「FUJI ROCK FESTIVAL’18」太鼓芸能集団「鼓童」に熱い歓声
(撮影:岡本隆史)
太鼓芸能集団「鼓童」が、2018年7月29日(日)、ボブ・ディラン出演で話題を呼んだ「FUJI ROCK FESTIVAL’18」に出演した。
フジロックは、1997年夏に誕生した国内最大級の野外ロック・フェスティバル。「自然と音楽の共生」をテーマに、富士山麓の大自然の中で産声を上げた。ところが第一回は大型台風の直撃を受け、2日目が中止となる非常事態に。主催者も参加者も「共生」どころか自然の猛威に屈するかたちで、フェスティバルのあり方についても多くの課題を残す初回となった。そして翌年の東京・豊洲開催を経て、1999年からは本来の理想である大自然の中に戻り、新潟県・苗場スキー場に会場を移して現在に至る。そして2018年、苗場で20回目の開催となる節目の年に、世界中から集まるアーティスト達と共に、鼓童が特別編成で出演した。出演したのは開催3日目となる7月29日(日)。11月からの「巡-MEGURU-」日本ツアーに先駆けて、「巡」FUJI ROCKアレンジも披露した。そのライブレポートが届いたので紹介する。
(撮影:岡本隆史)
<「鼓童」ライヴレポート> 執筆:伊達なつめ(演劇ジャーナリスト)
会場を苗場に移して今年で20周年となる、夏の代表的野外フェス、フジロック・フェスティバル。今回は'16年にノーベル文学賞まで受賞したレジェンド、ボブ・ディランが出演するというビッグ・ニュースもあり、例年以上に注目が集まった。12年ぶりにこのフェスに参加した鼓童は、ディランと同じ7月29日に、メインステージ(グリーンステージ)のトップバッターとして登場。夏の日差しと強い風、ときに横なぐりの雨と、めまぐるしく天候が変わるなか、ワクワクする和太鼓の音色に誘われるように、徐々に観客が集まり始めた。最新曲『巡』のようにポップで多様なヴァリエーションが楽しいリズミカルな曲から、求心的な和太鼓の真髄を伝える『大太鼓』、民謡を美しくシンプルなソロとハーモニーの歌唱で聴かせる『貝殻節』など、鼓童の若いメンバーが新たにアレンジした楽曲の数々は、いずれも現代的で洗練され、古い和太鼓のイメージを払拭するもの。耳の肥えた老舗ロック・フェスの観客は、その音楽性の高さと奏者の気魄を即座に感じ取り、熱い歓声を送っていた。フジロックらしい荒天も、舞台を劇的に盛り上げるのに一役買っていた。
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
FUJI ROCKでもアレンジを披露した『巡-MEGURU-』は、2018年11月より全国ツアーをおこなう。鼓童 新作公演 『巡-MEGURU-』 は、鼓童メンバーの弱冠26歳の住吉佑太が初めて演出を担う。住吉は2010年に鼓童研修所に入所した当初より、演出として参加していた坂東玉三郎氏の指導を受け、2013年から鼓童のメンバーとして、「大太鼓」やソリストに抜擢された。また、演奏だけではなく作曲やアレンジなどでも才能を発揮し、鼓童のサウンドメーカーと称されている。
本作の楽曲も全て新作で、住吉が生まれ育った香川に伝わる獅子舞や徳島の阿波踊り、栃木や群馬に伝わる八木節や岩手に伝わる鬼剣舞など、多くの郷土芸能をさりげなく織り込み再創造することにより、住吉特有の音楽世界が鼓童の太鼓音楽をさらに広げた。他にも鼓童が長年演奏してきた「三宅」をさらに昇華させた楽曲、西洋音楽的なアプローチで作り上げたリズムアンサンブルや即興曲等、全て本作の為に作曲され、今までにない試みが凝縮されている。
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)
(撮影:岡本隆史)