劇場の価値を見つめなおすきっかけに TAAC『なにもない劇場』が下北沢・駅前劇場にて開催

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2020.6.5
TAAC『なにもない劇場』

TAAC『なにもない劇場』

 

2020年6月24日(水)~6月30日(火)下北沢・駅前劇場にて、TAACによる『なにもない劇場』が開催されることが決定した。

TAACは、タカイアキフミが主宰・作・演出をつとめるソロプロデュースユニット。もともと本企画の期間は、6月公演『世界が消えないように』を上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響により延期に。コロナ禍でリモート演劇や配信等新たな形が模索されている中、本企画を、さらに新たな動きの一つとして提示し、劇場の価値を見つめなおすきっかけになれば、と考え、実施に至ったという。

『なにもない劇場』は、「なにもない」。役者、台本、美術や照明もなければ、開演・終演時間もなく、劇場があるのみ。オープン時間は各日13:00~21:45だが、『世界が消えないように』で予定されていた開演時間と終演時間に1分間の暗転を実施、また、SNS上では「#なにもない劇場」「#なにもない駅前劇場」で劇場の思い出やこれからの劇場への思いを集めていくという。なお、『なにもない劇場』開催に際して、TAACでは、消毒の徹底や換気、入場者数の制限など、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みを行う。「ご来場のお客様へのお願い」など詳細は公式サイトにて掲載されているので、チェックしてほしい。

企画意図

役者はいない。
台本もない。
美術も、音響も、照明もない。
開演時間も終演時間も決まっていない。
あるのは50席の客席だけ。
ここは、なにもない劇場。
あなたのための場所。

タカイアキフミ コメント

5月14日。TAAC『世界が消えないように』の延期を発表した。あれから、僕にできることはあるのだろうかとずっと考えていた。演劇人をはじめ様々な表現者たちが今できることを精一杯やっている。はたして今、僕にできることはあるのだろうか。しばらく自問する中で、「やっぱり劇場だ。」「劇場でなにかやりたい。」という思いが強くなった。では、今の状況において劇場で何をするのか。何ができるのか。僕は『なにもしない』という結論に至った。

劇場には、役者がいる。美術や音響、照明がある。そして、お客様がいる。そんな当たり前が、今は当たり前ではなくなった。だからこそ、今、「劇場」を考えるいい機会なのではないかと思う。役者もいない、台本もない、美術、音響、照明もない、なにもない劇場で、劇場を、演劇を愛する人たちが集い、これまでとこれからを考える。感じる。

たぶん、この企画は僕じゃなくてもできる。でも、誰もやってないのだからやってやろう。そう決めた。
別に大層なことをしたいわけではない。ただ、劇場を開けるだけだ。ただただ、僕が劇場に行きたい。それだけだ。劇場が恋しい人たちも巻き込んで、老若男女、役者、スタッフ、お客様、いろんな人が集う場所になれば嬉しい。

さあ。劇場に行こう。

公演情報

TAAC『なにもない劇場』
 
■スケジュール:2020年6月24日(水)~6月30日(火)13:00~21:45
■会場:劇場駅前劇場(東京都世田谷区北沢2-11-8 TAROビル3F)
■コンテンツ:
・暗転
「世界が消えないように」で予定されていた開演時間と終演時間に1分間の暗転を実施いたします。暗転の実施時間は以下の通り。
6月24日(水) 19:30 21:30 / 6月25日(木) 19:30 21:30 / 6月26日(金) 14:30 16:30
6月27日(土) 14:30 16:30 19:30 21:30 / 6月28日(日) 14:30 16:30
6月29日(月) 19:30 21:30 / 6月30日(火) 14:30 16:30
・#なにもない劇場#なにもない駅前劇場
劇場には、本当に何もありません。あるのは、劇場と客席のみです。
だから、みんなのこれまでの劇場の思い出やこれからの劇場への思いで劇場空間を
埋め尽くしてほしい。そして、それを可視化したい。
SNSでこの2つのハッシュタグをつけていろんな思い出や思いを投稿してください。
劇場に来た人も、劇場に来れない人も、劇場がつないでくれるような企画にしたいと思っています。

 
TAACとは
Takai Akifumi and Comrades (訳:同志)の略。
タカイアキフミと、公演ごとに集まった同志の表現者たちが、前のめりに、妥協なく創造・共創する集団。日本社会が抱える問題を背景にして、人々の「営み」を描き、現実にありながらも普段は感じることのない微かな希望や愛を掘り起こす。
■公式サイト:https://www.taac.co/
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