舞台『黒白珠』開幕! 松下優也、平間壮一が「仲間というか友達みたいな感覚」で双子の兄弟を演じる

レポート
舞台
2019.6.8

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2019年6月7日(金)、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、舞台『黒白珠』が開幕した。本作は1990年代の長崎を舞台に、双子の兄弟とその家族が運命にもがきながらも紡いでゆく、愛と葛藤の物語。青木豪がその足で長崎を取材して脚本を書き下ろし、演出は河原雅彦が務めた。

主人公の双子の兄弟を演じる松下優也平間壮一は、河原が演出を務めた『THE ALUCARD SHOW』以来の共演だ。ゲネプロに先駆けて行われた囲み会見には松下、平間の他、村井國夫高橋惠子風間杜夫が出席し、今の心境を語った。

(左から)村井國夫、平間壮一、松下優也、風間杜夫、高橋惠子

(左から)村井國夫、平間壮一、松下優也、風間杜夫、高橋惠子

兄・勇役の松下は初日を目前にして「緊張しきれていない感じです。初日という感じもしてないし。僕らが稽古場でやってきた事を本番でどうお客様に感じてもらうかが、今いちばん楽しみにしている事です」と語った。

弟・光役の平間は「いろいろありまして、ここまできてやっと初日を開けれるようになってよかったと思います」と述べ、二人の父・大地役の風間は「台本とかの直しもありましたが、一丸となって今日この日を迎えられて嬉しいです」とコメント。

二人の母である純子を演じる高橋は「お客様に、私たちが作り上げてきたものが、どんな風に感じていただけるのか、とても楽しみであり、また緊張する想いでもあります」と微笑み、大地のはとこ・英光役の村井は「朝令暮改のような台本で、次の日の朝には違っているという、いろいろな試行錯誤を重ねて一月の稽古を頑張ってきた。今日はどうなるか。まして70いくつにもにもなって、台詞が変わっていくっていうのは大変な苦労ですが、それが実ってくれるのを楽しみにしています」と笑いを交えながら語った。

松下と平間は、今回双子の兄弟役を演じるにあたり「5、6年前に舞台で共演させてもらって、そこからすごい仲のいい仲間というか友達みたいな感覚なので」と松下が語ると平間も「自然と特に双子だからこうやらなきゃという感覚はなくてね」と合いの手を打つ。松下は平間の言葉につなげるように「言葉を交わさず芝居が出来たのは幸せですね」と話した。「見た目は全然似てないですけど、壮ちゃんは稽古場では芝居のことを僕にいっぱい話してくれました。まさに壮ちゃん演じている光が、僕が演じている勇に話すかのように。俺が聞いている時も聞いてない時もあって(「聞けよ!」と村井が茶々を入れて笑わせる)本当に楽しくやれています」と松下。

一方、演出の河原とは初めての仕事となった風間は「河原さんは非常に穏やかで丁寧な演出家で、僕ら俳優陣のいろいろな疑問とか質疑応答とかに丁寧に答えてくださって。大変デリケートな方で穏やかで、初めてお会いする演出家ですね。だいたい僕は、ガンガンどなる演出家としかやってないんで、その辺が物足りなさもあったんですが(笑)、彼のしなやかさと繊細さは大変素晴らしいと思います。新しい、素敵な出会いができたと思っています」と信頼を寄せていた。

この物語の鍵を握る母を演じる高橋は「魅力はたくさんあると思いますが、私がとある事情により家族を捨てていなくなって、また再会するわけですが、その中でそれぞれ息子たちのいろいろな反応があったり。家族のそれぞれの想いや苦悩があるかと思いますが、ベテランお二人(村井、風間)のやり取りが、稽古場で見ていてとても面白くって、そこが違う意味の見どころで笑えます」とにっこり。

村井は「軽くておしゃべりで、セコい男ですが(笑)、私自身がそうなので、とても等身大! ということで! 楽しんでやっとります!」と演じるキャラクターそのままのように軽く答えた。

稽古場での雰囲気について質問が飛ぶと、松下は「稽古中、ご飯に行きました。風間さんが稽古場とお酒飲みに行った時の感じが本当に違うので結構驚きました(笑)! 嬉しかったんです! そのあと僕自身もやりやすくなりました。風間さんって稽古場では本当に喋らないんです」とエピソードを語り出すと、風間は「僕は稽古場では真剣にやって、飲み屋でバカになる!」と語り出し、一同大笑い。

今回、得意の歌とダンスを封印し、ストレートプレイに挑む松下と平間に向けて、稽古中の苦労について問われると、松下は「歌ったり踊ったりはないですが、お芝居の中では結構動いているんです。喋る時の手振りがすごい役柄。芝居として楽しいです。歌も踊りもないということで稽古場で一切汗をかかないという事で何かはありますが、それくらいですかね?」と振り返ると、平間も「苦手意識っていうのはなく、とにかく一生懸命やらないと、と稽古場に入りましたが、これだけの方々と一緒にやらせていただいて、そこの安心感っていうんでしょうか、下手なものは下手だと思って全力でやって先輩たちに助けてもらおうという気持ちでやっています」。その言葉に村井は「本当に二人はよくやっています! 感心するくらい」と褒め、高橋と風間も「熱心よね」と感心する。「こいつは稽古場でずっと悩んでいるし」と村井が平間の肩を抱くと平間がクシャっと照れ笑い。「壮ちゃんはヒトに悩みを話しておきながら、結局自分で解決しちゃうんです。ヒトの答えを求めていない」と突っ込み、また平間がクシャクシャになって笑っていた。

ゲネプロの様子にも触れよう。
ステージは大地一家の居間と、真珠を養殖している海辺、花苗の叔母・久仁子(平田敦子)が働くフランス料理店があり、そしてこの町と家族の物語を見守るように大きな教会が静かにそびえていた。

真珠の加工・販売会社を経営する大地の双子の息子、勇と光。弟の光は真面目で成績優秀、東京の大学に通っているが兄の勇は定職にもつかずバイトも転々としている日々。ただ勇には恋人の花苗(清水くるみ)がおり、光は逆に奥手で女性との付き合い方がわからない。勇は叔父に似ているとよく周囲から言われ続け、また大地は光ばかりかわいがるので、自分の出生について疑問を抱いていた。

母・純子は二人がまだ幼い頃、叔父と不倫をして駆け落ち。以降消息は聞かされていなかったが、ある出来事がきっかけで光が再会する事になり……。

長崎弁を巧みに操りながら、素行が悪く、どこか自分自身くすぶっている感もある勇を松下は伸び伸びと演じる。その瞳には父の本当の息子じゃないかも、という不安、寂しさを垣間見せていた。

また平間は、光が優秀な息子であることで、時に勇にやや上から目線で心配もするが、基本的には穏やかな気質を保っていた。目の奥は満たされない何かを宿したまま。対照的な二人の演技が静かに光る物語。果たして二人は、家族の秘密を目にしてどのような変化を遂げるのか。

是非その目で最後まで見届けてほしい。

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

『黒白珠』 KOKU BYAKU JU
■脚本:青木豪
■演出:河原雅彦
■出演:
松下優也
平間壮一
清水くるみ
平田敦子
植本純米
青谷優衣
村井國夫
高橋惠子
風間杜夫
 
<東京公演>
■日程:2019年6月7日(金)~23日(日)
■会場:Bunkamura シアターコクーン
料金(東京公演):
S席¥10,000円 A席¥8,500 コクーンシート¥5,500(全て全席指定、税込)
※コクーンシートは、特にご覧になりにくいお席です。ご了承のうえ、ご購入ください
 
<各地公演>
兵庫公演:6月28日(金)~30日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
愛知公演:7月6日(土)~7日(日) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
長崎公演:7月10日(水) 長崎ブリックホール 大ホール
久留米公演:7月13日(土)~14日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
 
■企画・製作:キューブ
■公式ホームページ:https://kokubyakuju2019.wixsite.com/official
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