中川晃教、加藤和樹、大原櫻子が挑む“極上のエンターテインメント” 新作ミュージカル『怪人と探偵』稽古場レポート
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『怪人と探偵』に出演する、中川晃教、大原櫻子、加藤和樹(右から)
大怪盗・怪人二十面相と、名探偵・明智小五郎が“世界で一番綺麗な宝石”をめぐり、華麗な対決を繰り広げる新作ミュージカル『怪人と探偵』が2019年9月14日(土)からKAAT神奈川芸術劇場ほかで上演される。日本を代表する作詞家である森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュースを、同劇場の芸術監督である白井晃が演出をそれぞれ担い、中川晃教、加藤和樹、大原櫻子ら豪華キャスト陣が出演する。どんな舞台になるのか。開幕をおよそ1ヶ月前に控えた8月中旬、稽古場を取材した。
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
物語の舞台は昭和34(1959)年の東京。元子爵北小路家の令嬢・リリカと、安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表の日、北小路家の大広間では、華やかな仮面舞踏会が催されていた。パーティの最中、不思議なことに、誰も気づかぬうち、大広間の柱時計には怪人二十面相の犯行予告状が貼り付けられる。
『3日後、10時北小路家の家宝「パンドーラの翼」を頂戴する』
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
指定の日時、二十面相の反抗を阻止するために、探偵・明智小五郎が北小路邸を訪れる。明智を一目見た北大路家のリリカは明らかにショックを受ける。明智も動揺を抑えている。実はリリカには暗い過去があり、明智とリリカには深いつながりがあったのだ。
10時を告げる鐘の音とともに、予告通り怪人二十面相が現れ、「パンドーラの翼」は爆発。明智は負傷し、二十面相がリリカを連れ去ってしまう……というストーリーだ。
『GOLD』(2011)、『アダムス・ファミリー』(2014,2017)でもタッグを組んだ森雪之丞と白井晃が満を持して、昭和モダンな時代を背景にした新作ミュージカルを作り上げる。
※以下、十分に配慮はしておりますが、若干のネタバレを含みます※
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
演出の白井晃と、作・作詞・楽曲プロデュースの森雪之丞(右から)
この日の稽古は、冒頭から順番に返し稽古を行った。
第1場は大東亜博物館の場面。怪人二十面相が、チベットの秘宝「シャングリラの雫」を奪いに来ると予告していた。刻まれる時計の音。本当に怪人二十面相は来るのか、そしてどうやって。緊張感のある場面。低音部が脈動する、変拍子のスリリングな音楽が迫り来る危機を予感させる。
演出の白井晃に「張り合ってみて」と言われ、胸板を突き合わせていたはずなのに、中川晃教が「いい胸...」と加藤和樹に思わず寄り添う様子(笑)
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
名探偵・明智小五郎を演じるのは、加藤和樹。スマートでキレがあって、キマッている。そして、怪人二十面相を演じるのは中川晃教。中川本人はとてもオープンマインドな人だが、不敵な笑みを浮かべるミステリアスな役も似合うのだなと発見があった。
この明智小五郎vs怪人二十面相の“バトル”が見どころの一つとなる。東京スカパラダイスオーケストラによるテーマ曲『憂愁モダン』に合わせ、“バトル”が進行する場面が序盤にあるのだが、これが非常に面白い。ジャージーでお洒落でテンポの良い曲。加藤、中川はじめ、ほぼ出演者総出が踊り、動き、走り、魅せる。この日の稽古でも、1時間近くかけて、そのドタバタ騒ぎのステージングを確認していた。
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
そして、第二場。場面は東京の麻布周辺へと移り変わる。ショールを真知子巻きにしたリリカ(大原櫻子)が、『東京ランデヴー』というしっとりとしたソロ曲を歌いながら、街を歩くシーン。大原の透明感のある歌声。気品と可愛らしさを兼ね備えた雰囲気がよい。
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
3時間ほど稽古場にお邪魔させてもらったが、「新作」ということもあるのだろう、キャスト・スタッフが一丸となり、創作に打ち込む姿が印象的だった。どうしたらもっと作品が良くなるのか、演出の白井を中心にみんなで突き詰めていた。休憩中や、稽古の合間でも、積極的に話をしたり、確認をとったり。笑いが絶えない。カンパニー全体の仲の良さが伝わった。
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
ミュージカル『怪人と探偵』の稽古場の様子
ほんの一部のシーンでも十分ワクワクしたし、お洒落な楽曲たちが耳から離れない。これからどんな展開が待っているのか。“極上のエンターテイメント作品”と表現されている通り、完成度の高いミュージカルになるのは間違いなさそうだ。本番を楽しみに待ちたいと思う。
公演情報
【原案】江戸川乱歩
【テーマ音楽】東京スカパラダイスオーケストラ
【作曲】杉本雄治(WEAVER)
【音楽監督】島健
【演出】白井晃
【出演】中川晃教 加藤和樹 大原櫻子
水田航生 フランク莉奈 今拓哉 樹里咲穂
有川マコト 山岸門人 中山義紘 石賀和輝
高橋由美子 六角精児
斎藤桐人 石井雅登 碓井葉央 菅谷真理恵 大久保徹哉 咲良 茶谷健太 加藤梨里香
【会場・日程】
横浜:KAAT 神奈川芸術劇場 〈ホール〉 2019年9月14日(土)~29 日(日)
兵庫:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 2019年10月3日(木)~6日(日)
日程:2019年9月25日(水)
開演:14:00~ (開場 13:30~)
会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
【公式サイト】http://www.parco-play.com/web/play/kaijintotantei/
【お問合せ】
パルコステージ 03-3477-5858 (月~土 11:00~19:00/日・祝 11:00~15:00)
http://www.parco-play.com/
【製作】PARCO/KAAT 神奈川芸術劇場/アミューズ/WOWOW
【東京公演後援】TOKYO FM
【兵庫公演主催】兵庫県/兵庫県立芸術文化センター