カゲヤマ気象台による言葉をテーマにした新作 円盤に乗る派『清潔でとても明るい場所を』が上演

ニュース
舞台
2019.7.4

画像を全て表示(2件)


カゲヤマ気象台によるプロジェクト円盤に乗る派が、新作『清潔でとても明るい場所を』を、北千住BUoYにて2019年8月8日(木)~12日(月・祝)に上演する。野外演劇フェスティバル「ストレンジシード静岡2019」で上演した『清潔でとても明るい場所に向けて』を発展させた今作では、舞台美術にいぬのせなか座の笠井康平、詩作指導に詩人の山田亮太を迎え、プロジェクトコンセプトでもある「作家・表現者と共にフラットでいられる場所・時間」を立ち上げる。また、生活状態誌『STONE/ストーン02』の発刊、鴨江アートセンター主催の市民参加型のトークイベント「TALK&TALK」 への参加、東京公演に向けた観客との「お話し会」の実施、「書簡」の販売など、上演を含んだ周囲の場作りも合わせて行う予定だ。

円盤に乗る派とは:
複数の作家・表現者が一緒にフラットにいられるための時間、あるべきところにいられるような場所を作るプロジェクト。軸になるのはカゲヤマ気象台による上演作品だが、様々なプログラムや冊子の発行、シンポジウムなどを並行して行っている。ここで試みられるのは匿名/顕名が平等になる場所で、誰でも発信が可能であり、大きな民衆の声が響き渡る世界の中で、小さな声が守られる場所はとても貴重だといえるだろう。さまざまな声が飛び交ううるさい場所を逃れ、しっかりものを見て、考え、落ち着くことのできるという場所を確保しようとしている。それは演劇にまつわるあらゆる要素を生活とダイレクトに接続するということでもあり、このプロジェクトを通じて、種々の、いろいろな意味で「実際に活用できる」アイディアを提唱しているのだ。訪れた観客たちが各々の生活の中でそれらを実践し、少しでもより生きやすくなることができればと考えているという。例えばいつか現れる円盤に乗るということに、強い目的も思想もない。それはただ「円盤に乗ってみた」という事実が残るだけだ。他の人に何ら影響を与えることもなく、大きな社会にとって何の関係もない。しかし「円盤に乗った人」と「乗らなかった人」は明らかに何かが違ってしまったはずであり、あくまで個人的なその変化に興味を持つ人々、誰にも気づかれない秘密を抱えたい人間たちこそ、「円盤に乗る派」と呼べるだろうと考えている。

カゲヤマ気象台によるステイトメント:
言葉に疲れている、と感じることは多い。ふと、目の前の風景を眺めながら、頭の中から言葉を排除しようと努力してみる。それは非常に苦労することだし、無理をしているようにも感じられる。しかし、しばらくすると脳は違うモードに切り替わり、世界は変化する。それはいつまでそのまま呆けていても苦痛ではない世界だ。この、言葉から離れた世界は、言葉の世界と明らかに違う位相にある。昔はここまでの乖離を感じていただろうか。もっと無意識に2つの世界を行き来できていたような気がする。なぜここまで、意識的に、努力しなくてはいけないのか。演劇ではどうしても言葉が中心に置かれる。言葉に関しては疑いがない。なぜこれほどにも疑いがないのか、もしかしたら我々は言葉に対してすでに中毒症状を起こしているのかもしれない。ジャンキーにとっては、言葉は言葉でさえあればよく、それは完成されている必要もないし、論理を持たなくてもよいし、質も問われない。ジャンキーの状態で振る舞えば、言葉はいつまでも続く。言葉が止まってしまうことだけが悪だ。袋小路に入ってしまうことや、あるいは白けてしまうこと。それさえ避けていれば、いつまでもジャンキーはジャンキーとして生き続けることができる。そうやって発動するジャンキー的な動力源は、エネルギーとしてはとても小さい。しかしそのとても小さいエネルギーによって動けてしまうほど、我々の身体は弱い。そして享楽的だ。ふらふらと、どこまでも進んでいく。ジャンキーでいてしまうのは我々の前提だし、とても楽な態度だ。しかし摂取が過剰になると疲れてしまう。悪い言葉もあるし、 何でも摂り過ぎはよくない。時々は空でも眺めながら言葉を空っぽにしたい。あるいは、たまにはジャンキー的でなく言葉と関係したいときもある。鋭い言葉の、強烈な断絶の前に立ち止まりたいという欲望は排除できない。理想的な状態というのは決して一様ではない。言葉を手がかりに、様々なあり方の中で動いていたい。『清潔でとても明るい場所を』では、いろんな言葉の様態を通じて、この身体にとって良いあり方を考えてみる。笠井康平氏(いぬのせなか座)には舞台上に配置される言葉をお願いした。舞台美術というものが、舞台上に存在し、俳優の身体と関係しているものだというなら、それは言葉であってもよい。また、詩人の山田亮太氏には詩作のワークショップを担当していただき、それを通じて私が創作した詩を上演テキストの一部として使用する。そもそも専門外のことをするのは無理なことだが、ここで生じる無理は言葉をまた別の方向に解放してくれるだろう。 3人の俳優は先日行われた「ストレンジシード静岡2019」への参加作品「清潔でとても明るい場所に向けて 」でも創作を共にした。 様々な場所を通過しながら、一緒に理想的なあり方へと動いていきたい。静岡では、公演が終わったあと、丸子宿の丁子屋まで行って食事をしたのだが、そこのトイレが感動的なまでに清潔で、とても明るいトイレだった。目指していく先にある場所はこのように清潔な水回りなのかもしれない、とそのとき思った。
 

公演情報

『清潔でとても明るい場所を』

【浜松公演】(ワーク・イン・プログレス公演)
 日程:2019年8月3日(土)  14時
 会場:浜松市鴨江アートセンター
 料金:一般 1,500円 / U25  1,000円(25歳以下、要証明書提示、予約券の当日精算可)
      『STONE / ストーン02』付き 各+500円(要予約)
※上演終了後、同会場にてお話し会を開催(参加自由、1時間程度)。
【東京公演】 
日程:2019年8月8日(木)~12日(月・祝)
8日(木)19:30 / 9日(金)19:30 / 10日(土)14:00 / 19:00  / 11日(日)14:00 / 19:00 / 12日(月祝)14:00   
会場:BUoY(北千住)  
料金:一般 3,000円(「STONE / ストーン02」付き+500円)/当日 3,500円  
U25 上記価格より1,000円引き(25歳以下、要証明書提示、予約券の当日精算可)
※円盤に乗る派『清潔でとても明るい場所を』ではこのたびU25を対象とした「書簡」を数量限定で販売。 公演終了後、感想文を提出することにより無料で観劇できるとなる。
予約開始はいずれも2018年7月7日(日) 正午より
オンライン予約受付  http://noruha.net/

 
■作・演出・音響:カゲヤマ気象台*
■出演:キヨスヨネスク* 田上碧 日和下駄*
■詩作指導:山田亮太
■舞台美術:笠井康平(いぬのせなか座)
■編集:黒木晃
■デザイン:大田拓未
■写真:三野新
■照明:みなみあかり(ACoRD)
■制作:河野遥(ヌトミック)
■制作協力:中村みなみ(円盤に乗る派プロジェクトチーム )
*円盤に乗る派プロジェクトチーム 
■公式ホームページ:http://noruha.net
■公式Twitter:@ emban_noruha

書籍情報

生活状態(ライフスタイル)誌「STONE / ストーン 02」
編集:黒木晃
デザイン:大田拓未
円盤に乗る派は、生活状態(ライフスタイル)誌「STONE / ストーン」を発行する。独立した編集部によって、公演に合わせて刊行。インタビューや対談記事、作家による詩歌や写真などで構成され、多様な生活者のあり方や視点を読み解いていく。

イベント情報

Talk & Talk「私たちはどうして演劇を観るのか? ~“観客”ってむずかしい!?~」​
■日時:2019年8月2日(金)18:30
■会場:鴨江アートセンター
■参加費:無料 (定員20名)
■対象:どなたでも参加できます。
■申し込み先:
TEL:053-458-5360
E-mail:k.a.c@kamoeartcenter.org
■詳細:http://www.kamoeartcenter.org/events/20190802_tt/
■主催:鴨江アートセンター
「知らない劇団の演劇を観るのって緊張する」「現代演劇って何?内容がわからなくて行きづらい」…。 そんな思いが劇場へと向かう足を止めてしまう経験はありませんか?演劇を観に行く人たちは、どのように演劇をとらえて 楽しんでいるのでしょうか? 劇作家・演出家のカゲヤマ気象台さんをお招きし、演劇の観方について、お茶を飲みながら一緒に考えます。
シェア / 保存先を選択