KEYTALKの素顔に迫る・第5回「八木優樹編」

インタビュー
音楽
2015.10.19
八木優樹

八木優樹

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5回に分けて、メンバー全員→個人で公開してきたKEYTALKのインタビュー連載もいよいよ最終回だ。トリを飾っていただくのは、KEYTALKのノリや踊れる要素といったストロングポイントを担うドラマー・八木優樹。インタビュー中には、全員揃った場とはひと味違う真摯な一面を覗かせたかと思いきや、そのことを伝えた瞬間にふざけてはぐらかす、そんなフワッとした魅力をたくさん見せてくれた。八木優樹が、バンドを始める前のことから憧れたドラマー、メンバーへの想いまで語ったインタビュー、ついに公開である。


――次の方どうぞ。

「失礼します!」

――この個人面接……じゃなくてソロインタビュー、面白いです(笑)。それぞれ、ミュージシャンになったきっかけも音楽の志向もかなり違っていて、そこがすごく興味深くて。

「全然違いますよね」

――八木くんは、もともと打楽器から始めた人ですか。

「最初は、ちっちゃい頃にバイオリンをやってました」

――おぼっちゃまじゃないですか。

「そうなんです。……じゃなくて(笑)。親がクラシックが好きで、ピアノと歌とトランペットをやっていて。たぶん子供の駄々だったと思うんですけど、“バイオリン買って”っておねだりして、高校生までやってました。ずっと触ってないんで、今弾けるかどうかはわからないですけど、一応譜面は読めたりします」

――そんな少年がなぜバンドマンになってしまったんでしょう。

「なんでですかね?  高校では野球をやるつもりだったんですけど、希望の高校に行けなくて、武正と同じ高校に入って。クラスで仲良くなった子に“軽音楽部を見に行こう”と言われて、新歓ライブを見に行ったのがきっかけですね。そこで聴いたエレキギターの生音がすごくカッコよく感じて、俺もギターやりたいと思ったのが、バンドを始めるきっかけです」

――それまではロックとか、あんまり聴いていなかった?

「バンドとか、そういうことを意識して聴いたことはなかったです。でもDragon Ash、BUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとか聴いてました」

――新歓ライブで衝撃を受けたのは、たぶん何かのコピーバンドですよね。

「そうですね。GOING STEADYとかACIDMANとかだった気がします。それで軽音楽部に入ろうと思って、ギターを触ってみたんですけど、これは俺には無理だと思って。マジで難しいなと思ったんですよ。音を出すのが難しいなと」

――バイオリンが弾けるなら、ギターも簡単そうな気もしますが。

「確かに、できそうですよね。僕も、弦楽器だし大丈夫かなと思ったんですけど、やっぱり無理で。それで一通り楽器を触って、ドラムが一番音が出る楽器だなと」

――そこで初めてスティックを持った?

「そうです。小学校の音楽の授業で持つ以外では初めてでした」

――そこからはドラマー一直線ですか。

「そうですね。ドラムはめちゃめちゃ練習しました。武正と一緒に、アジカンの『君繋ファイブエム』のスコアを買ってコピーしてました。武正と割り勘で買って……僕がまだ持ってるんですけど(笑)。楽譜は読めたんで、スコアと音の違いを聴いて、“なんでこういう音にならないんだろう?”って考えて、だんだん耳コピもできるようになってきて。一時期は、ドラム以外のことはしたくないぐらいでしたね。実際してなかったんですけど」

――そもそも、武正くんと出会ったのは?

「その高校の軽音部が変わったシステムで、バンドマスターが7人ぐらいいて、ドラフトみたいな感じで一人ずつ選んで行くんです。そこでたまたま武正と同じバンドになって、二人で音楽の話をするようになったのが出会いです。そのバンドは文化祭に向けて動いていて、曲は一人1曲好きな曲を持ってくる感じだったので、もっとほかの曲もやってみたいと思って、“二人でスタジオに入って遊ぼう”というのが最初のきっかけだった気がします。二人でスタジオに入って、曲をコピーして、“ベースとボーカルがほしいよね”ということになって組んだのが、KEYTALKの前身バンドです」

――そして義勝くんと知り合って、大学に進むと巨匠(寺中)が入って来て。その頃はもう、プロになる気満々ですか。

「そうですね。僕は高1の頃からプロになりたいと思っていたので」

――新歓ライブでエレキの音を聴いてびっくりしたばかりの少年が。

「アホですね(笑)。でも、なれると思ったんでしょうね。……思ったのかな?  どういうつもりだったんだろう。ただ“ドラムがすごくうまくなりたい”と思ってましたね。大学も音楽大学に決めて、興味のあったジャズの勉強をして。でも大学は、自分のドラム人生の中でも結構伸び悩んだ時期で」

――それはなぜ?

「始め立てって、伸びるスピードが速いじゃないですか。高校3年間はそれで良かったんですよ。でも大学に入っていろんなバンドをやるようになって。曲をめっちゃ覚えるんですけど、肝心の基礎を練習する時間がなくて、変な癖がいっぱいついちゃった時期なんです。学校ではジャズをやってるし、今思うとキャパ・オーバー気味だったのかな。でもKEYTALKでCDを出すタイミングで、ほかのバンドは全部やめました」

――それで余計なことを考えなくなった。

「そうかもしれない。曲を覚えるスピードがめっちゃ上がったのは良かったです。大学時代は毎日スタジオかライブがあって、金銭的にもつらかったですね(笑)」

――自分のことを、どんなタイプのドラマーだと思ってますか。テクニシャンとか、パワー系とか。

「ドラムのタイプ的には、けっこうキッチリしてると思います。たとえばtoeの柏倉(隆史)さんは、めちゃめちゃ感性タイプなのかなと思うんですよ。僕、柏倉さんのドラムがめっちゃ好きで、柏倉さんになりたかった時期もあったんですけど、たぶん自分のタイプではないんですよ。僕はちゃんと数字を理解して、音をコントロールしないと駄目なタイプなのかなって最近思ってます。遊びがないんですよ。ドラムをプレーする時は真面目になっちゃうので、それが良さでもあるし、今後の課題でもあるかなと思います。……どういうタイプに見えますか?」

――キッチリしたタイプだとは思ってました。やんちゃな感じにも見えるけど、たとえば四つ打ちのキープの仕方とか、ものすごく丁寧だし。

「ああ~。確かにKEYTALKは、スクエアな楽曲が多いですからね」

――しかも速いし。余計なオカズとか入れてたら置いてかれるみたいな(笑)。

「余計なことをするにはスキルがいるので。速いとなおさらですよね」

――将来の理想のドラマー像はありますか。

「理想としてるのは、ある程度は原型がありつつ、その場の気持ちでプレーするのがいいなと思うんですよ。武正はまさにそのタイプで、決めてないところがいっぱいあって、日によって変わってくるところがあって。そういうジャズの即興性みたいなのが僕は好きで、そういうことができるようになりたいかな。ロックバンドだとなかなか難しいかもしれないですけど」

――自分を、根っからのバンドマンだと思いますか。一人でステージの前には立てないというか。

「僕はそうだと思います。バンドのチーム感にカッコ良さを感じるので、ソロ・アーティストよりもバンドのほうが好きなことが多いです。たぶん泥臭いものが好きなんですよね」

――では、八木くんにとってKEYTALKとは?

「今の僕の中心部分ですかね。全部KEYTALKありきで、ずっと動いてるので。“この曲はKEYTALKだったらこういうふうにできる”とか、音楽を聴く時にも無意識にそういう聴き方をしちゃうし。中心ですね。僕、普段はだらしないんですよ。何でもすぐにあきらめちゃうタイプなんですけど、バンドってお互いのリスペクトがないと絶対に成り立たないと思うんですね。それか、お金か(笑)」

――あはは。まあそうですね。

「そんな中で、メンバーに対しても年々“こいつらすげぇ”と思うようになっているので。前からすげぇとは思ってたんですけど、“これは負けられない”と思うので、そういう原動力にもなってます。みんなが頑張ってるから俺も頑張れるんだと思います」


撮影=風間大洋 インタビュー=宮本英夫


 
リリース情報
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