松尾スズキ、長澤まさみ×秋山菜津子×阿部サダヲ『フリムンシスターズ』制作裏話を語る 2/20(土)WOWOWにて放送
長澤まさみ×秋山菜津子×阿部サダヲ『フリムンシスターズ』
2021年2月20日(土)にWOWOWにて、松尾スズキの新作ミュージカル『フリムンシスターズ』が放送されるのを前に、作・演出を手掛けた松尾スズキのオフィシャルインタビューが到着した。
本公演は、松尾スズキのBunkamuraシアターコクーン芸術監督就任後初となる新作。長澤まさみ、秋山菜津子、阿部サダヲに加え、皆川猿時、栗原類、オクイシュージら個性豊かなメンバーが集結した、アクの強すぎる“狂った人間(フリムン)”たちが歌って踊る傑作エンタテインメント。
撮影:細野晋司
登場するのは、故郷・沖縄での忌まわしい過去を記憶から消し去り東京の西新宿で暮らす女、そこで出会う絶不調のミュージカル女優、女優の親友のゲイ、自殺願望を持つ青年、さらには足の不自由な女優の妹、謎のバスタオルおじさん、激しめのオカマなど“狂った人間=フリムン” たち。過去や現在の様々な出来事が連鎖していく――
松尾スズキ インタビュー
松尾スズキ
――今回ミュージカルを書こうと思ったのは?
『キレイ-神様と待ち合わせした女-』をやって以降、ひとつも僕はミュージカルというものを書いてないまま20年たって、たまたまコロナ禍の影響で仕事が飛び、時間がすごくあったんですよね。それでいつか2本目を、しかも『キレイ-』を作ってから20年の過程で糧として得たものをちゃんと活用した真日本製のミュージカルを作ってやろうという思い、あと一本がほしいっていう思いを、ちょうどそこにぶつけようという気持ちになれたっていうことですよね。
――物語と音楽のどちらから先に着想したのですか?
まずは長澤さんという存在。長澤さん、秋山さん、阿部の3人のバディものみたいな構想があったんですけどコクーンでやるんだったら音楽劇がいいなというのを思っていました。
沖縄を選んだ理由は、やっぱりメロディーかな。メロディーを使うには沖縄っていうことで、それで沖縄に友達がいまして、友達に沖縄のことを聞こうと思った時に、ユタっていうシャーマンの存在があるっていうのを思い出して、「シャーマンのユタの知り合いがいないか」みたいなことを聞いたら、「うちの旦那がユタの子供です」と。結婚して沖縄に住んでる人でそこで飲み屋やっていて、僕は沖縄に行くたびにその飲み屋にいっているので、よく知ってるご主人だったんですけど、その時初めてユタの子孫だって聞いて、すごいびっくりして・・それで話を聞きに行ったんですよね。
結構ユタっていう存在がシャーマンとはいえ、やたら幸せな感じではないなっていう話を聞いていました。結構苦しみもあるみたいな話を聞いて沖縄の問題って根深いからいろいろあるんですけど。主人公には、ユタの子孫として先祖からの呪縛の苦しさみたいなことがあるっていうことを思いついていったんですよね。
撮影:細野晋司
――実際に沖縄へは取材に行かれたのですか?
そうですね。漠然とユタでいこうと思ったんですけど、どういうものかわからないから聞きに行って、聖地っていうのかな、御嶽(うたき)とか、基地の方を周ったりして色々とインスピレーションを受け骨格を作り上げていった感じですね。
――長澤さん、秋山さん、阿部さんの3人の息が抜群に合っていました。
意外と阿部と秋山さんって長いんですけどコンビみたいな役っていうのは初めて。
この掛け合わせがうまくいくといいなとは思っていたんですけど、稽古すればするほど、相性バッチリだなと思いました。
そこはうまくいくのは大体予想はついていたんですけど、長澤さんがそこに起爆剤と言うか、ビリヤードで打った球みたいにバシーンと入っていく感じ。
これが思った以上に上手くいって、もうほくほくしてましたね。