MACHINE HEAD(マシーン・ヘッド)ジャパンツアーレポート 歓声に埋め尽くされた熱狂の2時間45分

レポート
音楽
2018.7.10
MACHINE HEAD

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MACHINE HEAD Catharsis Japan Tour 2018 2018.07.02 渋谷TSUTAYA O-EAST

「マシーン・ファッキン・ヘッドー!」、「マシーン・ファッキン・ヘッドー!」、「マシーン・ファッキン・ヘッドー!」とライヴ中の曲間には怒号に近い野太い歓声がひっきりなしに飛び交う。バンドの演奏中はもちろんのこと、マシーン・ヘッドがステージに立っている間は会場に静寂が訪れる余地は皆無。トータル・タイム2時間45分(!)に及ぶ長尺ライヴは、ずっと異様なテンションをキープしたまま終焉を迎えたのだから。彼らの来日公演を日本のファンがどれだけ渇望していたかがわかるだろう。

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ニュー・アルバム『CATHARSIS』を引っ提げた今回の来日ツアーは東名阪に加え、広島、福岡を含む全5カ所。そのツアー初日にあたる東京・TSUTAYA O-EAST公演は、黒ずくめのメタルTシャツを着込んだ気合いの入った観客でビッシリと埋め尽くされていた。開演前BGMにはミューズ、プロング、ラム・オブ・ゴッド、デフトーンズ、スーサイド・サイレンスなどが場内に流れ、さらにブラック・サバスの「Sweet Leaf」、クヴァラータクの「Blodtφrst」、ビザンチンの「Justicia」、メタリカの「Sad But True」、オジー・オズボーンの6分越えの「Diary Of A Madman」もフル尺で流れた後、開演19時を大幅に過ぎ、19時28分にようやく暗転。フィル・デンメル(G)、ジャレッド・マクエイカーン(B)、デイヴ・マクレイン(Dr)が揃い、「トウキョウー!」とロブ・フリン(Vo/G)が挨拶すると、「Imperium」で本編開始。ミドルテンポで迫る重厚な曲調だが、演奏のタメや呼吸からも並々ならぬ気迫が立ち昇る。聴く者にある種の緊張感を強いる風格漂う音色に背筋がビシッと正される思いだ。それから新作の「Volatile」が披露されると、粘着質の凄まじいグルーヴで襲いかかり、サビは爽快なまでにキャッチーに突き抜け、観客もメロイック・サインを掲げて大声で歌い上げていた。

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「Now We Die」に入ると、フロアはさらにぐちゃぐちゃに乱れる騒ぎっぷり。ロブは右手を上下に振って、観客との一体感を積極的に図り、フィル〜ロブとギター・ソロを繋ぐ流れも良かった。ド頭から激しいサークル・モッシュを巻き起こした「Beautiful Mourning」では「エブリバディ、シンギン!」とロブは煽りまくり、とにかくフロアを意識して観客を盛り上げる手腕はさすが。

3rdアルバム『THE BURNING RED』から「The Blood,The Sweat,The Tears」が始まるや会場も大興奮。この時期にラップ・ヴォーカルを取り入れたロブだが、言葉を直情的に吐き出す歌い回しはパワフル度に拍車がかかっているではないか。新作収録の「Kaleidoscope」に移ると、疾走感抜群の曲調も相まって、激しいサークル・モッシュも勃発。

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もの悲しさ漂うイントロを経て、ここで飛び出したのは10分台の「Clenching The Fists Of Dissent」だ。ヘヴィなリフで攻めつつ、緩急のスイッチングを効かせた曲展開も効果的で、「ファイト!」の合唱パートではひときわ大きなシンガロングを誘発。フィルのギター・ソロを挟んだ後、ロブは「ジャパン・ツアー初日、3年ぶりだな。95年に1stアルバム『BURN MY EYES』のタイミングで初来日した・・・」などと当時を懐かしく振り返っていた。もちろん英語で滔々と語りかけてくるのだが、語り口がゆっくりなので聞き取りやすく、そこにもロブの人懐っこい性格が滲み出ていた。

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神聖なイントロを経て、新作の表題曲「Catharsis」がここでプレイ。スケールの大きな歌メロを会場いっぱいに響かせた後、オールドスクール・ナンバーが2連発続く。そう、再び『THE BURNING RED』から「From This Day」、『THE MORE THINGS CHANGE…』から「Ten Ton Hammer」が炸裂! 前者はロブがツンツンヘアーでニューメタルの影響大だったMVが微笑ましくもあり、後者は大地を揺さぶる激重グルーヴで苛烈に攻め立て、フロアは暴動寸前の最高潮の盛り上がり。もう最高過ぎるじゃないか。

そして、16年にシングルでカットされたものの新作に未収録だった「Is There Anybody Out There?」もセット・リストに織り込み、この曲もライヴで抜群に映えていた。直情的なリフにこれ以上なくキャッチーなメロディが融合し、シンセを効果的に活かした深淵なムードも曲の物語性を高め、改めて名曲だなと痛感した。それから「Locust」、「Beyond The Pale」と続けた後、ドラム・ソロを入れ、そろそろショウも後半戦に突入だ。

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ロブがしめきりに「サークル・ピット!」と捲し立てる「Killers&Kings」を経て、記念すべき1stアルバムの冒頭を飾る名曲「Davidian」を披露。イントロが始まった瞬間に興奮はマックスに到達し、僕も身を乗り出してヘッド・バンギングに興じた。94年当時に聴いた衝撃度は24年の時を経ても、全く錆び付いていない。会場のカオティックな盛り上がりもこの曲の凄さを物語り、TUTAYA O-EASTがぶっ壊れるんじゃないかと思うほど。曲の最後にオジーの「Over The Mountain」のフレーズを織り込む芸の細かさにもニヤリ。ロブも異常な熱気を眼前にして嬉しくなったのか、観客に向けて拍手を送る場面もあった。

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ロブがエレアコとエレキを曲中に交互に使い分ける形で「Descend The Shades Of NIght」をプレイし、ジャレッドの歌/ハーモニーも楽曲の魅力を底上げする役割を担う。さらに新作から90'Sヘヴィネスを現代に昇華したような「Triple Beam」を放つと、強靭なバネのごときグルーヴに悶絶するばかり。

ロブがメタリカの「Welcome Home」をサラッと弾いた後、「ファッキン・ラウド・クレイジー!」と呼びかけ、「Aesthetics Of Hate」でも激しいサークル・モッシュを起こす。「Game Over」を経て、再び1stアルバムから「Old」へと繋ぐと、観客を飛び跳ねて歌いまくり、凄まじい沸点を記録。ラストは6thアルバム『THE BLACKENING』収録の「Halo」に移ると、ロブはヘッドバンギングを促し、観客もそれに追随する形でヘドバンの光景が広がり、また、男性3人連れが肩を組んで歌い上げる姿も見られた。さらに圧巻はフィル&ロブのギターソロに合わせ、ウォー!ウォー!と観客の大合唱が広がり、スタジアム級の歓喜を作り上げて、22時14分に全行程が終了。

「アメイジング、トウキョー!」とロブもご満悦の表情を浮かべていたが、ここに集まった観客も大満足したことだろう。新作の楽曲はシンガロングを誘発するアリーナ・メタルへと大きく舵を切った。けれど過去曲との馴染みも良く、ライヴでは全く問題ないどころか、むしろ好リアクションで受け入れられていた。ヨーロッパを含む海外では絶大なる存在感を誇示しているマシーン・ヘッド。今日を公演を観て、さらにでっかい会場で彼らのライヴを体感したい。その気持ちは強くなる一方であった。

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取材・文=荒金良介 撮影=Yuki Kuroyanagi

 

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