ・シンフォニーホールが会場とあって、冒頭は優れた音響と舞台上部に据えられた美しいパイプオルガンを生かした選曲に。英語歌詞による「オペラ座の怪人」からコンサートがスタートした。聞き覚えのあるフレーズがパイプオルガンの重奏的な音色で奏でられると、一気に会場が幻想的な雰囲気に包まれる。中川は時に迫力ある低音を響かせ、時に台詞のように歌詞を叫びながら、オペラ座に棲むという怪人の悲哀を歌で表現。オープニングから圧巻の歌声に引き込まれた。

オリジナル楽曲では『Spring has Come』のコンサートタイトルにふさわしい清涼感溢れるナンバーから、室内楽用にアレンジしたことで天性のリズム感とファンキーな歌声が一層際立つようなアーティスティックなナンバー、そして16歳の少年・星野鉄郎役での主演が決定している新作ミュージカル『銀河鉄道999』から、本作のために自ら書き下ろした最新テーマ曲「銀河鉄道999」~GALAXY OPERA~の初披露まで多彩に展開。とりわけ印象的だったのが初期のラブソングだ。当時は大人びた世界観を歌う姿が“早熟の天才”を思わせたが、経験を積み35歳となった今では深みのある歌声とともに、等身大の趣を持って歌世界が伝わってくる。早くからのファンやアルバムで耳馴染んできたという方は、彼の豊かな成長ぶりやライブならではの醍醐味も感じられるはずだ。

■超絶技巧の歌声にオケも称賛、当たり役のナンバーも生披露!

真骨頂はミュージカルナンバーの数々だろう。期待を裏切らない選曲と期待以上の生歌に歓喜する観客たち。歌い終わるなり感動と興奮を伝えようと客席から沸き起こった拍手と歓声はしばらく鳴りやまなかったほど。中川本人も「どうだ!って気持ちになるよね」とユーモアたっぷりに応え、さまざまな感情を呼び覚ます天性の歌声を証明してみせた。

楽曲の合間には、作品に込めた想いや、近年旅した海外でのハプニングエピソードなどを愛嬌たっぷりに語る。真面目でスマート、それでいてどこか天然さを感じさせる、楽曲にも通じるピュアな素顔が垣間見れるのもソロコンサートならではの楽しみのひとつだろう。クラシックとポップスを掛け合わせる試み=“ポップシック”という造語を生み出し、アルバムを通じて実践する中川晃教。高音から低音まで、囁き、叫び、艶やかに、情熱的にと楽曲ごとに声色を変化させる姿は、まるで楽器を操る奏者のよう。室内管弦楽団との愛称も抜群で、その超絶技巧ぶりには団員らも幾度も足を踏み鳴らし、称賛を贈っていた。

オリジナリティ溢れるコンサートは最後の最後に、これ以上ない演出で締め括られた。いまあるすべてを出しきる彼の誠実さに触れ、感動もひとしお。今後はどんな歌世界へと誘ってくれるのか。街路に咲き誇る桜のように、充足感に満ちた帰り道、早くも次のコンサートが待ち遠しくなった。

取材・文=石橋法子

公演情報

中川晃教Symphonic Concert 2018『Spring has Come』
■出演:中川晃教、音屋室内管弦楽団

 
<大阪公演>(終了)
【日時】2018年4月1日(日) 開場13時 開演14時
【会場】ザ・シンフォニーホール
【料金】SS席 10,000円(サイン入りパンフレット付) S席 8,000円 A席 7,000円(全席指定/税込)

 
<新潟公演>
【日時】2018年4月8日(日) 開場13時30分 開演14時
【会場】りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
【料金】7,000円(全席指定/税込)

 
<東京公演>
【日時】2018年4月15日(日)開場13時 開演14時
【会場】サントリーホール
【料金】SS席 12,000円(サイン入りパンフレット付) S:10,000円 A:8,000円(全席指定/税込)

 
【日時】2018年4月21日(土)開場13時30分 開演14時
【会場】板橋区立文化会館
【料金】S:6,000円 A:5,500円(全席指定/税込)

 
<千葉公演>
【日時】2018年4月22日(日)開場13時30分 開演14時
【会場】市川市文化会館
【料金】S:7,000円 A:6,000円(全席指定/税込)

 
<三重公演>
【日時】2018年4月29日(日・祝)開場13:00 開演 14:00
【会場】鈴鹿市民会館
【料金】5,000円(全席指定/税込)

■公式サイト:http://www.akinori.info/​
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