シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第六十七沼 『いい加減にしろ!電源沼!』

コラム
音楽
2020.3.17

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「welcome to THE沼!」

沼。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れること

という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。

これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

 

第六十七沼 『いい加減にしろ!電源沼!』

いつだったか、galcidの海外ツアーのときに機材の重量オーヴァーで渡航が危ぶまれた事があった。

メイン機材が10kgに対し、なんとシールドと電源がそれそれよりも重い12kgという重量で、我々は泣く泣く超課金を払わざるを得なかったのだ。

もちろん帰国後、それらのシールドを全部廃棄し、新たに特注で細〜〜〜〜いシールドを作ってもらった。

まだ全ての機材をユーロラックだけで行っていなかったため、標準シールドの数がとても多かったのだ。

そして、音楽人生40年以上で初めての挑戦も試みた。いわゆる「8の字巻き」ってやつだ。

それまで、スタッフがやってくれていた8の字巻き。正直自分でやって事がなかったのだ。

この8の字巻きをする事で、長いシールドもこんがらかる事もなく、スムーズに収まり、さらに解く時も簡単にできる!

これをメンバーで一生懸命練習した。

https://www.youtube.com/watch?v=IVv3yueAui4

ちょっとした修練で事がスムーズにいくもんだ。

まだ出来ない人は絶対に覚えておいたほうがいい。

次に、私はあの「四角い電源」が許せない!四角くて重い。収まりが悪い。

しかも、各社バラバラ。しかも、すぐ断線する!

機材空港ハラハラは毎回の事なので、特に神経質になり、皆ピリピリする。

万全の対策をとるため、いわゆる「カルネ」を制作し、インドのムンバイに降り立った時、

我々のスタッフと空港のスタッフが何やら揉めている。

2〜3時間揉めていたw

インドの空港スタッフによると「カルネってなんやねん?」との事だった。

いい加減にしろ!

 

しかし、これだけ工学が発達しているのに、なぜ電源やバッテリーがデカいのか?

 

バッテリーの重さは、音楽だけの事では無い。

身近で言えば電動チャリンコ。

電動チャリンコは電気の力がサポートしてくれるので、急な坂もスイスイ登れる。

しかし!あのバッテリーの重さたるや、尋常では無い。一度足の指に落として爪を剥がした事がある。

出先で電チャリのバッテリーが切れた時、死ぬ思いをして帰ってきた事もある。

 

さらに、私の趣味である釣り用のボートのバッテリー。

これは30kgのアルミボートに対して1つのバッテリーがなんと30kg!!!!!!!!!!しかも、2つ

装備しているので60kgにもおよぶ。

 

釣りをする前に、力果てる。

 

しかし、スマホやPCなどのバッテリーは日々小さく、そして軽くなったもんだね。

たまに爆発事故を起こすようだけど、それでも一昔前から比べたら随分と良くなったもんだ。

 

話しは音楽に戻るが、このご時世、メジャーグラウンドのトップスターでもなければ、機材のセティングは自分で行うのが当たり前だ。

スーツケースをパコーンと開いて、一発で音が出ればいいと思っているミュージッシャンは少なく無いハズ。

私なんか、横着の極みだから、毎回セッティングや片付けが本当に面倒で面倒で音楽やめたくなる。

 

しかし、こんな私にも親切な仲間がたくさんいる。雄志で無言で片付けを手伝ってくれるのだ。

私がおじいさんだからだろう。

しかし、それは時にとんでもないトラブルに発展する事がある。

 

片付けを手伝っている立場で言う事ではないが、帰ってきて機材を開けてみると、知らない(誰かの)電源が入っていたり、またメイン機材の重要な電源が入っていなかったりという事がしょっちゅう起こる。

これは善意でやってくれているので「ありがとう」という気持ちを込めながら、ある友達にドロップキックを食らわせた事もあった。

また、1番たちが悪いのが「楽屋泥棒」だ。

私は、楽屋泥棒に一度やられた事がある。

 

おろしたてのレッドウイングを楽屋に置いておいたら無くなっていた。

帰りは、ワールズエンドの上下にスリッパで帰宅した。

まあ、服ならまた買えるからいいけど、知り合いがRoland TB-303を楽屋で盗まれた。

これは一大事という事で、秘密裏に奪還作戦をとったのだ。

なんと、友達らが協力しあって、「TB303 オーナーズクラブ」をSNSで作った。

そこに入会するには、自分のTB303の写真やシリアルナンバーを記載しなければいけない。

数週間後、バカな犯人はまんまとそのクラブにエントリーしてきて御用になった。

 

まあ、とにかく、音楽の現場はカオスだ。盗難と怪我には注意しよう。

それと、技術者の方々へ

本当に小さく軽いバッテリーを作ってください!お願いします。

 

 

 

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