邦楽シーンのアイコンたちがそれぞれの色で魅せた ドリームフェスティバル2日目をレポート

レポート
音楽
2015.11.23
三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

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『~5th Anniversary~ テレビ朝日ドリームフェスティバル 2015』2日目

11月21日から23日までの3日間、代々木第一体育館で開催されている『ドリフェス』。その2日目は、ロックなアクトが目白押しとなった初日とは趣を異にし、シンガーソングライターを中心にしつつも、多様な音楽性を持つアーティストが集結。まさに、音楽を楽しむ祭典にふさわしい、めくるめく祝祭空間となった。その一部始終をレポートする。

back number

back number

2日目のオープニングを飾ったのは3ピースロックバンド・back numberだ。カウントダウンに続けて、真っ青なライトとスペーシーなSEが流れるや、場内を大歓声が満たす。清水依与吏(Vo/G)の「行くぞ!」という雄叫びとともに放たれたフェスティバルの幕開けは「高嶺の花子さん」だ。叙情的なキーボードの音色に乗せて、清水の凛々しくも瑞々しい歌声がフロアに広がってゆく。

「みんなのふくらはぎの状態が良くないみたいだけど。言ってる意味わかるよね? 今日のためにバネ溜めてきてるんでしょ? いい跳躍が見たい! 最後までよろしくね」という清水のMCに続いては、「SISTER」。栗原寿(Dr)のカウントから、一気に強靭なアンサンブルが放たれるや、そのエモーションに呼応したオーディエンスもジャンプで応える。小島和也(Ba)が語りかけるかのような親密さをグルーヴで表現した「花束」といい、サポートメンバーの力を借りながらも、あくまで3ピースバンドのストイックなプレイを軸に据える表現力は見事だ。

駆けつけたファンにはたまらないサプライズも。おもむろに「えー、新曲持ってきました」と、初披露となるナンバー「クリスマスソング」がプレイされたのだ。クリスマスの情景をありありと描くベルのサウンドから始まる壮大なナンバーに乗せ、「君が好きだ」と思いを叫ぶ叙情的なロックバラードだ。続けて「青い春」、そしてキラーチューン「スーパースターになったら」まで、全6曲を届けたback number。ラストは清水が「飛べ!」と咆哮し、花道まで飛び出して客席を煽り倒すアグレッシブな姿で圧倒し、堂々たる姿を観客の目に焼き付けたのだった。

秦 基博

秦 基博

続いてステージに登場したのは秦 基博。先ほどまでの熱狂を、まずはクールダウンさせ自らのフィールドへと誘うかのように、スポットライトに照らされての弾き語り「アイ」からスタート。スポットライト一発のシンプルなライティングも、彼の存在感を一層引き立てていた。スクリーンに大写しになる彼の指先、そこから溢れるサウンドに、誰もが身を委ねている。

2曲めからはバンドがイン。ここからがスタートとばかりに、ストレートなポップナンバー「グッバイ・アイザック」をプレイした後は、続けざまに「キミ、メグル、ボク」へ。代々木の高い天井を突き抜け、さらに天高くまで届きそうなファルセットが、ハネ回るバンドアンサンブルの上で自由に舞う。

「ついに“夢”がつくフェスに出ることができました。自分もここまでやってきたんだなと。夢の場所に来たんだなと。思ってたんですけど、入り口で警備員さんに止められて……ますます頑張っていきたいと思います」と、飾らないMCで笑いを誘った後は、ニューアルバムからのクリスマスナンバー「聖なる夜の贈り物」を披露。そのまま、代表曲「鱗」の絶唱、さらに、秦 基博のディープサイドに踏み込むファンクな「Q&A」と、様々な顔を見せていく。

最終曲の「ひまわりの約束」で聞かせた寄り添うような歌声といい、秦基博の持つ様々な“旨味”をじっくりと堪能できる、内容の濃いセットリストに大きな拍手が送られた。

西野カナ

西野カナ

「カナやーん!」という歓声の中、登場したのは西野カナだ。「今日はみんな一緒に楽しみましょう!」と、まずは「Darling」で軽やかな歌声を響かせる。ハンドクラップに乗って心から楽しそうに体を揺らしながら歌う姿に、オーディエンスもつられてサウンドに乗せられてしまう。花道まで駆け出し、ぐるりと客席を見渡しての「もしも運命の人がいるのなら」ではダンサーも登場し、大舞台に華を添える。一部歌詞をミスってしまい「間違えた!」とはにかむ姿もご愛嬌。失敗も見せ場に変えてしまう、ポップでキュートなステージに誰もが笑顔だ。

胸に手を当て、言葉をひとつひとつ確かめるように歌唱した「好き」や、「11月22日は何の日か知ってる? いい夫婦の日です。そんな日にピッタリな曲」と前置きしての「トリセツ」といい、西野カナのソングライティングにはいろいろな形の“愛”が溢れている。ころころと表情を変えながら、全身で愛を振りまく姿は、まさに歌姫。

パーカッシブなサウンドに乗せて、ステップを踏むように歌った「No.1」や、振り回されるタオルがパワフルなパフォーマンスを後押しした「LOVE&JOY」と、ブライトな空気を生み出してステージから去ってゆく姿に、あたたかい拍手が送られた。

星野源

星野源

右肩上がりに盛り上がりを増すドリフェス、その後半戦のバトンを受けた星野源。1曲めの「夢の外へ」から、チェロやバイオリンというストリングスセクションを加えたバックバンドを従え、まるで異国のカーニバルに紛れ込んでしまったかのような空気を生み出してみせる。

MCでは「源さーん!」という呼びかけに、「どうも源さんです。こんなに源さんって言ってもらえると思わなかった(笑)。今日は源さんでひとつよろしくお願いします。2012年以来3年ぶり! 最後までよろしくお願いします。イェイ!」と「化物」へ。ハンドクラップを促しつつ、ポジティブな空気を解き放つ。

ステージに背を向け、バックバンドを指揮するかのように始めた「桜の森」では、キーボードの独奏に合わせて朗々と歌声を響かせる。スポットの下で、ささやくように物語を綴った「くせのうた」といい、彼の楽曲の大きな魅力のひとつは、パーソナルスペースの近さにあるのではないだろうか。誰もが思い当たるであろう日常の一コマを、とても鮮やかに描き出してみせるストーリーテリングの妙。誰もが自分の経験と重ね合わせ、じっくりと歌を味わっている。さざ波のように広がる拍手が、なんだか親密な空気で、心があたたかくなるのを感じた。

「こんなね、すごい出演者の皆さんと一緒に……本当に幸せです。本当に幸せです。何度もですね、“人生終わった”みたいな瞬間があったんですけど。意外と生きてると、最後にオセロがひっくり返るように良いことに転換できたりするなと思います」と、いい話が始まったかと思えば、「うんこの色だから茶色が好き」という、ユルい話に持っていくところもさすが(笑)。そこからさらに、小学生の時に漏らした経験がなければ今の自分はいない……と、結局はいい話に落としてしまうのだからニクい(笑)。

華やかなサウンドプロダクションを聴かせた、ニューアルバムからの「SUN」、そしてトライバルなグルーヴにまみれて「踊れ!」と叫んだ「Crazy Crazy」と、一筋縄でいかない、しかもそれでいて底抜けにハッピーなお祭りを演出した、圧巻のステージであった。

槇原敬之

槇原敬之

さあ、いよいよドリフェスも終盤戦。トリ前はこの人、槇原敬之だ。イントロが流れるや、大歓声が湧く。スタートナンバーは名曲中の名曲「もう恋なんてしない」! ハンドマイクを手に、全身で気持ちを表現するマッキーに、自然と手拍子が起きる。そのまま、ウィンターソングの定番「冬がはじまるよ」に繋げる流れも見事で、ツボを押さえた流れに、すっかり誰もがマッキーワールドに引き込まれてしまっている。バックバンドと目配せしながらのステージもさすがの貫禄。

「この間作ってこの間できたやつを今日歌うんで、ちょっと自信ないですけど……」と笑いつつ、新曲「一歩一会」も披露。まるで、木漏れ日の下を歩くスピードに合わせたかのような、人生へのあたたかい賛歌だ。色とりどりのライトの下で、どこまでも優しい歌声が響きわたり、1万人に染み渡っていくようだ。

一転してダンサブルなビートを乗りこなした「Fall」での色気といい、槇原敬之というアーティストの声は本当に懐が深い。コール&レスポンスで客席をひとつにした「僕が一番欲しかったもの」まで、様々なスタイルのナンバーでオーディエンスの感情を揺さぶり、堂々たる祝祭感を演出した。

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

6時間に及ぶフェスティバルもついにオーラス! もはや絶叫と形容する方が的確な歓声を浴びて登場したのは、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE! 脈打つ心臓の鼓動のようなSEから、「Eeny,meeny,miny,moe!」へと、一瞬でフロアの熱狂を絶頂まで引き上げる。ヘヴィでソリッドなダンスビートをまとって繰り広げられる、今市隆二と登坂広臣のボーカルリレーと、5人のパフォーマーの一糸乱れぬダンスに、代々木第一体育館が揺れる。

「Are You Raedy!?」の叫びが否応なしにテンションのギアを上げる「STORM RIDERS feat. SLASH」では、タイトル通り嵐のような盛り上がり。一瞬たりとも攻勢を緩めるつもりはない、そんなオーラをステージからビシビシと感じる。

「最高の思い出を作っていきましょう!」と今市が宣言して、次なるナンバー「O.R.I.O.N」へと突入。サイバーでトランシーなサウンドが渦巻く、尻上がりの熱狂ナンバーだ。「Everybody, Jump!」というアジテートに合わせ、1万人を収容した会場がダンスフロアへと変貌する様はひたすら爽快。開幕3曲でこの上ない盛り上がりを生み出した後、MCでは「2日目のトリを飾らせていただけるということで、本当に光栄な気持ちでいっぱいです! 今日はここで最高のパフォーマンスをして、明日3日目にしっかりと繋いで行けるように。みなさんよろしくお願いします!」と、最多出演アクトとしての感謝と気概を語り、ライブは中盤へと進む。

「冬物語」、「Powder Snow~永遠に終わらない冬~」と2曲続けてミディアムな冬のバラードを届けたあとは、「Unfair World」でさらにドラマティックな情景を生み出す。アゲるだけではなく、しっかりと歌を聴かせ、ドラマをダンスで表現する。このギャップと引き出しがあるからこそ、彼らはシーンの最前線を走っていいられるのだろうと実感させられた。そんな中盤ブロックを挟んでの後半戦は、再びアッパーに攻め立てるナンバーを連発。「Summer Madness feat. Afrojack」でのパフォーマーたちのキレまくりのダンスといい、全方位にポジティブなオーラを解放した「君の瞳に恋してる」といい、彼らの放つエネルギーは底なし、かつ上限がない。

アンコールでは、「待ってました」の「J.S.B. DREAM」、そして「R.Y.U.S.E.I.」の2曲が炸裂。銀テープが舞い散る中で、「ありがとう!」と声を上げるメンバーに、客席からも同じく「ありがとう」の声と惜しみない拍手が送られた。これこそまさに完全無欠のエンタテインメント・ショー。11月の冷気の中、大団円の熱気はいつまでも冷める気配がなかった。


文=矢野裕也

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE

セットリスト

back number
1. 高嶺の花子さん
2. SISTER
3. 花束
4. クリスマスソング
5. 青い春
6. スーパースターになったら

秦 基博
1. アイ
2. グッバイアイザック
3. キミ、メグル、ボク
4. 聖なる夜の贈り物
5. 鱗
6. Q&A
7. ひまわりの約束

西野カナ
1. Darling
2. もしも運命の人がいるのなら
3. 好き
4. トリセツ
5. No.1
6. LOVE&JOY

星野源
1. 夢の外へ
2. 化物
3. 桜の森
4. くせのうた
5. くだらないの中に
6. 地獄でなぜ悪い
7. SUN
8. Crazy Crazy

槇原敬之
1. もう恋なんてしない
2. 冬がはじまるよ
3. 一歩一会
4. LOVE LETTER
5. Fall
6. 僕が一番欲しかったもの

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE
1. Eeny,meeny,miny,moe!
2. STORM RIDERS feat. SLASH
3. O.R.I.O.N
4. 冬物語
5. Powder Snow ~永遠に終わらない冬~
6. Unfair World
7. Summer Madness feat. Afrojack
8. (YOU SHINE)THE WORLD
9. 君の瞳に恋してる -Can't Take My Eyes Off You-
En1. J.S.B DREAM
En2. R.Y.U.S.E.I

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