【RUSH BALL 2018 クイックレポ】SUNNY CAR WASH 1997年生まれの少年たちが大きなフェスで鳴らした日常の音楽

レポート
音楽
2018.8.26
SUNNY CAR WASH

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RUSH BALL 2018【ATMC】 SUNNY CAR WASH

「人生で一番楽しい日にしようぜ。あなたの故郷の歌「それだけ」」。派手なSEも無ければ、派手なMCも無く、ボーカルのアダムこと岩崎優也のたったそれだけの言葉で始まる。アダム、ベースの羽根田剛、ドラムの畝挟怜汰。着てる服も鳴らす音もシンプルな何の飾り気も必要ないロックンロールバンド・SUNNY CAR WASH。その世代その世代によって、色々なスリーピースバンドを思い出すであろう彼ら。昔は何も珍しくなかったタイプだが、今のキッズにとっては新鮮なのかも知れない。みんな呆然と立ち尽くすかのように観ている。観客エリア後方で母親と一緒に来てる明らかに10代のおぼこい少年が真剣に見ているのも印象的だった。

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「キルミー」では、《頭の良すぎるあいつらはほっておこう 俺たちの圧勝なわけで こんな事を歌うバンドを見て冷めた顔で頷いたりしてるんだろうね ねえキルミーベイベー殺してくれ 溢れるほどの愛で溺れさせてくれ》と歌う。個人的に一番大好きな歌だが、声を絞り出すようにアダムが高い声で歌うのを聴くと泣きそうになる。どの曲も歌詞を読むと、伝えたい事はたくさんあるのがわかる。でも、曲前のMCは相変わらずシンプル。「せっかく天気もいいからさ、みんなで青春しようぜ」というMCから「カーステレオ」、「みんなの放課後の歌」というMCから「放課後」。あっ、そうそう大事な事を書き忘れていた。メンバー全員1997年生まれ。なので、前述の10代のおぼこい少年からしたら、自分の事を歌ってくれてると思ったのかも知れないし、僕のような40歳のおじさんからしたら懐かしかったり、年甲斐も無く恥ずかしいと普段必死に隠している心の内を歌ってくれてると思ったり……。

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「みんな、ずっと10代みたいに生きてたらいいな」とアダムがつぶやいてから、歌われたラストナンバー「ティーンエイジブルース」。《世界をかえられない僕を 世界を変えられやしないだろう》と歌った時、緩やかな曲であるにも関わらず、さっきまで呆然と立ち尽くすかのように観ていたキッズたちが自然に拳を上げ始めた。何にも煽られてない中で起きた、そんな光景は本当に感慨深かった。小さなライブハウスでは当たり前の光景が、大きなフェスで観られた事に意味がある。こんな光景が大きなフェスでも当たり前になったらいいなと想う。
 

文=鈴木淳史 撮影=河上良

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セットリスト

RUSH BALL 2018 SUNNY CAR WASH
1. それだけ
2. ムーンスキップ
3. ハッピーエンド
4. キルミー
5. カーステレオ
6. 放課後
7.ティーンエイジブルース
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