本多劇場グループがひとり芝居の無観客・有料生配信「DISTANCE」を皮切りに6月1日より営業再開

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舞台
2020.5.20


新型コロナウイルス感染拡大防止のために2020年4月7日以降グループ内の全ての劇場を自主的に休館してきた本多劇場グループが、6月1日(月)より営業を再開する。ただし依然として感染の危険性も続く中にあって安全性確保のための協議が重ねられた結果、まずは「無観客・有料生配信」の形態で、本多劇場グループ PRESENTS「DISTANCE」と題された企画公演をおこなう(主催:本多劇場グループ/DISTANCE製作委員会、協力:ニッポン放送)。

この公演では、6月1日(月)~7日(日)の1週間、日替わりでひとり芝居の「無観客・有料生配信」が本多劇場からおこなわれる。企画・脚本・演出は、このプロジェクトの発起人でもある川尻恵太と御笠ノ忠次。二人は舞台のストーリーテラーにもなり、物語を進行させていく。オムニバス形式の作品で、各回の上演時間は40~50分程度を予定。メインキャストは各回1名のみ、そのステージのみの出演となる。

川尻恵太、御笠ノ忠次

川尻恵太、御笠ノ忠次

5月20日の時点で明らかとなっているメインキャストは五十音順に、井上小百合、入江雅人、伊礼彼方、柄本時生、小沢道成、小林顕作、近藤芳正、清水宏、永島敬三。下北沢に、そしてひとり芝居に縁のあるメンバーたちが集結する。なお、演目・タイムテーブル・全キャストは、5月25日(月)に改めて発表される。

配信にあたっては、イープラスの新しいライブ配信サービス Streaming+ が利用される。演劇を劇場で生で観劇する状態に少しでも近づけるために、その日1回限りのライブ配信のみを、アーカイブを残さずに、有料の定額制でおこないたいという主催の意図に合致することに加え、購入から視聴までワンパッケージで完結するユーザビリティの観点から、今回この仕組みが採択された。は、5月27日(水)正午よりイープラスで販売が開始される。

<物語>
ここには昔、劇場があったー
荒廃した劇場に、清掃員がいる。
彼らは「演劇」が上演されていた劇場を懐かしみ、今は機能を停止している全国の劇場を掃除して回っている。この日やってきたのは、下北沢本多劇場。昔はたくさんの演劇が行われていたらしい。
ふと、清掃員が日記を拾い上げる。
そこには、人と人とが距離をとらなければいけなかった時代の、それでも演劇を続けた人々の記録が綴られていた……
 
<安全対策>
・キャスト、スタッフともに、ソーシャルディスタンスを確保した状態で上演いたします。
・キャスト、スタッフともに、制作期間から本番日にかけて毎日検温し、制作者による管理を行っています。
・キャストは本番時間外、スタッフは常時マスクを着用いたします。
・開演直前まで、および終演直後から屋外に通じる会場扉・玄関を開放し、大規模な換気を行います。また、並行して外気導入での空調による場内換気をおこないます。
・開演前、および終演後には舞台上の消毒作業をおこないます。
・場内は建築物環境衛生基準により相対湿度を40  ~70に保つようにしています。
・劇場内や附帯施設等で手を触れやすい箇所、扉、手すり、自動販売機につきましては毎日定期的に、除菌用アルコール等による拭き掃除を実施いたします。

 

■劇場再開に寄せて/本多劇場グループ 総支配人 本多愼一郎

人が集まってこそ劇場です。

劇場は舞台で創りあげた作品をお客様にお届けする場所です。

劇場としてできることは何なのか。安全を第一としつつ、わずかでも着実に、一歩ずつ。今できることをやりながら私たちは前に進みたいと思います。

6月1日から本多劇場グループは劇場を再開していきます。

休館期間中、皆さまに舞台を観ていただきたいという思いで準備をしてきました。多くの方にご協力をいただき、本多劇場グループPRESENTSとして出来得る限りの安全対策をし、最初は少人数から。

本多劇場の無観客生配信を皮切りに色々な演目を上演してまいります。
 

■「DISTANCE」発足に寄せて/「DISTANCE」製作委員会

“DISTANCE”とは…「安全に劇場で舞台をつくり、お客様に届けたい。」という目的のもと、2020年5月より始動した企画です。

発起人は脚本・演出家の川尻恵太、御笠ノ忠次の2人で、演劇再開に向けた方法論を当企画で模索していきます。
第一弾となる今回は、劇場で作品を上演し、届けることを目標に、本多劇場グループの賛同と協力を得て、この「一人芝居の無観客生配信」という形での上演に至りました。
「DISTANCE」とは、表現者と演劇の距離、演劇と観客の距離、そして、表現活動における心の距離。
今一番感じているものを一言に纏めたものです。
この演目によって、各々が演劇との距離を再確認できればと考えています。

私たちは、コロナウイルスという脅威を知ってしまいました。
コロナ前とコロナ後、という言い方は極端かもしれませんが、これまでと同じ捉え方、作り方をするのは難しいかもしれません。またいつ新たなウイルスや、未知の脅威が発生するかわかりません。
それでも、演劇は必ず劇場で復活するものだということを、示していければと思います。
6月1日から1週間、下北沢本多劇場からお届けいたします。お待ちしております。



なお、本多劇場グループの活動再開にあわせ、コロナ後の観劇スタイルの模索をおこなう別働企画「DISTANCE lab.」も発足され、以下の声明が発表された。

■演劇再開に向けて観劇スタイルの模索をする「DISTANCE lab.」

全国公立文化施設協会から「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」が発表され、劇場での演劇再開に向けて、より実践的な動きが各所で始まっています。
ただ、ソーシャルディスタンスを確保した状態での興行は、その確保できる客席数から収支が成り立たないという命題を抱えています。
この問題を段階的に解決していくべく、観劇スタイルの模索をおこなうのが「DISTANCE」の別働企画、「DISTANCE lab.」。
具体的には無観客配信からスタートし、客席稼働が30%、50%、70%、そして100%になる過程を社会情勢とコロナウイルスの科学的根拠を元に、テクニカルスタッフと共に丁寧に進めて参ります。
現時点で、正解がわかっている人は誰もいません。
そして、100%安全という事実もありません。
だからこそ、慎重に手探りの中、答えに近づく作業を行ってまいります。

公演(配信)情報

本多劇場グループ PRESENTS「DISTANCE」

■配信媒体:Streaming+
■日程:2020年6月1日(月)~6月7日(日)
※タイムテーブルは5月25日(月)発表 ※平日は夜公演、土日は昼公演・夜公演を予定
■公演会場:下北沢本多劇場 ※無観客生配信
■企画・脚本・演出:川尻恵太・御笠ノ忠次
■出演者(五十音順):井上小百合、入江雅人、伊礼彼方、柄本時生、小沢道成、小林顕作、近藤芳正、清水宏、永島敬三/川尻恵太、御笠ノ忠次 ほか
■上演時間:40~50分を予定 ※公演日&演目により、多少前後します。
■料金:前売・当日 2,500円(税込)
※6月1日のみ複数演目を上演、3,500円を予定。詳細は5月25日(月)に発表。
発売:5月27日(水)正午12:00からイープラスで発売

■スタッフ:
舞台監督:寅川英司
照明:大波多秀起(デイライト)
音響:藤森直樹(サウンドバスターズ) 
演出助手:伊達紀行
映像:ワタナベカズキ
制作:高橋戦車
衣裳:ヨシダミホ
ヘアメイク:武部千里
舞台美術&宣伝美術:魚住和伸
■協力:ニッポン放送
■主催:本多劇場グループ/DISTANCE製作委員会
■「DISTANCE」特設サイト:http://distance.mystrikingly.com
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