シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム第四十七沼(だいよんじゅうななしょう) 『倒流香!沼』

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2019.5.22

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「welcome to THE沼!」

沼。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れること

という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。

これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

第四十七沼(だいよんじゅうななしょう)おちる煙 『倒流香!沼』

先日TWITTERを見ていたら、とても不思議な動画を目にした。

お香を焚く動画なのだが、通常のお香だと火を灯して煙が発生すると四方八方、特に上の方に上昇する。

しかしその動画に映っていた煙は、滝のように下へ下へ流れ落ちてゆくという目を疑うようなものだった。

上から下へ?滝のように流れるお香

さっそく調べてみると、そのお香は特殊なものだった。

お香の真ん中に穴があいていて、煙が下の方に流れる仕組みになった『倒流香』というものであることが判明し、さっそくポチった。

値段もさまざまなので、先ずはTWITTERで目撃したものと同じ商品を購入。

早速お香に火を灯すと、あれやあれやというまに煙が滝のように降下してくるではないか!

 

あまりの幻想的な風景にずっと見ていられる。

1個のお香でだいたい10分くらい。

まるでラバライトのように同じ模様が二度と出る事がなく、その煙はまるで生きているかのような動きと表情、そして香りを与えてくれる。

素晴らしい!!

ず〜っと見てても飽きない!

注意点としては、部屋の中で全く無風の状態で行わないと、煙が散ってしまうということ。

鼻息でも煙がちってしまうので、ちょっと離れてみないといけない。

お香も様々なカラーが用意されているのだが重い煙の成分だけあって、たき終わるとちょっと樹液のようなベトベトした成分が残るので、たまに拭いて掃除してあげるといいだろう。

 

音も映像もあり得ない動きは人のアテンションを引きつける

私はこのような通常ならばあり得ない動きをするものが好きだ。

例えば音のエフェクトでいうところのリバースリバーブ。

音を逆再生させる手法だが、これは特に歌詞が入ったものなどの場合、日本語の場合には何か別の国の言葉のような、けれども空気感も逆再生されるので、言葉だけではない独特の雰囲気を作ることができる。

私の大好きな音のエフェクトの手法だ。

また昔、よくヒーローものの特撮でとんでもない高さの壁にいとも簡単にジャンプして登るシーンは、誰でも見たことがあるのではなかろうか。

あの特撮はとても単純で、フィルムを逆再生させているだけだ。

しかし、これもまたあり得ない独特の動きと雰囲気をかもし出す。

この『倒流香』の煙の動きをながめていると、なんだかヒーローモノのちょっと違和感のある動きが現実に目の前に広がる感じになる。

これはハマる。

手に靴下をつけて、足には手袋を装着しているような不思議な違和感。

 

マニアックなモノには必ずつきものの”外し系”にハマる

また、『倒流香』のもう一つの魅力は膨大なバリエーションを誇る『香炉』だ。

「昇り竜」や「中国の奥深い山岳風景」をかたちどったものや、抽象的でミニマルなものまでさまざまだ。

ほとんどの香炉はお香を香炉のてっぺんに置き(例えば龍だったら龍の頭のところ)、香炉の中をつたわって煙が出てくる仕組み。

段々畑のように落ちてきたり、あるいは龍の口からつたい降りたりとさまざまな演出を楽しむことができる。

最初に買った香炉があまりにも素晴らしかったため、母親に取られてしまった。

そこで、あらたに香炉を探していたらとんでもないデザインの香炉を発見してしまった。

不気味だが、なんとも可愛らしいスカル香炉。

赤いお香を焚くと、口から血がでる仕組みになっている。

また、その作りもまるで小学生が工作で作ったような雑なもので、私のB級心をくすぐる素晴らしい出来だ。

初めてこの香炉でお香を焚いた時、本来「リラックス」のための香のはずが「爆笑」してしまうほど愛らしい。

 

これもリラックスの一つの形なのかもしれない。

しかし妻には「このデザインじゃ全く癒されない」と言われた。

 

この『倒流香』は安いものだと2〜3千円から販売している。

 

ぜひ『倒流香』をあなたのリラックスタイムに役立ててはいかがだろうか。

 

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