『マンモス展 その「生命」は蘇るのか』太古の生物たちを身近に感じることができる展覧会の鑑賞レポート
『マンモス展 その「生命」は蘇るのか』
大阪・南港ATC Galleryで現在開催されている『マンモス展 その「生命」は蘇るのか』が、大人から子どもまで幅広い年齢層で話題となっている。
同展は、ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から発掘されたマンモスや古生物の冷凍標本を史上最大級の規模で展示するなどし、時代を超えてあらわれた古代生物の姿を通して、「マンモス復活」の可能性、生命科学の未来を問いかける展示会。
「ユカギルマンモス」の頭部冷凍標本
まず目をひいたのは、2005年『愛・地球博』(愛知県)で初公開されて注目をあつめた「ユカギルマンモス」の頭部冷凍標本だ。牙は、鼻の根元部分から生えていて、先端にいくにつれてクルッと丸くせり上がっている形が特徴的。また、まぶたの伸び具合もとても生々しい。
「ケナガマンモスの鼻」
「ケナガマンモスの鼻」も、鼻先のぶよぶよとした質感が印象的。このしなやかな鼻で、木の実などいろんなものを器用に掴んで食べていたのだと分かる。マンモスの鼻には骨がないため、柔らかみがあるとのこと。
「ケナガマンモスの皮膚」(上)と仔ウマ「フジ」(下)
大きな注目は、世界初公開の冷凍標本の数々。2018年夏に発掘された「ケナガマンモスの皮膚」は保存状態が抜群で、表面の毛穴まで見ることができる。この皮膚は、後ろ脚の付け根からお尻のあたりのもとされている。同時に見つかった歯を調査したところ、この皮膚の持ち主は50歳から60歳くらいのオスであることが判明した。
また、完全な姿で見つかったことで驚きを与えた太古の仔ウマ「フジ」は、まさに目の前に仔ウマが横たわって眠っているような印象で、かわいらしさを感じた。またじっくり見ると、泥がついていることが分かる。これはきれいに泥を落とすと、一緒に毛まで抜けてしまうおそれがあるため、そのまま残されているのだそう。ただ、この泥の付き具合が、「フジ」をより身近に感じさせてくれる。
グッズ
Q&Aコーナーも充実しており、「マンモスの肉はおいしかったのか」「人類とは仲が良かったのか」など様々な疑問の答えを掲載。そのほか、発掘調査団が現地で身につけているダウンジャケット、マンモスの牙が見つかったときの実際の映像なども楽しむことができる。グッズ類も豊富だ。
いとうせいこう(展示構成監修)
同展の展示構成監修をつとめた作家、クリエイターのいとうせいこうは、開幕にあわせておこなわれた記者会見で「つい昨日までそこにいたかのような冷凍標本になっている。なくなった命がそこにあることが感じられるはず」と、遠い昔のものとは思えないと話した。また、マンモス復活プロジェクトを担当する近畿大学生物理工学部・松本和也教授は「小学生、中学生がこのマンモス展と研究を見て、生命科学に興味を持ち、研究者を目指してほしい」と願った。
『マンモス展 その「生命」は蘇るのか』は、9月22日(火・祝)まで大阪・南港ATC Galleryで開催されている。
取材・文=田辺ユウキ
イベント情報
■会 期: 開催中~ 9月22日(火・祝) 54日間
■開館時間: 10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)※8月23日(日)までは9:00〜18:00
■休 館 日: 会期中無休
※新型コロナウイルスの影響により、内容・会期に変更が生じる場合があります。
■会 場: 大阪南港ATCギャラリー・ITM棟2F
■主 催: 関西テレビ放送、さんいん中央テレビ、岡山放送、高知さんさんテレビ、テレビ新広島、テレビ愛媛
■企画制作: フジテレビジョン
■企画協力; 日本科学未来館
■特別協賛: 家庭教師のトライ
■特別協力: ATC
■協 力: ロシア連邦サハ共和国、サハ共和国科学アカデミー、ロシア北東連邦大学北方応用生態研究所、近畿大学生物理工学部、近畿大学先端技術総合研究所、野尻湖ナウマンゾウ博物館
■後 援: 文部科学省、大阪府教育委員会、大阪市、大阪市教育委員会、堺市教育委員会、読売新聞社
■問合わせ: ハローダイヤル 050-5542-8600(全日/8:00~22:00)
■公式HP : https://www.ktv.jp/event/mammoth/
本展では、ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から発掘されたマンモスや、古生物の冷凍標本を史上最大級の規模で展示します。
会場では、マンモスの鼻や皮膚など、世界初公開の標本を間近で観察できます。
また、近畿大学「マンモス復活プロジェクト」にも焦点を当て最先端生命科学について考えます。
太古を生きたマンモスが永久凍土から現代に再び姿を現し、生命科学の未来を問いかける本展。
貴重な展示物を通じて、太古の生物に思いをはせてみませんか。