マリインスキー・バレエ日本公演レポートvol.7〜来日記者会見

2015.11.29
レポート
クラシック
舞台

 11月26日から計10回の引っ越し公演を首都圏で行うロシアの名門、マリインスキー・バレエ団。すでに20日からスタートした関西公演で『白鳥の湖』『ロミオとジュリエット』を成功させた一行が、東京初日を前に25日、『ジュエルズ』の会場となる文京シビックホールで記者会見を行った。
(取材・文:小田島久恵 写真:M.Terashi & J.Otsuka /TokyoMDE )

 「マリインスキー・バレエが初めて日本を訪れて50年が経ちました。日本での公演は毎回、特別な雰囲気に溢れていて、観に来てくださるファンの方々がバレエ芸術に理解が深いことを肌で感じます。今回上演するのは、愛され続けている『白鳥の湖』と『ロミオとジュリエット』、そしてマリインスキー・バレエとして初めて披露する『愛の伝説』です。ソリストを含め若くフレッシュなダンサーたちはこの日本公演をとても楽しみにしています」と、意気込みを語るユーリー・ファテーエフ舞踊監督。

ユーリー・ファテーエフ舞踊監督


 グリゴローヴィチ振付の『愛の伝説』は、マリインスキー・バレエ団のために振り付けられた作品だが、日本では37年前にボリショイ・バレエ団によって上演が行われて以来の上演となる。この作品でメフメネ・バヌー役を踊るウリヤーナ・ロパートキナは、「最も愛するバレエのひとつ」と作品の魅力を語った。
 「メフメネ・バヌーというとても情熱的な女性の役を踊ります。主役が3人いるバレエで、ひとりではなく3人で作っていく、心のやりとりが魅力的なのです。日本のお客様にお届けできることを嬉しく思います」(ロパートキナ)

ウリヤーナ・ロパートキナ

 マリインスキーのレパートリーで数多くの主役を踊るウラジーミル・シクリャローフは『愛の伝説』と『ロミオとジュリエット』に登板する。
 「日本に来られるのは毎回大きな喜びです。日本は特別な国だからです。特に今回ツアーの中に『愛の伝説』が入っていて、東京文化会館でこのバレエを踊れることがとても嬉しい。13年間マリインスキー・バレエ団で踊ってきましたが、ロシア国外にこの演目が出るのは初めてです。『ロミオとジュリエット』でも踊りますが、僕が出ない日も仲間たちが素晴らしい踊りを見せますので、ぜひ観に来てください」(シクリャローフ)

ウラジーミル・シクリャローフ

 ダンチェンコ・バレエ団、ミハイロフスキー・バレエマリインスキー団を経て、2014年にマリインスキー・バレエに入団した新スター、クリスティーナ・シャプランにも注目が集まった。
 「ワガノワ・バレエ学校時代に日本で踊ったことがあるので、実は初来日ではないのです。今、マリインスキーにいることが本当に幸せで、サンクトペテルブルクの街も大好きです。私を指導してくださる先生にも感謝しています。アスィルムラートワ先生との出会いは私を大きく成長させてくれました」(シャプラン)

クリスティーナ・シャプラン


 
 質疑応答では、ここ数年でプリンシパル・ダンサーが多く引き抜かれたこと、ワガノワ・バレエ学校卒業生の「マリインスキー離れ」に触れる質問もあったが「マリインスキーはつねにレベルが高く、主役ダンサーはつねに今日の主役を超えなければならないのです」とファテーエフ監督の回答。「我々は常にダンサーを育てます。他のカンパニーのようにスターを買収することは一切ありません」という強い発言もあった。ニジンスキー、ヌレエフ、バリシニコフら伝説のダンサーを輩出したマリインスキー・バレエ。東京公演は明日から12月6日まで行われる。

ティムール・アスケロフ
「5回目の来日です。日本文化が大好きで、日本食も大好き。僕にとって日本はとても『近い国』です」

ティムール・アスケロフ

エカテリーナ・コンダウーロワ
「この日本公演は、私にとって怪我からの復帰となる大切な公演です。カムバックのために日本のスタッフからは大きなサポートで支えてもらっています。嬉しいプレッシャーを感じながら踊っています」

エカテリーナ・コンダウーロワ

キム・キミン
「僕の初めての海外公演が日本でした。また戻ってこられて嬉しいです!」

キム・キミン


マリーヤ・シリンキナ
「3回目の来日です。日本のお客さんは目が肥えていて、ステージで踊っていると大きな愛情を感じるのです。全力で演じます」

マリーヤ・シリンキナ


ザンダー・パリッシュ
「日本は4回目の来日で、7年前にロイヤル・バレエ団で来たときはコールド・バレエでした。バレエを愛する日本のお客様に向けて、頑張って踊りたいと思います(ロシア語で)」

ザンダー・パリッシュ


【公演詳細】
◆マリインスキー・バレエ来日公演
《東京公演》

『ジュエルズ』 11/26(木)18:30 文京シビックホール 
『愛の伝説』 11/27(金)18:30、11/28(土)13:00 東京文化会館 
『ロミオとジュリエット』 11/30(月)〜12/2(水) 東京文化会館 
『白鳥の湖』 12/4日(金)〜12/6(日) 東京文化会館 
*詳細については下記ウェブサイトでご確認ください。
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/mb2015/index.html

《三重公演》
『ロミオとジュリエット』 11/20(金)18:30 三重県文化会館 
問:三重県文化会館カウンター059-233-1122
http://www.center-mie.or.jp/bunka/event/detail/2238

《大阪公演》
『白鳥の湖』 11/21(土)17:00 フェスティバルホール 
『ロミオとジュリエット』 11/22(日)16:00 フェスティバルホール 
問:フェスティバルホールセンター06-6231-2221
http://www.ytv.co.jp/event/contents/event_1728497.html?145940

《滋賀公演》
『白鳥の湖』11/23日(月・祝)15:00 びわ湖ホール 
問:びわ湖ホールセンター077-523-7136
http://www.biwako-hall.or.jp/performance/2015/02/13/post-21.html

《愛知公演》
『白鳥の湖』11/29(日)17:00 愛知県芸術劇場 
問:中京テレビ事業052-957-3333
http://cte.jp/detail/15/151129/index.html