暑い夏を吹き飛ばせ!コンドルズ日本縦断新元号ツアー2019『Don’t Stop Me Now』堂々開幕
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
暑い夏を吹きとばせ! そんな勢いを感じるコンテンポラリーダンス集団・コンドルズの新作『Don’t Stop Me Now』が、2019年8月22日(木)、東京・世田谷パブリックシアターで幕を開けた。本作は「コンドルズ日本縦断新元号ツアー2019」と銘打たれ、約半年をかけて東京から九州まで日本を縦断する。構成・映像・振付は、コンドルズの主宰でもある近藤良平だ。
東京公演は「せたがやこどもプロジェクト2019《ステージ編》」の一環でもある。8月23日(金)19時の公演では、世田谷区の小学生がオープニングアクトに参加する予定だ。さらに、8月24日(土)13時と8月25日(日)14時の公演に限り、0歳〜3歳の子どもの膝上鑑賞が可能となっている。
以下で、初日直前に行われたゲネプロの模様をレポートする。
上演時間は約1時間50分、休憩なし。この時間に、ダンス、芝居、コント、人形劇、クイズ、ムービーといった様々なコンテンツが惜しみなくギュギュッと凝縮されている。コンドルズがコンテンポラリーダンス集団であることは確かだが、彼らはダンスとその他のコンテンツを絶妙に掛け合わせた総合エンターテインメントを観せてくれた。扱われている音楽のジャンルもJポップからクラシックまで、実に多様だ。ネタものの最中にクラシカルなピアノソロを流すといったギャップにも、センスが光る。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
劇中にはこれでもかという程のミニコントが詰め込まれており、次から次へと怒涛の勢いでネタが披露されていく。時にはカメラを向けていいものか躊躇するような場面もあったが、これもご愛嬌だろう。コンドルズのトレードマークの学ランのみならず、ちょっと眼のやり場に困るような刺激的な衣装も取り入れられていた。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
キャストが客席に降りてピアニカを吹いたり、フリスビーを投げ合ったり、他にも観客参加型のサプライズがあるのでお楽しみに。その日限りの舞台と客席の一体感を味わってほしい。
ネタもので散々笑わされていると、つい彼らがダンス集団であることを忘れてしまう。だが、コンドルズのダンスシーンはやはり魅力的だ。学ランを着込んだ男たちが一心不乱に板の上を舞う姿には、不思議と人を惹きつけるものがある。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
年齢も体型もバラバラな彼らが全身全霊で楽しんで踊る姿からは、”Don’t Stop Me Now”という心の叫びが伝わってくるような気がした。総勢15名のキャストが所狭しと舞うダンスフォーメーションも非常に美しいが、彼ら一人ひとりの活き活きとした表情も見逃さないようにしたいものだ。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
コンドルズと言えば群舞のシーンがよく知られているが、主宰の近藤良平のソロダンスも印象的だった。疾走感のある音に乗せて踊る他のダンスシーンとはうってかわって、静寂の中で近藤は踊る。照明もスポットライトだけだ。舞台上における全ての装飾を削ぎ落とした状態でひたすら踊り続ける彼の姿は、ただただ熱かった。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
ゲネプロ終了後には、まるで自分も一緒に踊っていたかのような心地よい疲労感と満足感が残っていた。コンドルズのダンスには、生命力が溢れている。故に、多くの人が彼らから生きる力をもらい、それを明日への活力とするのだ。
日本縦断新元号ツアーはまだまだ始まったばかり。情熱的で痛快なコンドルズのパフォーマンスの目撃者となり、「Don’t Stop Me Now」を口ずさみながら劇場を後にしてほしい。
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』
取材・文・撮影 = 松村蘭(らんねえ)
公演情報
コンドルズ『Don’t Stop Me Now』