葵わかな「日本のお客様に感情移入してもらえるようなアーニャを目指したい」 ミュージカル『アナスタシア』インタビュー
葵わかな
2017年にブロードウェイで初演されたミュージカル『アナスタシア』が、本国クリエイティブスタッフ&日本キャストのタッグで、日本初演される。アナスタシア伝説をもとにした同名アニメに着想を得て制作された本作。記憶を無くした主人公のアーニャが、過去を取り戻し、本当の自分を見つけるまでの旅路を描いた壮大な物語だ。SPICEでは、Wキャストでタイトルロールに挑む、葵わかなと木下晴香にそれぞれ取材を実施。まずはミュージカル出演2作目となる、葵わかなのインタビューからお届けしよう。
ーー本作をスペインでご覧になったと伺いました。観客として観た、率直な感想を教えてください。
スペイン語での上演だったので、細かい部分は分からなかったのですが、素敵なストーリーだと感じました。スペイン版も、舞台装置や衣裳などの演出は、オリジナルのブロードウェイ版と一緒で、とてもきらびやかで豪華なんです。視覚的にも楽しめるミュージカルだと思いました。
ーーアーニャ役はオーディションで決まったそうですね。
海外クリエイティブスタッフの方の前でお芝居をしたり歌ったりという経験が今までなかったので、とても緊張しました。芝居や歌の指導をしていただいたのですが、演出をつけてくださる時の熱量がとにかくすごくて。最初は驚いたんですけど、その様子を見ていて、アーニャもこういうパワーを持った子なのかな、と海外の方のエネルギーを肌で感じることができました。
葵わかな
ーーオーディションはどんな内容でしたか?
台本の一部をいただき、実際にアーニャを演じました。「アーニャはこういう子だから、こういう歩き方をして」とか、「一人で生き抜いてきた子だから、怖がることはないんだよ」「驚くこともない、あまり笑わないでほしい」など、かなり具体的に演出をつけていただきました。当初の私のイメージよりもアーニャはずっと強い子で驚きました。他にも「セリフのこの部分でこういう感情になって言って欲しい」とか、「今は優しく言ったけど、今度はキツく言ってみて、その次はちょっとふざけるように」とか、細かく演出をしていただきました。
歌の審査では、まだ仮のものではありましたが、日本語の歌詞で『アナスタシア』の曲を歌って。壮大な世界観のものが多くとても難しかったです。舞台装置や衣裳に負けないように、私の大きいとは言えない体を最大限に使って表現していかないといけないな、と思いました。キャッチーで耳に残る曲が多いので、歌っているときはすごく楽しいですし、早くもっと上手く歌えるようになりたいです。
ーー現時点で、アーニャはどんな人物だと捉えていますか?
演出の方にまず言われたのは、アーニャはすごく強い女の子、ということ。記憶をなくして一人で生きてきたたくましさがあって、ちょっと男勝りで、怖いもの知らずで、信念を持った強い女の子だ、と伺いました。その強さこそがアーニャの魅力だと感じます。まだ台本をいただいていないので、細かい部分は掴めていないんですけど、強さの裏に隠れた心の揺れや、記憶を探していく中での不安感、一緒に旅をする詐欺師のディミトリと出会って自分の新たな一面を知った時の感情を掘り下げていくと、面白いキャラクターになっていくんじゃないかな、と考えています。
葵わかな
葵わかなが考えるミュージカルの魅力
ーー『ロミオ&ジュリエット』で華々しいミュージカルデビューをされた葵さんですが、歌で演じるということはどのように捉えていますか?
まだまだ謎が深まるばかりです。お芝居は長いことさせてもらって、こういう風にしてと言われたら、こうしたらいい、というのがなんとなく繋がるんですけど、歌だとまだ分からないことが多くて。これからいろんな曲を歌って、声の出し方を学んで、知識を増やしていきたいです。ミュージカルだとお芝居があるから歌いやすくなることもあるし、歌があるからお芝居の感情がより盛り上がったりもして。歌とお芝居の自分なりの良いバランスを見つけて、相乗効果を生み出していけるようになりたいです。
ーー舞台ならではのトリプルキャストという経験はいかがでしたか?
映像作品だとWキャストやトリプルキャストはほぼないので、自分がどう受け止めたらいいのか、同じ役の二人がどういう存在になるのか、全く想像が付かなかったんです。実際お稽古が始まってみると、同じ役でも違う人が演じるとこうも違うのか、という発見がたくさんあって。はるちゃん(木下晴香)のジュリエットも、いくちゃん(生田絵梨花)のジュリエットも私には真似できないと思ったし、それは二人からしても同じこと。三者三様の個性に気付けたのもトリプルキャストだったからこそで、良い経験になりました。
ーー本作でも再び木下晴香さんと同じ役ですね。
はるちゃんとは普段から仲良くさせてもらっていて、今回出演が決まった時も「また同じ役だね」と連絡を取り合いました。大きな責任を背負う役で、よく知っている人が近くにいる、というのは安心感があります。はるちゃん(木下晴香)はすごく穏やかで、優しそうな印象をお持ちの方が多いと思うんですけど、内に熱いものを秘めている人。色々なことに順応していくタイプなんだけど、時にすごく力強い一面があるんです。
葵わかな
ーーミュージカル出演2作目にして主演、タイトルロールと、躍進が続いています。今回挑戦したいことはありますか?
まずオリジナル版と同じレベルに持っていけるように努力したいです。前回の『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルに初挑戦させていただき、歌や動き方など、自分には足りない部分が多いと痛感しました。その部分を少しでも成長させられるように、練習を重ねたいです。また、日本キャストとして演じる意味をプラスしていけたらいいなと思っています。日本のお客様に感情移入してもらえるようなアーニャを目指していきたいです。
ーーこれから始まるお稽古で楽しみにしていることは?
アーニャがアナスタシアに扮するため、詐欺師のディミトリとヴラドからアナスタシアの歴史を教えられるシーンのお稽古が楽しみです。「Learn to Do it」という曲なんですけど、スペイン公演を観た時に、コミカルで本当に面白かったんです。男勝りなアーニャが背筋を正して歩くように言われたり、手にキスをされることに驚いたり、楽しいシーンなんです。早くお稽古してみたいです。あと、お稽古が始まる前に、『アナスタシア』の舞台であるパリに行く機会があるので、街の風景をよく見てきたいなと思っています。
ーー最後に本作を楽しみにしている読者の皆さんに、メッセージをお願いします。
海外スケールの舞台装置や衣裳で華やかですし、決して難しい物語ではないので、ミュージカルファンの方はもちろん、ミュージカルをあまり観たことがない方にもおすすめしたいです。初めてミュージカルを観る方の扉を開けるような作品になればうれしいです。誰もが一度読んだことがあるおとぎ話のような一面があるので、まだ幼い子どもたちにも観て欲しい作品だなと思います。
葵わかな
取材・文=永瀬夏海 撮影=中田智章
公演情報
スタッフ:
[脚本]TERRENCE McNALLY(テレンス・マクナリー)
[音楽]STEPHEN FLAHERTY(ステファン・フラハティ)
[作詞]LYNN AHRENS(リン・アレンス)
[振付]PEGGY HICKEY(ペギー・ヒッキ―)
[演出]DARKO TRESNJAK(ダルコ・トレスニャク) 他
キャスト:
<アーニャ役>葵わかな・木下晴香
<ディミトリ役>海宝直人(東京公演のみ)・相葉裕樹・内海啓貴
<グレブ役>山本耕史・堂珍嘉邦 (CHEMISTRY)・遠山裕介
<ヴラド役>大澄賢也・石川 禅
<リリー役>朝海ひかる・マルシア・堀内敬子
<マリア皇太后役>麻実れい
日程・会場
<東京公演>2020年3月1日(日)~3月28日(土) 東急シアターオーブ
<大阪公演>2020年4月6日(月)~4月18日(土) 梅田芸術劇場メインホール
S席: 13,500円 A: 9,500円 B: 5,500円 ロイヤルシート(R席): 15,000円 ※オリジナルグッズ(非売品)付
※4歳以上入場可(が必要になります)。膝上でのご観劇はできません。
※出演者並びにスケジュール変更の際は何卒ご了承くださいませ。出演者変更の場合でも他日への変更、払い戻しはいたしかねます。
※B席は一部演出が見えづらいお席となっております。
日程:2020年4月12日(日) 開演:17:00~
会場:梅田芸術劇場 メインホール (大阪府)
【手数料0円】座席選択先着先行
受付期間:2019/10/8(火)18:00~2019/10/22(火・祝)23:59
申し込みは【こちら】から
一般発売日:
東京公演 2019年11月9日(土)AM10:00
大阪公演 2019年12月21日(土)AM10:00
公式HP:http://www.anastasia-japan2020.jp/
公式Twitter:@AnastasiaJapan
公式Instagram:@anastasiathemusical_japan
企画・制作:梅田芸術劇場
東京公演主催:フジテレビジョン・梅田芸術劇場
大阪公演主催:関西テレビ放送・梅田芸術劇場
オフィシャルエアライン:ユナイテッド航空