稲垣吾郎「男としてこんな幸せなことはない」 『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』公演前トークイベント

2019.7.30
レポート
舞台

作・演出の鈴木聡、出演する中島亜梨沙、稲垣吾郎、安寿ミラ、北村岳子(左から)

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2012、14、16年と3度にわたり上演された、稲垣吾郎主演の舞台『恋と音楽』シリーズ。喜劇作家でもあり、数々のオリジナルミュージカルを手がける作家・鈴木聡と、鬼才のジャズピアニストで作曲家の佐山雅弘がタッグを組み、実力派俳優陣とそうそうたるジャズミュージシャンの生演奏によって上演された本シリーズは、大人のための贅沢でおしゃれなオリジナルミュージカルとして注目された。

そんな『恋と音楽』シリーズのクリエイター陣と稲垣が再びタッグを組んだ舞台「FREE TIME, SHOW TIME『君の輝く夜に』」は、昨夏に京都で上演され、好評を得た。その舞台が早くも今年8月30日から、『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』とタイトル、演出をリニューアルして、日本青年館ホールで上演される。

開幕を前に、出演者の稲垣吾郎、安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙、作・演出の鈴木聡が公演前トークイベントに出席。公演の見どころや、京都公演の思い出などを存分に語った。

稲垣吾郎

ーーまずは一言ご挨拶をお願いします。

稲垣:去年の8月に京都劇場でこの『君の輝く夜に』を上演しまして、また東京の日本青年館ホールという素敵な劇場で上演できることをすごく嬉しく思っています。真夏の夜に舞台を観に来てくださったお客様と素敵な輝く夜を過ごしたいなと思います。楽しみにしていてください。

安寿:ダイナーに現れる、セレブな女社長のビビヤンです。でも実は(稲垣が演じる)ジョージとつながりの深い役で、今は言えないんですけど。去年はすごく楽しく、京都の夏をこのメンバーで過ごさせていただきました。今年もさらに熱い熱い夏をこの4人で過ごしたいと思います。

北村:「私の店~ダイナ~♪ お客きてちょうだいよ♪」。ダイナーの女主人、ライザを演じます北村です。謎めいた男女3人を迎えいれる、たくましくて、明るい女主人を演じさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

中島:ダイナーの中でひときわ元気で、謎な女性を演じさせていただいています。昨年よりもパワーアップしてお届けしたいと思いますので、よろしくお願いします。

鈴木:昨年の京都の公演はとても楽しい舞台になりました。お客さんにもとても楽しんでいただけたと思います。ショータイムというパートがあるのですが、今年はそこの曲目を3分の2ぐらい入れ替えて、去年観たお客さんにもまた楽しんでいただけるものになると思います。お芝居のファンにもミュージカルのファンにもいろいろなお客さんに観ていただきたい作品です。

安寿ミラ

ーー鈴木聡さんの作品の魅力を教えてください。

稲垣:鈴木さんとの最初の舞台が28歳。ドラマなどでもご一緒させていただいているので、僕のことを誰よりも誰よりも分かってくれています。僕のこと、大好きだしね(笑)。自分にぴったりな、オーダーメイドのような本を書いてくれるので、演じていてもすごく楽しいですし、やりがいもあります。それから温かいですよね。嫌な人が一人も出てこないし、ちょっと悪い人でも可愛げがある。これからもずっとご一緒させていただきたい先生です。

安寿:全て吾郎さんが仰っていた通りですね。ご本人の前では照れくさいですが、『君の輝く夜に』は4人だけの舞台なのにとても内容が濃くて、セリフも一つひとつがウィットに富んでいて、ちょっとクスッと笑える。しかも私たちは自分と同じぐらいの年齢の、等身大の役をさせていただけて、本当に楽しかったです。

北村:鈴木さんは私のことがすごく好きですよね(笑)。いつもありがたい役をいただいております。そして、ちょっと昭和の匂いのする感じとか……。

鈴木:そうですね。それでだいたい吾郎くんの役にちょっかいを出すという場面が必ずありますよね。あれはありがたい。お客様が楽しみにしているんですよね。

北村:今年も攻めますよ。

稲垣:そうですね、今最も僕に近い女性ですからね。心も体も。みなさんと僕も恋に落ちますけれども。

中島:鈴木さんの描くキャラクターはどれも魅力的。稲垣さんの女性のファンがたくさんいらっしゃるんですけど、みなさんがそれぞれ共感できる部分がすごくたくさんあると思います。私に関しては、今までなかった魅力を引き出してくださって、すごく楽しく演じさせていただいています。

中島亜梨沙

稲垣:鈴木さんはあて書きをよくされると思うのですが、すごく難しいと思うんですね。でも、ぴったり。

鈴木:僕はあて書きがすごく好き。例えば、吾郎くんを見ていると、変なこと書くでしょ? 弱いところとか、おとぼけなところとか。

稲垣:まぁまぁ多いですね。

鈴木:きっとそうに違いないと思うんです。普段は格好いいけれど、本当は格好悪いところがあるんじゃないかと。それを考えるのは面白いです。安寿さんもね。宝塚の大スターと思っちゃうじゃないですか。

安寿:いや、思っていないでしょ(笑)思っていたらあんなセリフ書けないですよ(笑)

稲垣:何で分かるの? みんな当たっていてびっくりしているんですよ。すごいですよ。それはテレビや舞台を見ての印象なのですか?

鈴木:テレビとかよりも、直接会った時の方が大きいですね。

稲垣:なるほど。だから僕が最初にご一緒した時は、いわゆる僕のパブリックなイメージなもので書かれたもので。

鈴木:『謎の下宿人』(2003)という作品でしたね。謎のある人として書いた。まさにパブリックイメージで。ドラマでもそういう感じで書いていたよね。

稲垣:謎めいた教師とかね。最近はちょっとおとぼけが入ってきて……。

鈴木:謎を持たせることが仕事だと思っているでしょ?(笑)

北村岳子

稲垣:まぁそういう適度な距離感というのはね。

安寿:(稲垣は)いい具合ですよね。いい具合に見せているし、いい具合に隠しているし。

稲垣:本当ですか。それはこの仕事をやっているとね。本能的にね(笑)

鈴木:でも安寿さんもそうでしょう。宝塚の人って、ちょっと上のところにいる。

稲垣:雲上の人(笑)

安寿:雲上って。それはあなたですよ(笑)

稲垣:実際はね、すごく気さくな人ですよ。

作・演出の鈴木聡

ーーいろいろな魅力がある舞台ですが、音楽も魅力の一つです。数々の音楽を生み出した佐山雅弘さんが昨年お亡くなりになりました。みなさんの中で、佐山さんとのどんな思い出や姿が刻まれているかを教えてください。

稲垣:佐山さんなくして、このシリーズというのはできなかった。僕はミュージカルというものが初めてでした。もちろん歌って踊って演技してとそれぞれはやってきましたけど、ミュージカルというのは全く畑が違うものでした。その中で、鈴木さんと佐山さんが作るミュージカルだったら自分にも挑戦できるかなと思いました。

僕は歌手をやっているけど、自分のレベルがありますから。僕でも表現できるような、歌いやすいような曲を誰よりもわかってくださって、僕にぴったりのものを提供してくださった。それは大きいですね。あとは僕はポップスや歌謡曲など現代的な音楽をやってきましたが、ジャズなどを歌うのは初めての経験。それは鈴木さんと佐山さんが与えてくださったことだと思いますし、自分の中で新しく生まれたものなので、こうやってシリーズとして、これからもやっていきたいなと思います。

安寿:佐山さんとは20年近く前に1度ご一緒しました。この舞台をやるにあたって、本当に久しぶりにお会いした時に、最近の私の動画を見てくださっていました。「あぁシャンソンやっているんだね」と。それで、劇中に私のテーマの曲があるのですが、ありとあらゆるシャンソンの要素を取り入れたような曲を作ってくださった。こちら側に寄って書いてくださったのがすごく嬉しかったです。

北村:去年、稽古場のセンターで嬉しそうに見てくださっていたのが焼き付いていて。いつも笑顔でした。本当に長きにわたりお世話になりましたので、大事に歌っていきたいと思います。

中島:私は宝塚を退団してから、歌を中心にやろうと思っていたわけではないので、少し苦手意識があったのですが、お稽古場で笑顔で見守ってくださって。「じゃあこうしようか」ですとか、「ここがもう少しこうしたらいいよ」とアドバイスをいただいて、私も自信というか、励みになって。楽しく本番で歌を歌えたのは佐山さんのおかげだなと思っています。

鈴木:もうね、佐山さんは最高ですね。僕とは結局4本の作品を作りました。毎回毎回、詞を先に作ろうとか、曲を先に作ろうとかね、いろいろな作り方を試して。本当にセッションするように、理想的なクリエイティブができたと思いますね。その積み重ねがすごく効いたというか、この作品はその中でも佐山さんの音楽の上では最高傑作かなと思います。非常に難しい曲もいっぱいあるんですよね。

安寿:そうですね。

トークイベントの様子

鈴木:非常に音楽的には高度な曲もあれば、思いっきり歌謡曲みたいなこともするしね。音楽的にも多彩ですね。そういう意味ではこれが日本的ということなのではないかなと思うんです。日本の現代の文化はいろいろなものがごちゃ混ぜですから、そういう意味では日本オリジナルミュージカルとして、とても面白いものができたなという実感はあります。

最高傑作を残して、佐山さんはお亡くなりになられましたが、あの人は生き返りますね。どこかね、その辺にいるような気がずっとしています。この夏、おそらくピアノのあたりに出てくる気がします(笑)

ーー今年の公演はバージョンアップされてるそうですね。

鈴木:ショータイムのところを大幅に見直して、また、新しい曲をやりますので、去年観た方もぜひお見逃しなきよう。

稲垣:去年も一つの完成形ではあると思うのですが、せっかくなので一度観た方にもね。またさらにバージョンアップ、リニューアルしたものを観ていただきたい。お芝居の部分は、ほぼほぼ完成されているので、ショータイムのところを遊びます。稽古はこれからですが、楽しみですね。

ーー日本青年館ホールは稲垣さんにとって思い出の場所だそうですが?

稲垣:うちの両親が結婚式の後の二次会とかをやったらしいんですよね。昭和30年代の話ですが、この話をちらっと聞いた記憶があります。厳密には確認していないんですけど、後で電話して聞いてみます(笑)。青年館ホールがリニューアルされて、そこで舞台ができるのは嬉しいですし、僕にとっては初めてなので、楽しみです。

トークイベントの様子

続いて、囲み会見が行われた。

ーーいよいよ今年も舞台が始まります。

稲垣:舞台というのは、唯一、応援してくださるファンの方と同じ場所で、同じ空気を吸いながら、時間を共にできる場所なので、僕は舞台が大好きです。この舞台は去年京都でやって、東の方でもやりたいなという思いがありました。まさか次の年にできるとは思っていなかったのですが、8月30日から日本青年館ホールでできることをすごく嬉しく思っていますし、楽しみです。

安寿:初めて吾郎さんとご一緒だったんですけれども、舞台はもちろん、京都の1ヶ月、すごくいろいろなところに連れて行ってくださって、美味しいお酒も飲ませていただきました。今回も楽しみにしています(笑)

北村:本当に焼肉が美味しかった(笑)。京都の舞台の免疫があるので、今年もきっといいことが、もっとバージョンアップしてあると思います。

中島:こんなにも温かいカンパニーで、皆さんとても優しくて、またご一緒できるのがすごく嬉しいです。私自身もパワーアップして参加できるように頑張りたいと思います。

ーー3人の女性に囲まれて、恋に落ちるわけですが。

稲垣:贅沢ですよね。男としてこんな幸せなことはありません。しかも一晩でですからね? 結局誰とも成就しないところがコミカルなんですけれども……。

ーーちなみにどなたがタイプなのですか?

稲垣:そういう質問に対する免疫も全然あるんでね(笑)。それはね、選べないです。やっぱり僕も男ですから。その日の気分によって違いますね。わがままなんですよ、男は。こういう日は、北村さんがいいな。こんな夜は、安寿さんがいいな。こういうことをするんだったら、中島さんがいいなって。

稲垣吾郎

北村:こういうことって?(笑)

稲垣:そこは突っ込まないで(笑)贅沢ですよ。最高ですよ。こんな幸せなことはないですし、思う存分、たらしたいと思います。

ーー舞台の見どころは?

稲垣:(昨年とは)もうスタートが違う。1度京都で熟成して、完成したものなので、ここから悪くなることはないので、ブラッシュアップしていきます。舞台って本当にね、毎回毎回、回を重ねることによって、お客さんに観ていただけることによって、色褪せずに成長してくものだと思うし、そうしなくてはいけないと思う。何十回も(本番が)できるのは幸せのことですし、それが舞台の醍醐味で、僕が好きなところでもあります。去年よりパワーアップしたものには絶対なると思います。

ーーイベントでお話しされていましたが、日本青年館ホールは稲垣さんのご両親の結婚式の二次会をした場所だそうですね?

稲垣:まだ確認を取っていないですけど、そういうことにしましょう(笑)。もちろん両親には観に来て欲しいです。両親は毎回舞台を何度も観に来てくれていて、今回もすごい楽しみにしてくれています。とにかく両親は日本青年館ホールで、結婚したばかりの輝く夜を青年館で過ごしたみたいです。僕も今後何かあったら青年館で輝く夜を過ごしたいと思います(笑)

ーー気になる一言ですね。

稲垣:そういうのもあった方がね(笑)

ーーご予定はありますか?

稲垣:予定はないですね。でもわかりませんですよ? 時は刻々と進みますから。

安寿:もしそうなったら私たち3人で歌いますよ。

稲垣:そんな贅沢な!

ーー昨年の京都公演の時は、皆さんでご飯に行ったり、随分楽しく過ごされたそうですね。

稲垣:楽しかったですね。地方公演だから行きっぱなしじゃないですか。旅行しているような感覚で。みなさん、お酒強いんですよ。同じぐらい飲みます。

ーーずっとワインですか?

安寿:それぞれです。

稲垣:中島さんは日本酒の人なんですよ。すごく詳しい。

中島:すみません、飲兵衛で……。

稲垣:舞台の延長みたいな感じで、京都の夜をね、過ごしました。個人個人にもいろんな思い出があります。リアル『君の輝く夜に』でした。東京も楽しみですね。

トークイベントの様子

ーー7月も終わります。今月はジャニー喜多川さんがお亡くなりになりました。

稲垣:僕らの生みの親ですし、ジャニーさんがいなかったらこの世界に、ここに僕も立っていることもないわけですから。でもやっぱり、一番望まれていることはこうやってエンターテインメントで数多くの方々に感動を届けること。ジャニーさんも僕らに対してそれを願っていると思うので、そうやって応えることができたらなと思っています。本当に、ゆっくり、天国でね、休まれてほしいなと思います。ずっとこれからも見守っていてほしいですね。

ーージャニーさんとの一番の思い出は?

稲垣:そうだなぁ。僕はグループの中でも一番怒られたんじゃないかな。やっぱり怒っていただいたことで成長できたし、自分も。怒りやすかったのかな、わかんないですけど。僕は合宿所にいたりして、一緒にいた時間も長かったので、しょっちゅう怒られていたのが思い出。……でも、思い出はキリがないですね。全部教えてくれたのが、ジャニーさんだったので。それは大切にしたいものです。

ーーお別れの会も予定されていますが、出席したいという気持ちはありますか?

稲垣:まぁ僕らも立場がありますので、出たいという気持ちはありますけど。でも、ちゃんと思うことが一番大切だと思いますし、心が通じることが一番大切なことだと思うので。近くにはいたいとは思いましたけれども、気持ちの方が大切だと思います。僕の気持ちもちゃんと届いていると思いますので、今後のことはちょっと分からないんですけれども……。会社にいた頃はもちろんご挨拶しました。お会いしたのは環境が変わる前でしたが、それが最後になると思います。

​『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』は、2019年8月30日(金)~9月23日(月・祝)日本青年館ホールにて上演される。

公演情報

『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』
【作・演出】鈴木 聡 【音楽】佐山雅弘
【出演】稲垣吾郎 / 安寿ミラ 北村岳子 中島亜梨沙
【演奏】佐山こうたpf.  高橋香織vln.  バカボン鈴木b.  三好´3吉´功郎g.  仙波清彦perc.
 
【会 場】 日本青年館ホール
【公演日程】2019年8月30日(金)~9月23日(月・祝)
 
【料金】 S席10,000円 A席8,000円 車椅子スペース席10,000円(全席指定・税込)
※未就学児の入場不可 ※営利目的の転売禁止
 
【その他公演に関するお問い合わせ】
モボ・モガ公演窓口 03-6206-1820(土日祝を除く 11:00~19:00)
 
【企画・製作】 ㈱モボ・モガ
公式HP http://kiminokagayakuyoruni.com/
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