篠田麻里子「またひとつ雪平夏見に近づいたかな」 舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』ゲネプロレポート

レポート
舞台
2019.6.22
篠田麻里子

篠田麻里子

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舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』が2019年6月21日(金)からサンシャイン劇場で開幕した。初日を前に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)と囲み会見の様子をお伝えする。

本作は、風変わりな女性刑事・雪平夏見の活躍を描いた、秦建日子の小説『刑事 雪平夏見シリーズ』を舞台化した作品。テレビドラマ&映画『アンフェア』(CX)シリーズの原作となった『推理小説』の続編である『アンフェアな月』を篠田麻里子主演で昨年2月に初舞台化し、今回はその第2弾となる。

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

前回に引き続き、主人公の女性刑事・雪平夏見を演じる篠田麻里子。作品について「雪平夏見シリーズはとても大好きな作品で、その第二弾ができることは個人的に大変嬉しく思っています。前作では刑事モノを舞台でやる難しさを感じていたのですが、この第二弾ではそれを乗り越えて、パワーアップした作品になっていると思います」と語っていた。

今年2月に電撃結婚を発表した篠田だが、「結婚したことで、またひとつ雪平夏見に近づいたかなという気持ちはありますね。環境的には落ち着きます。ただ、雪平夏見は離婚しているので、そういう風にならないように気をつけます(笑)」とも。
 
そして、「当たり前に過ごしている日常が、実は当たり前ではないということを思い知らされる作品。前回は事件を中心に追っていましたが、今回も事件はあるものの、登場人物のそれぞれの生活やバックグラウンド、生きるための大変さや苦労、個人的には雪平夏見の母親としての気持ちが見える舞台となっていると思う」と見どころを話していた。

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

本作は、雪平の元夫である佐藤和夫(中村優一)が殺害されて発見されるところから始まる。左胸にアイスピックを突き立てられ、和夫の口には赤いリボンで結ばれたチラシがつこまれていた。「殺人ビジネス始めます」「新規開業につき、最初の三人までは、特別価格三〇万円でご依頼お受けします」と書かれていた。“フクロウ”を名乗る殺し屋によって次々と起こる連続殺人事件。かく乱される捜査。そして元夫が殺害されたことで、雪平のプライベートにも変化が起こり始めて……というあらすじだ。

Wキャストを含めて出演者は総勢36名。囲み取材で、捜査一課強行班の刑事・神雅臣役を演じる瀬戸啓太が「僕が演じる役は原作の小説には出てこなくて、1、2行でしか存在しない役どころ。でも、そういう人たちも実はいろいろ抱えている。小説では見落としがちだとは思うのですが、そういう人たちを僕なりに解釈して、表現して、『殺してもいい命』を深く表現できたらいいなと思います」と語っていたが、確かに人数が多い分、それぞれの登場人物のバックグラウンドを想像する余地が生まれ、全体としての物語も厚みが出ていたように感じた。

1幕75分、15分の休憩を挟んで、2幕70分。転換と照明効果を巧みに使う演出で、スピード感がある舞台。連続ドラマを一気に見たような、充実感を味わえた。第1弾を見逃した方でも、十分に楽しめると思う。

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

舞台『アンフェアな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜『殺してもいい命』のゲネプロの様子

最後に、各キャストのコメントを紹介しよう。
  
今回から参加となる松田凌は、雪平夏見の部下・安藤一之を演じる。「タイトルが『殺してもいい命』ということで、なかなかテーマ性が込められている作品。一つひとつのシーンはもちろん、一人ひとりの役の人間ドラマを意識して、お届けできたらいいなと思います」と意気込みを語る。
   
同じく初参加の西原亜希は、雪平夏見の元夫の再婚相手である佐藤由布子を演じる。「本作では(雪平夏美と佐藤由布子という)二人の母という存在が出てくるのが見所ではないかなと思います。今まで描いてこなかったようなアンフェアの世界観や、新しい雪平さんの姿を存分に楽しめると思います」。

捜査一課長の山路徹夫役の水谷あつしは「大人のエンターテインメントに仕上がっています。みんな普段の活動は違うけれども、とても面白い融合を起こしておりまして、自信満々で初日を迎えられそうです。ご期待ください」と話した。

山口馬木也、西原亜希、篠田麻里子、松田凌、中村優一(前列左から)、瀬戸啓太、小島よしお、水谷あつし、田中稔彦(後列左から)

山口馬木也、西原亜希、篠田麻里子、松田凌、中村優一(前列左から)、瀬戸啓太、小島よしお、水谷あつし、田中稔彦(後列左から)

雪平夏見の元夫である佐藤和夫を演じる中村優一は「僕が演じる役は刑事ではないですが、ストーリーの中で大事な役どころなので、精一杯頑張りたいと思います。大先輩な役者の皆様に囲まれて、いますぐ殺されてもいいぐらい幸せです(笑)」。

俳優として舞台に出演することが初めてだという小島よしおは、迫田探偵事務所社長の迫田勝役を演じる。「個人的に服を着て舞台に出ることがなかなかない(笑)。しかも設定が冬なので、厚着なんですよね。僕はどちらかというと真夏の方にフィットした服なので......その辺も逆に緊張はあるんですけれど、服を着た自分をうまく.......服を着た自分?(笑)。服を着た役ですけれども、違和感のないように演じていければなと思っております」と話して、笑いを誘っていた。

捜査一課強行班の松岡智輔を演じる田中稔彦は「雪平夏見という警視庁の中で検挙率3年連続第1位のスーパースターがいる傍ら、その周りにはたくさんの捜査員がいる。何かを抱えて生活をしている一人の刑事として、皆様の心に残るよう、一生懸命取り組んできました。少しでも皆さんの心に止まるような、“刑事のみんな”でいたいなと思っています」と語った。

捜査一課強行班の林堂航を演じる山口馬木也は、篠田麻里子と何度も共演したことがあるといい、「一番最初は親子役、次に夫婦役、次が上司役。目線が毎回違うのはすごく僕は面白くて、今回もそういう篠田さんの変わった一面が見られて面白い」と話す。
 
そして、「篠田さんを中心として、チームワークはすごくいい。顔合わせの時から小島さんがネタやってくれたりして、非常にチームワークのいい座組です。お客さんにも伝わると思います。題材は『殺してもいい命』という重めですが、肩の力を抜いて楽しんでもらえたらなと思います」と話していた。

公演情報

舞台『アンフェアな月』第2弾~刑事 雪平夏見シリーズ~
『殺してもいい命』
 
原作:秦建日子『刑事 雪平夏見 殺してもいい命』(河出文庫刊)
脚本・演出:菅野臣太朗
音楽:野田浩平
 
出演:
篠田麻里子、松田凌、西原亜希、水谷あつし、中村優一 
加村真美、田中稔彦、瀬戸啓太
野崎弁当(MeseMoa.)/ 槙尾ユウスケ(かもめんたる)〈Wキャスト〉
齋藤健心、馬庭良介
小島よしお、内田裕也
中村公隆、山谷勝巳、川名浩介、御崎かれん、川口直人、瀬川ももえ、末松杏梨(子役)
山田明郷、山口馬木也ほか
 
主催:舞台『刑事・雪平夏見シリーズ』製作委員会
企画:古河聰
特別協力:河出書房新社
 
公演日程:
2019年6月21日(金)~6月30日(日)全13回公演
 
会場:
サンシャイン劇場(東京都豊島区)
 
公式サイト:
http://www.unfair-stage.com
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