ニュースパーク(⽇本新聞博物館)で企画展『地域の編集──ローカルメディアのコミュニケーションデザイン』開催~全国各地のローカルメディア、各地の新聞社の新しい取り組みを⼀挙公開!

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2019.10.1

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 横浜にある情報・新聞の体験型ミュージアム「ニュースパーク(⽇本新聞博物館)」は、『地域の編集──ローカルメディアのコミュニケーションデザイン』展を開催する。期間は10⽉5⽇(⼟)〜12⽉22⽇(⽇)。「CIRCULATION KYOTO」(2017)、「KOBE MEME」(2018〜19)など全国各地の地域プロジェクトやクリエイター向けワークショップの企画立案、ディレクションなどを行なっている編集者の影⼭裕樹(合同会社千⼗⼀編集室)が協力。

 デジタル技術がものすごいスピードで進んでいく現代。そんなことを改めて口にすると恥ずかしいのだが、その一方で、各地で洗練された紙メディア(ローカルメディア)をつくる人びとも増えていることに気づいている方も多いのではないか。彼らは媒体を通して独自に⼈と地域のつながりを⽣み出す役割も担い、新たな視点から活気を生み出す存在でもある。

 さらに新聞社の活動にも、まちづくりに乗り出したり、地域の住⺠とともに防災プロジェクトに取り組んだりと、新しい展開が始まっている。そう言えば、長野県松本市で信濃毎日新聞社が松本本社を建築するときに、松本市民とビルに必要な機能や活用方法を一緒に考えるという連続ワークショップを開催し、参加したことがある。

 

 これは個人的な感想だが、地域で広報の仕事をしていると、全国誌・紙でありながら“都会”の情報を軸にしている大手出版社・新聞社の発行物は、掲載されれば「オー!」と鼻高々だが、どうにも内容は“憧れ”を創出するばかりのものが多くて、なんとも実感がわかないところがある。おじさん的感覚かな。それに比べ、ローカルメディアは内容に親しみが感じられるし新たな地域の見方を紹介してくれるし、また広告の縛りが少ないから小回りも利くし実験もできていて楽しい。なぜ、ローカルメディアがイケてるのか。もしかしたら、そんなローカルメディアや各地の新聞を⼀挙に公開する企画展『地域の編集──ローカルメディアのコミュニケーションデザイン』が教えてくれるかもしれない。

 いや、企画書にも書いてあった(笑)。

 「各地で企業や⾃治体、個⼈が発⾏するローカルメディアの魅⼒は、洗練されたデザインだけではありません。地域の⼈と⼈をつないだり、観光客や移住者など外から⼈を呼び込むさまざまな“⼯夫”がたくさん仕掛けられています。例えば、「流通」の仕⽅を⼯夫する。あるいは、会員制(サブスクリプション)を導⼊してマネタイズする。または、読者からの投書・投稿をコンテンツの主軸にしてしまう。そんな、これまでのメディアのあり⽅から⾶び出したようなさまざまな⼯夫が施されているのが、ローカルメディアの⾯⽩さ。⼀⽅で、新聞も、地域の課題解決に参画に取り組んだり、投稿を通じて読者とつながったりするなど、新しい取り組みが⽣まれています。⼾別配達を通じてまちを⾒守るなど、新聞販売所の活動も進んでいます」

コンセプトは、読者との新しい“コミュニケーションの仕掛け”

 『地域の編集──ローカルメディアのコミュニケーションデザイン』では、そんなローカルメディアが織りなす、読者との新しい“コミュニケーションの仕掛け”にフォーカスを当て、テーマごと7つのエリアと横浜にちなんだ特設エリアを設けるという。また全国でユニークな取り組みをしている新聞も紹介されている。

【7つのエリア】

①新しい視点の流通
 そこに⾏かないと買えない本をつくる。城崎温泉の「本と温泉」をはじめとした、これまでにない流通の仕組みでまちの魅⼒を引き出しているローカルメディアの紹介。

②サブスクリプション(会員制)
 「会員制」により、⽣産者と消費者のコミュニティが組織され、⼀次産業の振興に役⽴った宮崎県ひなたの「⾷べる通信」。発想を転換し、持続可能なサイクルを⽣み出しているローカルメディアの紹介。

③投書・投稿でつながる
 書く⼈と読む⼈がつながり、さらに書く⼈を介して読む⼈同⼠がつながる。双⽅向の機能を⽣かしたローカルメディアや話題になった新聞の投書・投稿事例などの紹介。

④まちづくりするメディア
 ⾃らまちづくり会社を⽴ち上げた福井新聞をはじめ、ローカルメディアや新聞社が当事者としてまちおこし、まちづくりにかかわった事例の紹介。

⑤地域の課題解決
 防災、超⾼齢社会、多⽂化共⽣…地域が抱えるさまざまな課題を掘り下げて取材し、課題解決の⽅法を模索する。そんなローカルメディアや新聞の地道な取り組みの紹介。

⑥アーカイブ性を⽣かす
 ⽇々の取材が地域の記録につながる。全国各地で誕生した同種のリトル・マガジンのお手本となった「⾕根千」をはじめとするローカルメディアや新聞は、⻑年、丹念に地域の情報を伝えてきた。メディアの「アーカイブ性」の紹介。

⑦デザイン
 デザインに⼯夫を凝らした、さまざまなローカルメディアの紹介。

【特設エリア】
 横浜ならではのローカルメディアの紹介。

横浜ならではのローカルメディアを構想するワークショップ

 また本展がユニークなところは、開催期間に合わせて、公募による参加者が3チームに分かれ、横浜ならではのローカルメディアを構想するワークショップ「YOKOHAMA MEME byニュースパーク」を開催すること。ワークショップの進⾏に合わせて、展⽰が少しずつ変わるとか。ローカルメディアの最前線を学び、その背後にある新聞や印刷物の「編集」の醍醐味を味わって、さらに⾃分たちで「つくってみる」。「学ぶ」と「つくる」が⼀緒になっているのだ。

【3つのテーマ】

① 盛り場の盛衰記
 最近では若者にも⼈気の飲み屋街「野⽑」。横浜下町にスポットを当て、街の歴史やお店の成り⽴ちから、横浜の酒場⽂化を紹介する雑誌『はま太郎』の編集者をメンターに、野⽑に隠された魅⼒を探る。

② 横浜の歴史的建築物
 横浜の歴史的建築物の数々。それは開港や関東⼤震災・戦争の影響など物語があり、横浜を愛する⼈びとが守り続ける歴史。エピソードや史実を丹念な取材で伝える神奈川新聞記者をメンターに、まちの魅⼒を⾒つめ直す。

③ ユニバーサルツーリズム
 開港以来、多様な⼈たちが⾏き交ってきた横浜では、国や⼈種の違いだけでなく、⾼齢や障がいの有無などにかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる観光を⽬指す取り組みも活発。ヨコハマ経済新聞をメンターにNPOや当事者を取材し、現状を知り、課題解決策を探っていく。

【ワークショップ概要】
 ■募集⼈数:30名程度(応募多数の場合書類選考あり)
 ■活動期間:2019年11⽉9⽇〜12⽉22⽇
 ※10⽉13⽇にキックオフ&説明会を、最終⽇に公開プレゼンテーションを開催
 ■参加費:企画展の初回⼊場料
 ※2回⽬以降は⼊館無料。ワークショップ中の移動交通費は原則参加者負担。
 ■申込み・詳細:公式サイト https://chiiki-henshu/
 ■応募締切:10/25(金) 

 なんともリトルプレス、ローカルメディア好き、ローカルメディア制作を検討している皆さん、旅行好きにとっては垂涎ものの企画であることは間違いない。

構成・文:いまいこういち

リリース情報

「地域の編集──ローカルメディアのコミュニケーションデザイン」
 
■会期:2019年10月5日(土)~12月22日(日)
■会場:ニュースパーク ⽇本新聞博物館(横浜市中区⽇本⼤通11横浜情報⽂化センター)
■開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
■休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は次の平日)
■入館料:一般400円、大学生300円、高校生200円、中学生以下無料
■問合せ:ニュースパーク ⽇本新聞博物館 Tel.045-661-2040
 
【関連イベント】
 
※いずれも参加無料(博物館⼊館料が必要。会期中2回⽬以降のイベント来館は100円引き)
※詳細は後⽇、下記の特設サイトか新聞博物館のサイトで発表

 
オープニングトークイベント「全国各地に広がるローカルメディア」
 ■⽇時:2019年 10⽉5⽇(⼟)14:00〜16:00
 ■会場:⽇本新聞博物館 2階イベントルーム
 ■出演:影⼭裕樹(編集者/千⼗⼀編集室)、幅允孝⽒(BACH、 ブックディレクター)、⽥中佑典⽒(LIP/⽣活藝⼈)、尾原史和⽒(ブートレグ)
 ■定員:150⼈(先着順、予約不要)
 
全国まわしよみ新聞サミット@ニュースパーク
 ■⽇時:11⽉2⽇(⼟)13:00〜17:00
 ■会場:⽇本新聞博物館 2階イベントルーム
 ■出演:陸奥賢⽒(まわしよみ新聞発案者)、⼭⼝覚⽒(津屋崎ブランチ代表)
 ■定員:70⼈(要予約)
 
クロージングイベント
 ■⽇時:12⽉22⽇(⽇)14:00〜18:00
 ■会場:⽇本新聞博物館 2階イベントルーム
 ■定員:150⼈(先着順、予約不要)
 
■特設サイト:https://chiiki-henshu.com/
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