プロも注目の選手が神宮に集結! 『東京六大学野球 春季リーグ』が開催中

インタビュー
スポーツ
2018.4.20
まさにプロ予備軍の宝庫ともいえる『東京六大学野球』。次のスターを見つけるのも楽しみの一つだ

まさにプロ予備軍の宝庫ともいえる『東京六大学野球』。次のスターを見つけるのも楽しみの一つだ

『第90回記念選抜高等学校野球大会』(センバツ)は下馬評どおり、大阪桐蔭高校(大阪府)の優勝で13日間の熱戦が幕を閉じた。今年のセンバツは打撃戦、逆転劇が多く、多くの野球ファンを魅了した。この高校野球で活躍した選手は、ドラフトでプロ野球入りする人もいれば、大学に進級して文武両道のごとく、さまざまな経験を積む者もいる。

その大学野球でもっとも注目を集め、高レベルの戦いを繰り広げる試合の一つが『東京六大学野球』だ。昨年、「ハンカチ以来、パッとしないわね、早稲田さん」「ビリギャルって言葉がお似合いよ、慶応さん」といった刺激的なポスターが話題を呼んだ“BIG6”だが、もちろんポスターだけでなく、実戦も盛り上がるのは必至。昨年、東京大学出身として、13年ぶりにプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズに(7位)指名を受けた宮台康平投手など、6チームすべてがプロ即戦力になり得る人材の宝庫でもある。今年の春季リーグの話題、注目選手をここで紹介したい。

大学別に見ると、過去優勝回数のトップは早稲田大学の45回で、法政大学が44回と続く。3位は明治大学の39回で、慶応義塾大学は35回となっているが、ここから少し空いて立教大学は13回、東京大学はまだ優勝の美酒を味わっていない。

この10年間の優勝回数を見てみると、1位は明治大学の8回(春3・秋5)、2位は早稲田大学の5回(春2・秋3)、3位が慶応義塾大学の4回(春3・秋1)、4位が法政大学の2回(春1・秋1)、立教大学の1回(春1・秋0)となっている。こうしてみると、最近では明治、早稲田、慶応の3校を軸に、法政と立教が絡んでいる構図に見えるが、昨年の春季リーグで18年ぶりの優勝を果たした立教が力を付けており、まさに混沌とした戦国時代に突入している状況。今年の大会は見どころが多いと言える。

まず、昨年の春季大会で優勝し、その勢いのまま全国大学選手権でも1958年以来、59年ぶりの優勝を飾った立教大学に注目したい。春季大会でベストナインを獲得した田中誠也投手(大阪桐蔭)だけでなく、大学選手権でも先発として貢献した手塚周投手(福島)や中川颯投手(桐光学園)と、投手陣が強い。特に手塚はMAX145キロの速球とスプリットが持ち味で、今大会でも活躍が見込まれる。

面白いのは中川だ。MAX134キロと決して速球派ではないが、独特のアンダースローは球が浮き上がり、シンカーも持っているため、他校のバッターはなかなか攻略しにくい。同大会でも3試合に救援し、12回無失点で2勝を挙げ、見事最優秀投手に選ばれた。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平ではないが、中川も投げるだけでなく、打撃も上手い面白い選手で、プロのスカウトも虎視眈々と狙っている選手の一人だ。

打と守備で光るのは捕手の藤野隼大選手(川越東)。プロのキャッチャーでも2塁送球時間は2秒かかるが、藤野は1.9秒とかなりの強肩の持ち主だ。それでいてホームランも打てる強打者というオールマイティーぶりが魅力。昨年の秋季大会でもベストナイン(捕手)に選ばれている。立教大学は2008年度にアスリート選抜入試を始め、その結果が実り始めているのかもしれない。

昨年の秋季大会優勝の慶応義塾大学も、速球派の投手陣を揃えている。関根智輝投手(都立城東)は、春季大会では開幕投手に選ばれた。183センチの身長から小気味のいいキレのあるMAX145キロの速球を繰り出す。沈むツーシームや縦に変化するスライダーも有効で、昨年は5勝をあげている。

MAX148キロを誇る佐藤宏樹投手(大館鳳鳴)も注目だ。昨年の秋季大会では計26回投げて42奪三振と実力は折り紙付き。防御率1.03は堂々のリーグ1位で最優秀賞を獲得。プロが熱視線を送る一人だ。昨年、左肘の故障もあったが、この春に合わせて調整してきているはずで、今回も暴れてくれそうだ。

慶応義塾大学の不安点は、昨年の秋季大会のけん引役だった4年生が多く抜けたこと。天野康大(智辯和歌山)、瀬尾翼(早稲田佐賀)、清水翔太(桐蔭学園)、倉田直幸(浜松西)が中軸で、8番照屋塁(沖縄尚学)は主将としてチームをけん引してきたが、いずれも卒業。新主将に選ばれた河合大樹(関西学院)がどうチームをまとめるか注目したい。

昨年の秋季大会で、70年ぶり2度目というまさかの最下位(東大と同率)に沈んだ早稲田大学。優勝回数はトップの45回を誇り、3年前の2015年は春秋連覇で、大学日本一にも輝いた。その栄光を取り戻すべく、2018年大会に臨む。2013年春のセンバツ優勝投手となった浦和学院の小島和哉が主将となって早稲田復活を導く。MAX145キロの速球に加え、カットボール、スライダー、チェンジアップと球種も豊富で、投手としても主将としてもチームのけん引役になれるかが早稲田再興のカギとなるだろう。

2009年以来、春季リーグを制していない法政大学は、そろそろの“春の到来”を待ち望んでいるはずだ。しかし、秋季リーグも2012年の優勝が最後で、最近はなかなか上位に食い込めていない。激戦の神奈川地区の法政二高出身だけあって甲子園経験はないが、184センチの長身で50mを6秒で駆け抜ける俊足の持ち主である主将・向山基生外野手がチームを引っ張る。打撃もリーグ通算3割6分3厘と申し分ない。

投手に目を向けるとMAX150キロを投げる菅野秀哉(小高工)がいる。昨年の同大会で最優秀防御率(1.39)を獲得し、年を追うごとに成長しているプロも注視している有望株だ。ストレートに加え、縦横のスライダー、フォーク、カーブとこちらも球種が豊富で、昨年の秋季リーグ5勝の調子が続けば、法政復活のキーマンになる気がする。

昨年の秋季リーグでは慶応が早稲田を下して優勝を飾ったが、ここで慶応が負けていれば明治大学の優勝だった。明治大学からはベストナインに齊藤大将(投手・桐蔭学園)、渡辺佳明(3塁手・横浜)、竹村春樹(遊撃手・浦和学院)、逢澤崚介(外野手・関西)と最多の4人選ばれている。優勝に近いチームの一つと言える。

ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団した斎藤と、現在はJR東海でプレーする竹村が卒業し、新しくチーム編成を行った。大阪の履正社では1年生からレギュラー入りした吉田有輝はプロ注目の逸材。センバツ通算で4割2分9厘という高打率を残し、50m5秒9という瞬足も魅力的。174センチ・73キロと決して恵まれた体ではないが、走攻守揃ったオールマイティーな選手で、今回ベストナイン入りを目指す。

東京大学は昨年の秋季リーグで早稲田と同率で5位になったが、“最下位”という汚名からは抜け出せなかった。狙うは“最下位脱出”だ。宮台康平投手(現・北海道日本ハムファイターズ)が抜けた穴を総力戦で補う。とは言え、その秋季リーグの成績は5位とは思えないほど、内容のある結果を残した。法政とは2試合戦って9対2、8対7と2連勝。優勝した慶応戦でも5対2と先勝したが、あとの2戦で1対4、10対13と惜敗。ただ、2位だった明治との2戦は4対5、3対6と善戦した。

こうしてみると飛びぬけているチームはない。それよりも各チームの目標や、ドラフト候補の活躍、東大の戦況いかんで順位の変動もあり得るため、各試合がすべて見どころになる。なお、『東京六大学野球2018 春季リーグ』の選抜メンバーは、7月6日(~15日)に行われる『世界大学野球選手権大会』(台湾・嘉義)の日本代表として出場することも決まっている。

高校野球で活躍した各選手や、今後の日本代表チームへの選抜など、今から注目したい選手が目白押し。神宮球場という観戦立地の良さもあり、『東京六大学野球2018 春季リーグ』は次の日本代表、プロ野球選手を探す良いチャンスでもある。プロ野球ファンもアマチュア野球ファンも必見の『東京六大学野球2018 春季リーグ』は、6月3日(日)まで開催中だ。

イベント情報

『東京六大学野球2018 春季リーグ​』

 日時:4月14日(土)~6月3日(日) ※開会式は4月14日の10:15から
 場所:明治神宮球場(東京都新宿区)
 :特別内野席1,500円、内野席1,300円、外野席800円ほか

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