エイチエムピー・シアターカンパニーが会社組織で不条理に生きる人々を描く『ブカブカジョーシブカジョーシ』をオンラインで上演
大阪を拠点に活動しているエイチエムピー・シアターカンパニーが、2020年5月22日(金)~24日(日)にかけて、大竹野正典没後10年記念公演『ブカブカジョーシブカジョーシ』をvimeoにて配信する方法で上演することを決定した。
当初本公演は、大阪・ウイングフィールドで上演予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、劇場での上演を断念。なんとか上演したいという想いで、俳優、スタッフがさまざまな方法を試した結果、インターネット上に稽古場を設けて、俳優、スタッフとリモート・クリエイションを重ね、インターネット上につくった「仮想劇場」で上演することになった。
この作品は、関西を拠点に活動し、不慮の事故により48歳という若さで2009年に世を去った劇作家 大竹野正典が、1973年に日本郵船株式会社で起きた「上司バット撲殺事件」に着想を得て、1999年に書かれたもの。この事件を題材にして会社という組織の中で不条理に生きる人間の世界を描いている。
演出は笠井友仁が手掛け、髙安美帆、森田祐利栄、水谷有希、ナカメキョウコ、原由恵が出演する。
演出:笠井友仁コメント
『ブカブカジョーシブカジョーシ』の上演にむけて
人が集まること、人と人が接することは、わたしたちが暮らす社会にとってとても大切です。感染を防止するためと理解していますが、それが一時でも失われていることが本当に悔しくてたまりません。
わたしは「演劇」を、俳優、スタッフ、観客が同じ時間、同じ場所に集まり、人の営みや社会を表現することだと考えています。集まることや接することの大切さをみなさんと一緒に再確認するため、そしてみなさんに楽しんで頂くため、この状況下でもなんとか「演劇」をつくることができないかを俳優やスタッフと共に考え、みなさんが居る場所を観客席として、「仮想劇場」で大竹野正典作『ブカブカジョーシブカジョーシ』を発表することになりました。
仮想劇場に現れるのは、現実の劇場と同じように、わたしたちが暮らす社会を写した虚構の世界です。そして俳優たちはその世界のなかで生きる「影法師」です。今回の作品も大竹野さんが描いた美しく、悲しい物語を影法師たちが表現しています。
最後になりますが、この作品は現実の劇場で上演することを前提につくりました。一日も早く、それが実現することを願っています。