JILLEの『31』盛りだくさんなリリースパーティは笑顔と感動にあふれた名演となった

レポート
音楽
2019.6.22
JILLE

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2019.05.31 JILLE Original Album『31』リリースパーティ@eplus LIVING ROOM CAFE & DINING

先日、アルバム『31』を発表したJILLE。彼女にとって約3年半ぶりであり、自身の活動名義を“GILLE”から“JILLE”に変えてから初のアルバムであることから、まさに待望という言葉にふさわしい1枚である。その発売日である5月31日、チケットが早々とソールドアウトした「渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE&DINING」にてリリースパーティーが開催された。この会場はライブを観ながら食事やお酒を楽しめるということもあり、開演前の場内は、観客が楽しそうに談笑している声が響いていて、なんとも心地よいムードが漂っている。

JILLE

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そこへサポートメンバーである小川翔(gt)、石川くれな(Ba)、八谷 晃生(pf.)、金本聖潤(Dr.)の4人が登場。少し遅れて姿を現わしたJILLEは、観客とハイタッチしながらステージに移動すると、ライブはアルバム『31』の1曲目でもある「Prologue」で幕を開けた。CD音源ではスタジアムロック色が強く、雄々しいサウンドが印象的なナンバーが、この日は会場に合うアコースティック編成でブルージーに響き渡る。そして、“みなさん、今日は短い時間ですが、『31』を堪能していってください”とJILLEが告げ、観客のクラップを求めると、そのまま「PINK SUN」へ。グルーヴィーに跳ね上がるバンドサウンドを受けながら、美麗なファルセットを交えつつ、クールかつパワフルに歌い上げる。

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リリースパーティーということもあり、この日のライブはアルバム『31』の収録曲をほぼ曲順通りに披露していく流れになっていて、合間のMCではJILLEが曲に込めたメッセージや、制作にまつわるエピソードを話しながら進んでいった。なかでも曲解説で盛り上がったのが、“アルバムの中でも特殊な楽曲”と話す「UHH!!」。この曲の歌詞には、夫に献身的に尽くす“良妻”が登場するのだが、実はこの妻、夫にGPSをつけていたり、夫の携帯に届いたメッセージを自分の携帯に転送していたりと、夫のすべてを完全に監視している“恐妻”だった……という内容。“夫に優しくできるのは、全部知っているからなんですよね(笑)”と話すJILLEは、「UHH!!」のイントロとアウトロで“良妻の顔をした恐妻”に扮して演技をしているのだが、ライブでもこの日のためにアレンジされたものを披露。アップライトベースが怪しげな空気たっぷりでメインメロディーを奏でる中、熱の入った怪演を見せるJILLEに、客席からは「怖い!」という声も。歌い終えると開口一番、「怖いでしょ!? 自分で作詞しながら、この人とは絶対に関わりたくないと思った」と話すと、会場からは笑い声があがっていた。

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彼女の宮崎なまりのMCはもちろん、ステージと客席との距離も近く、アットホームな空気感が心地よいライブだったが、いざ歌い出すと、その圧倒的な歌唱力でたちまちその歌の世界に引き込んでいくところはさすがの一言。

スケジュールがタイトなだけでなく、ハワイでライブをしつつ、日本にいるサポートメンバーの八谷と連絡を取りながら制作したためかなりハードだったが、“その大変さを1ミリたりとも感じさせない爽やかさ”がある「lalala」では軽やかに弾む鍵盤と共に伸びやかに歌い、“歩いているとき、電車に乗っているとき、車に乗っているとき、どのBPMが一番心地よく聴こえるか時間をかけて決めた”という「ROOM」では、シェイカーを振りながらファルセットを心地よく響かせる。また、ロマンティックな「#JJ」では、客席を歩きまわるだけでなく、ときに観客が座っているイスのヘリに腰をかけて歌うなど、様々な声色であり、パフォーマンスで魅了していた。

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休憩を挟んだ後、第2部はカバーコーナーからスタート。「行くぜっ!怪盗少女(English Ver.)」「ポニーテールとシュシュ(English Ver.)」「タイム・トラベル」と、彼女のYouTubeチャンネルで再生回数が上位の楽曲を続々と披露していく。アコースティックギターと美しいコーラスが心地よかった「Grenade」では、後半はノーマイクで力強く歌い上げるなど、様々なアレンジが施されていたのだが、なかでも「Rolling In The Deep」は、“今日この場所でしか聴けないものに”ということで、まさかのムード歌謡風にアレンジされて披露された。「どっこいしょ!」「はっ!」といった合いの手や、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」のメロディーが組み込まれたギターソロなど、かなりユニークな仕上がりで、JILLEはこぶしを効かせて歌い上げると、最後は口パクで“ありがとうございました”と、大御所演歌歌手あるあるなパフォーマンスでも観客をおおいに盛り上げていた。

いよいよライブは終盤戦に。JILLEだけでなくバンドメンバー全員がサングラスをかけて披露された「Suit」は、原曲よりもテンポをやや速めていて興奮をぐっと煽る形になっていたが、一転、「ONE 君がいる理由」では目を閉じて、優しく、柔らかく歌を届ける。彼女の曲は英詞が多いが、「ONE」は日本語詞。日々の生活に疲れた人たちに向けて、その心を癒すように、そして勇気付けるように、温かなメッセージをまっすぐに歌いかけて、本編は終了した。

そんな名演への惜しみない拍手が、そのまま彼女を再び呼び込むアンコールの手拍子に変わり、しばらくするとJILLEが客席側から登場。驚きの声が上がる中、JILLEはクラップにあわせて「フライングゲット」のサビを歌い上げ、客席を喜ばせていた。そして、この日のラストに披露されたのは、アルバム『31』のクローザーでもある「Woman」。“誰かのために、誰かを思って、一生懸命頑張っている人は、本当に美しい。自分が落ち込んでいるときは、そのことをふと忘れてしまうこともあるけれど、一生懸命頑張っている人の眼差しを見たり、こういう場所に集まってくださったみんなの笑顔を見たりして、元気をもらっています。そんな気持ちを歌いたかった。秋からのツアーではみんなと一緒に歌いたいな”。そんな想いを込めた彼女の歌であり、楽曲に宿っているポジティブなエネルギーが場内を満たし、実にドラマティックなエンディングとなった。

かなり内容盛りだくさんなリリースパーティーとなったが、前述の通り、JILLEは本作を持って、秋から全国ツアー『The Show To You Live Tour 2019』を開催することになっている。全国6ヵ所を廻る今回のツアーは、“いろんなエンターテイメントの形を楽しんでもらいたい”ということで、初日の東京とツアーファイナルの福岡はホール公演、他の4ヵ所はアコースティック形式で行なうという意欲的なものになっている。内容がまったく異なることもあり、それぞれどんなステージを繰り広げてくれるのか、楽しみにしていたい。


取材・文=山口哲生 撮影=Koga Tsuneo

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