VR能『攻殻機動隊』素子、人形遣い、そしてバトーも登場 プレスプレビュー&トークイベントオフィシャルレポートが到着

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2020.8.22

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2020年8月21日(金)~23日(日)世田谷パブリックシアターにて上演されるVR能『攻殻機動隊』。8月21日(金)に同劇場にてプレスプレビュー&トークイベントが開催された。

冒頭にスペシャルナビゲーターとして俳優の南圭介が登場。「能とは?」「VRとは?」をひとつひとつて丁寧に紹介。「攻殻機動隊とは?」という解説については、南自身も舞台「攻殻機動隊ARISE:GHOST is ALIVE」でホセ役を演じた経験があることから特に熱く語り、能楽やVR技術、攻殻機動隊の物語を知らない人でも非常に分かりやすく本舞台へと誘った。

南圭介

南圭介

上演が始まると、真っ暗な会場に能のお囃子が響き渡る中、まず登場したのはバトー。「素子は何処。姿も影もつかめぬ」と主人公・草薙素子を探している様子を、能で表現した。また素子と共に白髪の人形遣いも登場すると、舞台中央で息の合った舞を披露した。その後中央にいる素子の振る動きに合わせてまるで水のように光が舞い、鋭い鼓の音が鳴り響く。だんだんと早くなる鼓の音に合わせてスッと姿を消す素子。今まで見ていた彼女の姿は実現していたのか、はたまた幻想だったのか…。まさに電脳世界に飛び込んだような舞台だった。

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

VR能『攻殻機動隊』より

そして、大島輝久(喜多流能楽師)、亀井広忠(葛野流大鼓方能楽師)、藤咲淳一(脚本)、稲見昌彦(VR技術)、福地健太郎(映像技術)、そして奥秀太郎監督がナビゲーターの南に呼びこまれて登場。

初めに奥監督は「本当にまさかこのような状況の中ご来場していただき、そして色んな方々のご協力があって、こうして幕をあけられたこと。本当に心から感謝しています。」そんな言葉から始まったトークショー。

稲見教授は「まさにこのような社会状況で、なかなか人が集まるのも難しくなってきます。まさに攻殻の世界であると。電脳から一気に進んでいるという風にも捉えることができる。そういう最先端の技術と伝統がどう結びついたかというのをご覧いただきたいです。」と意気込みを話した。

そして観客として来ていたという亀井は「突然トークの場に引っ張り出されてびっくりしています(笑)。簡単に言うと私は、能の小鼓、大鼓の音楽の作調・作曲させていただき、演奏・録音をさせていただいてます。基本、能は生演奏なのですが、自分の入れた音や声が聞こえてきて今日は心苦しかったです。あと願わくば、次は生でやりたい。」と監督にアピールした。

また藤咲は「攻殻機動隊を能にするということで奥監督から話がありまして、どうしたらいいんだろうなというところから始まりました。でも原作をベースにするということで、心置きなく僕の中にあった攻殻で能ができる部分を抽出して、脚本や構成を考え、川口さんとかに上手く言葉をすくっていただき今回のお披露目となれました。」と日本が世界に誇る SF 漫画の最高傑作×伝統芸能の歩みについて話した。

また伝統を守らねばならない、能楽師として心がけたことについて聞かれると「なるべく能の基本的な技術や構成を壊さないように、まず一番最初に奥さんにお願いしたのは、原作に忠実な台本をお願いして欲しいということでした。それを具体化していくことで、能の技術もなるべく基本のものを使って構成するように務めました。」と坂口貴信
は話し、「攻殻機動隊」という最高傑作と世界最古の伝統芸能の歩みよりの深さを感じさせた。

谷本健吾
は見どころについて聞かれると「映像技術と我々がどのように舞台上でリンクしているのか、実際我々が動いてセリフを言っているということと、映像との見比べがどのようにできるのか、我々も興味深く稽古から今日に至るまでやっています。」とVR能であるからこそのリンクを楽しんでいる様子だった。

父が人気漫画家・かわぐちかいじである川口晃平
は、そんな父にこの舞台について何を言われたかと聞かれると「おう、そうかとしか言われませんでした(笑)。ただ、父もやっぱり日本の表現として、能と漫画はすごく近い部分があるんじゃないかと考えております。」と話す。

そこでナビゲーターの南が、もしかしたらかわぐちかいじさんの作品も能になるのでは?と聞くと、「能をテーマにした漫画でも書こうかなとも言ってたこともあります。そういう風になりましたらまた奥監督にお願いします!」と川口が回答し、大きな盛り上がりを見せた。

また大島は流派を越えての参加について聞かれると「能では基本、他の流派との共演は禁じられている中で、坂口さんの方から声替えをもらいました。プライベートでは25年もの付き合いで、将来一緒に共演したいねとずっと話していたので、坂口さんに「新しい能の観客を向いていただくため、世界的にファンのいる原作を具体化する時ために力を貸してくれないか」と言われた時は、そこまで言われたら出るしかないか、と思いました」と答え、流派を越えた能楽界の動きに拍手が沸き起こった。

最後に坂口は「明日、明後日とあと4回ありますので、私たちも客席の方々も無事に終えられることを願っております。今日は本当にありがとうございました。」と話し、トークショーは幕を閉じた。

攻殻機動隊とは

「攻殻機動隊」は、近未来の電脳化社会を舞台に架空の公安組織の活躍を描いたマンガで1989年から展開されている人気シリーズ。押井守監督が手がけた劇場版アニメ「GHOST INTHE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」のほか、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」シリーズ、「攻殻機動隊 ARISE」シリーズなどが制作されてきた。スカーレット・ヨハンソン主演で実写化したハリウッド映画版も話題になった。最新作として今年4月より「攻殻機動隊SAC_2045」が配信開始。

 

公演情報

VR能『攻殻機動隊』
 
公演期間:2020年8/21(金)〜23(日)
会場 世田谷パブリックシアター
原作:士郎正宗「攻殻機動隊」(講談社KCデラックス刊)
出演:坂口貴信 川口晃平 谷本健吾他
   観世流能楽師
演出:奥秀太郎 / 脚本:藤咲淳一
3D技術:福地健太郎(明治大学教授) / VR技術:稲見昌彦(東京大学教授)
プロデューサー:神保由香 盛裕花 / 製作:VR能攻殻機動隊製作委員会
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