松尾スズキ、松たか子、瑛太が同級生を演じる音楽劇『世界は一人』フォトコールレポート
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劇団ハイバイを中心に俳優として活躍する一方で、2013年に『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。今最も注目される劇作家の一人である岩井秀人が、初めて『世界は一人』で音楽劇に挑戦する。ミュージシャン・前野健太と組んで「ある悲惨な男の物語」を描く。2月24日(日)に東京芸術劇場プレイハウスで初日を迎えるのに先立ち、フォトコールが開催されたので紹介する。
フォトコールでは冒頭から20分間のシーンが公開された。本作品は松尾スズキ、松たか子、瑛太が同級生を演じることが話題となっているが、3人の小学生、中学生時代の様子が描かれていた。
まず舞台に登場したのは、マエキンという役名でナレーションを担当する前野健太。生バンドの演奏とともに物語が始まる。すると寝間着姿の吾郎(松尾)、美子(松)、良平(瑛太)が布団や枕で遊んではしゃいでいる。
かつてSPICEのインタビュー取材で松尾は「8歳をどう演じればいいのか」と言っていたが、それに対して演出の岸井は「全然変わらないでいい」と語っていた。そのとおり松尾は自然に8歳の子どもを演じており、おねしょをしたシーンでも、子どもらしい動きをしつつも、大人がショックを受けているような表情をしていた。
瑛太が演じる小学生は「小学校時代、こういう男子がいたなあ」と思わせ、松はちょっと寂しげで大人びた雰囲気を出していた。一体彼らにはどんな将来が待ち受けているのか、不穏な空気……とまでは言わないが、なんとなくドキドキしてしまうものがあった。
フォトコール最後のシーンでは、中学生になった3人が登場。吾郎と美子の淡い恋のシーンが描かれた。ここでは良平がマエキンと一緒に歌うのだが、瑛太の歌声が聞ける最初のシーンということで見どころの一つといえるだろう。
20分間のフォトコールを観ただけでいつもの音楽劇とは少し違う、何か独特の世界観を見たような気がした。そして何よりも「吾郎のどうしようもない運命と、それを取り巻く吸い込まれゆく落ち葉のような人々の物語」と謳っている本作品で、吾郎、美子、良平はどうなっていくのか。ぜひ劇場で見届けたいと思った
最後に松尾スズキ、松たか子、瑛太、岩井秀人からコメントが発表されたので紹介しよう。
松尾スズキ
ああ、楽しいなあ! 演劇って楽しいなあ!
台本を読んで、のけぞり、稽古に入って、慌てふためき、だからこそ、常に自分に言い聞かせてます。
ときどき、白目をむきながら、ときどき、泡を吹きながら。
いつか、本気でそう思えるときが来る日を信じて。
きっと、できる。いつも最終的にはできる男です。
この芝居のオリジナリティに、身を捧げたい。
松たか子
また新しい芝居が生まれる、
その世界にいられることを、とっても幸せに思っています。
こわい、けどおもしろい、けどこわい……この感じを
ずーっと持ち続けたいと思います。
瑛太
岩井秀人は天才だ!
不気味で、ものすごく面白い。
この作品に対する皆様の期待と想像を
いい意味で裏切っていくと思います。
稽古を重ねていくうちに、たくさんの発見や
感動がボンボン生まれてきて、皆さんが楽しめる
作品になっていることを確信しています。
歌の力は松さんだけではと思われがちですが、
それよりもカンパニー全体から魅せる音の力が
伝わると思います。
岩井秀人(作・演出)
今まで出会った人々の人生から題材を集め、1年ほどかけて台本を書き、それから随分経って、ただいま劇場での最終調整をしています。
台本を書いていた時の、真っ黒な中をさまよっているような感覚が、舞台上で命に変わっていく様子を眺めています。俳優、スタッフ、そしてバンドメンバー。これ以上の面々が揃うことも、まあないと思います。なんだか相当なものができたようなので、楽しみにしててください。
取材・文・撮影=秋乃 麻桔
公演情報
日程:2019年2月24日 (日) 〜2019年3月17日 (日)
作・演出:岩井秀人
音楽:前野健太
出演:
松尾スズキ 松たか子 瑛太/
平田敦子 菅原永二 平原テツ 古川琴音
演奏:
前野健太と世界は一人
(Vo,Gt.前野健太、B.種石幸也、Pf.佐山こうた、Drs.小宮山純平)
S席:8,500円 A席:7,500円
共催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
製作:パルコ