藤田真央(ピアノ)の演奏に精鋭集うオーケストラも「スゴすぎる!」と感嘆の声 スタクラフェス直前リハーサルレポート

2019.9.25
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藤田真央とSTAND UP! ORCHESTRA

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2019年9月28日(土)・29日(日)横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される国内最大の野外クラシックフェスティバル『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL(通称:スタクラフェス)』にピアニストの藤田真央が出演する。

今年、第16回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門にて、ロシア現地の聴衆からスタンディングオベーションを受け、第2位を受賞したことが記憶に新しい藤田。そんな自身と同じく、国際コンクールを舞台に世界を目指すピアニストたちの挑戦を描いた映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日全国東宝系で公開)において、藤田は、鈴鹿央士が演じる風間塵の演奏を担当している。9月28日(土)に行われる『クラシック in シネマ』(HARBOR STAGE)では、劇中で演奏したバルトークの「ピアノ協奏曲 第3番」を披露する。

本番を控えた9月24日(火)、東京都内のスタジオでSTAND UP! ORCHESTRAと共に行ったリハーサルの様子をレポートする。


リハーサルの様子

本番まであとわずか。連日ソリストたちと練習を重ねているSTAND UP! ORCHESTRAのメンバーたちは、休憩時間も真剣な表情で楽譜を追いかけていた。予定よりも早く到着した藤田を、指揮者の松沼俊彦が「ソリストの藤田真央さんです」と紹介すると、コンサートマスターでヴァイオリニストの桐原宗生が立ち上がって歓迎。握手を交わすと藤田は、手にしていた黒いリュックサックから譜面を取り出し、ピアノの上に置いた。

「バルトークです。お願いします」。松沼の合図で呼吸を整えると、藤田の指が鍵盤を滑り始めた。軽やかに跳ねながら、反復する指を見つめていたスタッフから「すごい」とため息がもれた。

リハーサルの様子

リハーサルの様子

1度目の通し練習を終えると松沼が「素晴らしい。何でそんなに弾けるの」と目を丸くした。藤田に食らいついていこうと、全力のオーケストラの面々は額に汗が噴き出ていた。音合わせを終え、ほっとした表情の藤田。楽譜をめくりながら確認をしている間に、松沼は「ラストは、あの速さで(藤田が)来るんで。2小節ごとに数を合わせて。楽譜を全て弾こうとすると出遅れてしまう」と49人に注意点を説明した。このオーケストラは、STAND UP! CLASSICプロジェクトのために約千人の応募者の中から選ばれた精鋭だが、藤田の異次元の速さには驚きがあったようだ。

リハーサルの様子

藤田真央

「藤田さんから、何かありますか」と松沼に水を向けられると「581の音が遅れるのが気になります」と指摘。「リズムがホーンの方に来るようにやってみよう。ピアノと掛け合う場面は、(ピアノの)音を聴いていると遅れちゃうから」と軌道修正した。ほかにも「音の歯切れを良く」など3つほどの課題があったが、全体練習は瞬く間に終了。

藤田真央

音合わせを終えた藤田は「自由に弾かせてもらってたので、みなさんが合わせるのが大変だったかも。みなさん、受けとめて応えようとしてくれていたのが、伝わってきました。もうちょっとテンポを抑えようかなと思ったけれど、いいやと。みんな付いてきてくれるから」と楽しそうだ。松沼は「タタタタって、スピードも正確さも人間業じゃない」と絶賛。「速いから弾けるんじゃない。弾けるから速いんだよね」と若き天才の力を肌で感じ驚がくした様子だった。

バルトーク「ピアノ協奏曲 第3番」は藤田も愛読したという恩田睦が書き下ろした『蜜蜂と遠雷』で藤田が吹き替え演奏を担当した風間塵が、本選で演奏した曲。藤田は「ファイナルで弾こうと塵くんが選んだ曲。爆発力があると同時に、ナチュラル、自然を感じさせる懐かしいメロディーもあって、塵くんの良さが出ている」と話していた。

藤田真央

「バルトークの曲はどれもそうですが、楽譜は数学的要素があるので、暗譜するのが難しい」と語ったが、「オケパートは読み込んでいるから」とトランペット、オーボエなどと掛け合う場面では、奏者の方に目を配る場面もあった。28日(土)のステージは、“音楽の神様”に愛された藤田の類いまれな才能を感じられる時間になるだろう。

リハーサルの様子

藤田真央

当日のステージでは、ほかにもドビュッシーの「月の光」を演奏する。野外のため普段のコンサートホールとは違い、PAを使う予定になっているが、藤田にとってはこれがとても珍しいよう。音の感触について、「ドラム式の洗濯機でお布団を洗った後、扉を開けて『モワーーッ』とした蒸気と共に香る柔軟剤の香りのイメージ」と説明してくれた。「霧が発生した、もやの中で聴く『月の光』かな」とも表現していた。

藤田真央

『クラシック in シネマ』(2019年9月28日(土)HARBOR STAGE)には、ほかにも、同じく『蜜蜂と遠雷』にて松坂桃李演じる高島明石の演奏を担当した福間洸太朗宮本笑里(ヴァイオリン)、そして総合司会も務める松下奈緒が登場し、映画でおなじみのクラシックの名曲を披露する。当日のステージが楽しみだ。

映画『蜜蜂と遠雷』風間塵とクラシックメドレー演奏してみた

取材・文・撮影=Ayano Nishimura

公演情報

『イープラス presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019』
 
■開催日時:2019年9月28日(土)29日(日)開場9:30/開演10:30(20:20終演予定)
■会場:横浜赤レンガ倉庫特設会場
■出演者(50音順)
【総合司会】松下奈緒【特別出演】五嶋龍(ヴァイオリン)
【ソリスト】相葉裕樹/朝夏まなと/石若駿(パーカッション)/伊礼彼方/上野耕平(サックス)/エリアンナ/茅野愛衣(声優・トーク出演)/紀平凱成(ピアノ)/北川辰彦(バスバリトン)/鍵盤男子(ピアノデュオ)/五嶋龍(ヴァイオリン)/小林沙羅(ソプラノ)/昆夏美/阪田知樹(ピアノ)/篠原悠那(ヴァイオリン)/反田恭平(ピアノ)/種田梨沙(声優・トーク出演)/TSUKEMEN/DEPAPEPE/NAOTO(ヴァイオリン)/西村悟(テノール)/→Pia-no-jaC←/福間洸太朗(ピアノ)/藤田真央(ピアノ)/藤原道山(尺八)/外村理紗(ヴァイオリン)/松下奈緒(ピアノ)/三浦一馬(バンドネオン)/宮本笑里(ヴァイオリン)/山中惇史(ピアノ)LE VELVETS/大月さゆ・彩花まり・岡本悠紀・吉田萌美・土倉有貴・田川颯眞(Living Room MUSICAL and more)
【指揮】青島広志/松沼俊彦/三ツ橋敬子
【アンサンブル】神奈川フィルハーモニー管弦楽団/シアター オーケストラ トーキョー/STAND UP! ORCHESTRA/神奈川県立弥栄高等学校吹奏楽部・合唱部/川崎市立高津高等学校吹奏楽部 and more…
 
【プレミアムシート(指定席)】25,000円
【自由席 エリアA(ブロック指定)】13,800円
【自由席 エリアB(ブロック指定)】9,800円
【芝生エリア(自由)】8,800円
※全て税込み
※芝生エリアはすべてのお客様にご入場いただけます。
※プレミアムシートは指定席、自由席エリアA・Bはブロック指定となります。
※その他の券種については、公式WEBサイトをご覧ください。
 
■主催:イープラス/朝日新聞社
■共催:横浜アーツフェスティバル実行委員会
■特別協賛:GALAXY ENTERTAINMENT
■協賛:クレディセゾン/公益財団法人ソニー音楽財団(Sony Music Foundation)/Aggreko Japan 株式会社
■後援:神奈川県/横浜市文化観光局/tvk/テレビ埼玉/BSフジ/FMヨコハマ/J:COM
■企画制作:イープラス/Zeppライブ/電通
■制作協力:クリエイティブマンプロダクション
■協力:日本クラシック音楽事業協会/ソニー・ミュージックエンタテインメント
 
■「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019」公式WEBサイト:https://standupclassicfes.jp
■e+(イープラス):https://eplus.jp/
■株式会社イープラス:https://corp.eplus.jp/
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