リーガルリリー『RUSH BALL 2019』 クイックレポート ーー3年連続出演、初の大舞台、オープニングアクト、淡々とかき鳴らす姿の潔さ
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リーガルリリー
『RUSH BALL 2019』リーガルリリー
ライブレポートの準備をしていると、くるり「三日月」が流れてくる。オープニングアクトのリーガルリリーがリハーサルで鳴らしている模様。人によっては何気ない光景かもしれないが、私のように引っかかる人も間違いなくいる。リハーサルから惹きつけるという事も、今のフェスが多い時代、大切になってきている。
2年前、ATMCで初出演して、去年も出演して、今年満を持しての大きなステージ。2年前、ライブレポートを担当していたので、その時に何を書いていたか振り返ろうと思ったが、あくまで今年のリーガルリリーを観たいので止めた。時間になり、Tシャツ姿の3人が現れて、横に並び、礼をする。
特に何も発さず、たかはしほのか(Vo.Gt)がギターをカッティングでかき鳴らし、1曲目「the tokyo tower」でスタート。たかはしのアンプの上に2匹のウサギの人形が飾ってあって、可愛いなと思いつつも淡々と演奏を進めていく、そのギャップが何とも言えない。曲終わり、ほんのひとこと「RUSH BALL……」と喋るが、か細い声で聞き取れず、そのまま「トランジスタラジオ」へ流れ込む。同タイトルの昔の名曲を思い出しつつも、たかはしのよく通る歌声を聴いてると、そんな事も自然にどうでもよくなる。これ、多分、2年前も書いているのだが、華奢な体でギターをかき鳴らすたかはしは、本当に様になる。かっこいい。曲終わり、「リーガルリリーです。よろしくお願いします」、今度はしっかりと聞き取れたし、必要以上の事を喋らないのも潔い。
「ハナヒカリ」、「リッケンバッカー」と続き、ずっと凝視していた観客も、ようやくリズムを取るように体を揺らし始める。《リッケンバッカーが歌う リッケンバッカーが響く リッケンバッカーも泣く》、その後に《おんがくも人をころす。》、《おんがく、人を生かせ》と2箇所で歌われる。シンプルな言葉だが、深く心に残る。どんな意味合いが込められているのか考えたくなるが、それは人ぞれぞれが受け止めたら良いのだろう。曲間、たかはしが喋る。1997年というたかはしの生まれ年、そして「ずっと一緒に音楽を続けられたらいいなと」と聞こえた。ほぼ同い年の3人。こうやって、ずっと誠実に音楽を鳴らし続けていくんだろうなと思った。
ラストナンバー「はしるこども」で雨がパラパラ降り始めた。たかはしとベースの海が、ドラムのゆきやまに向かってラストスパートの様にかき鳴らしていく。勢いあまって海はマイクスタンドを倒す。歌詞の如く、全身全霊で走り出す感じ……。終わった瞬間、たかはしはギターを置いて、そのまま袖へ消えていく。その素っ気ない感じは、ただただ音楽をかき鳴らしに来た姿勢が伝わってきた。来年、このステージで、どうかき鳴らすか再度観てみたい。
セットリスト
- the tokyo tower
- トランジスタラジオ
- ハナヒカリ
- リッケンバッカー
- はしるこども