SUPER BEAVER『RUSH BALL 2019』クイックレポート ーー雨の中で見せた、15年目のインディーズバンドの意地と未来
SUPER BEAVER
『RUSH BALL 2019』SUPER BEAVER
『RUSH BALL』を間近に控えたタイミングで、藤原(Dr)の体調不良による一時離脱がアナウンスされ、サポートに10年来の知人であるドラマー・河村吉宏を迎えて挑んだこの日。時間帯はトリ前の完全なる夜間帯。ATMC、トップバッター、日中と『RUSH BALL』で様々な景色を観てきた彼らにとっても、それを観る側にとっても、初めての光景。渋谷へのピンスポットも抜群に映える。
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この夏も各地の野外フェスに出演した彼らだが、今日のビーバーはひときわエモーショナル。歌い方しかり、バンドの演奏しかり、藤原不在のステージだからこそ、SUPER BEAVERという城を守る並々ならぬ気合いを感じる。「悪戦苦闘、逆境、かかってこい! レペゼン、あっち=ATMCのステージ(笑)。いいか、1対1だからな。一度たりとも目を離さないから、覚悟しとけよ。このステージに立つまでに、何人の想いがあったと思ってんだ。それを全部ぶつけに来たんだ!」(渋谷、以下同)。ヒリヒリするような荒々しさと爆発力で牽引する今日のビーバーは、やっぱりひと味違う。
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「4人のSUPER BEAVERを楽しみにしてくれた方がいたとしたらごめんねっていう気持ちですが、今日は俺たち3人、よっちも入れて4人、そもそも言うと、藤原も入れて5人でオンステージしてる気持ちでこの場所に立ってます。あいつら、ドラムを代えたらたいしたことなかったぜって思うならそれまでのバンドですが、期待を優に超えるステージをやりますんで、よろしくお願いします!」
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鳴り始めたイントロに乗せて、歌が始まるギリギリまでオーディエンスに向かってメッセージを届ける渋谷。久しぶりにここまで必死なビーバーを観ているような気がしながら、何だか合点がいった。そういやこのバンドは、今までもいつだって、ピンチをチャンスに変えてきたってことを。
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「メンバー1人欠けたからって砕けるような15年を過ごしてきたつもりは毛頭ないんで。俺たちがSUPER BEAVERという“意思”だ! あなたたちじゃないぜ、あなたにこれをぶつけに来ました。束になってかかってくんじゃねーぞ! 1人で来い!!」。そう、その1人を何万人だって受け止めるのがSUPER BEAVERのセオリーだ。巻き起こるシンガロングに鳥肌が止まらない。SUPER BEAVERの『RUSH BALL』のオーディエンスは、やっぱりハンパない!
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「うまくいくことばっかりじゃないし、逆境の方が多いのかもしれないけど、1つ1つ無様でも、カッコつかなくても乗り越えていくことに、何かしら意味があるんじゃないかと思ってます。こうすればよかったとか、こうあるべきだったっていう後悔は、自分でどうにかしないと、後悔のまま墓場まで持っていくことになる。あの日あのときあの失敗があったから今日につながれたのは、あなたがその感情をしっかり離さず持ってた結果だと思います。ムカつくなと思ったり、イライラしたり、怒ったり、そういう感情も、自分でしか守ることのできない大事な感情です。俺たちはそれを1つも捨てずにこの場所に来ました。そうしたらあなたと会えました。15年目のインディーズバンドを、トリ前という素敵な時間帯に置いてくれた全ての人の気持ちに感謝します。また、こうやってつなげてくれた縁、大事にしたいし、またあなたに会いたいなと思ってます。来年も勝手に出るつもりでいますが(笑)、俺たちはライブハウスのバンドなんで、その前にライブハウスで会いましょう」
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15年という決して短くはない時間をかけて、SUPER BEAVERはここまでやってきた。4人で1日の最後にこの大舞台に立つという「初めて」を観る日が、もうそこまで来ていると思えたのは、決して私だけではないだろう。
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文=奧“ボウイ”昌史 撮影=瀧本JON...行秀
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