音楽家・日野浩志郎×太鼓芸能集団・鼓童×映画監督・豊田利晃による、音楽映像作品の配信がスタート

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2021.2.4
『戦慄せしめよ / Shiver』​  写真:大森克己

『戦慄せしめよ / Shiver』​  写真:大森克己

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現代音楽家の日野浩志郎と、佐渡島の太鼓芸能集団・鼓童とのコラボレーションを豊田利晃が映した、コロナ禍の新たな音楽体験『戦慄せしめよ / Shiver』​を、2021年2月5日(金)19:00よりイープラス「Streaming+」ほかにて、配信することがわかった。

goat / bonanzasのプレイヤー兼コンポーザー、ソロプロジェクトYPY等マルチに活動する日野浩志郎と、2021年に創立40周年を迎える鼓童による今回のコラボレーションは、鼓童のメンバーからの一通のメールがきっかけで開始された。
延べ1か月にも及ぶ佐渡島での滞在制作を経て完成した楽曲群を、2020年12月の記録的な豪雪の中、制作の拠点となった鼓童村の稽古場をベースに、全編を佐渡島内で収録、撮影を行った。
その模様を捉えたのは、『青い春』『破壊の日』の豊田利晃。昨年のコロナ禍の中で撮影され公開された唯一の映画『破壊の日』は、全世界で2020年7月24日に公開され、イタリアのオルトレ・ロスペッキオ国際映画祭2020では監督賞を受賞、日本映画のベスト1と絶賛された。

豊田利晃(監督)  写真:Keisuke Nagoshi

豊田利晃(監督)  写真:Keisuke Nagoshi

コロナ禍での新しい音楽体験を目指し製作された本作品は、セリフが一切なく、音と映像だけで語られる、見えないはずの音に震える89分間の新感覚の映像作品となっている。

日野浩志郎(音楽) コメント

日野浩志郎(音楽)  写真:Dai Fujimura

日野浩志郎(音楽)  写真:Dai Fujimura

今回の制作を通して鼓童を知るほど、伝統が今でも伝統として存在している理由や力強さを感じていった。スピーカーでは鳴りえない空気の振動、木の鳴り、そして太鼓を打つ姿の美しさ。その圧倒的説得力に純粋に感動し、伝統と向き合う事の意味を深く体感した。
その上で正しいとされるものを疑い、音楽として形を成すことを捨てたところからこれは始まる。
単なる音の響きを探し、その音にリズムを与え、いくつかのリズムが絡みあうことで大きな律動が生まれ、それは音楽となっていく。僕たちは「作曲家」、「鼓童」として切り分けた関係ではなく、同じ仲間として楽器の持つ音や演奏法、グルーヴを再発見し、その興奮や喜びを共にしていった。
ゆえにこれは単に「鼓童の為に作曲した作品」ではない。今自分たちはデビュー当時の鼓童の興奮や発見を追体験しているのではないか、そう思える時間を共にした記録となった。

鼓童・住吉佑太(演奏) コメント

鼓童・住吉佑太(演奏)  写真:Takashi Okamoto

鼓童・住吉佑太(演奏)  写真:Takashi Okamoto

私たち太鼓芸能集団「鼓童」は1981年のデビュー以来、世界各地を巡る中で新たな「太鼓音楽」の可能性というものを追求し、発信し続けてきました。自分たちの音楽の幅を広げるために、日本はもちろん、世界中の民族音楽を学んだり、現代音楽の作曲家の方に依頼して、鼓童のための楽曲を書いて頂いたりもしました。
民族音楽の持つ、湧き上がってくるようなエネルギー感と、アカデミックで計算され尽くした、現代音楽のもつ精巧さ。
この2つをうまく織り交ぜながら、今の時代に、自分たちの音を生み出せないだろうか。
そんなことを模索しているときに、日野浩志郎氏の音楽に出会いました。
旋律やハーモニーではなく、あくまでリズムの持つ可能性に特化した彼の楽曲は、複雑な構造をもち、精巧な仕掛けでありながら、爆発的なエネルギーを内包していました。
アカデミックなのに、踊り狂える音楽。
リズム、律動というのは、人間のアイデンティティだ、と作曲家 伊福部昭氏は言っています。
音程や倍音に反応できる動物はいても、リズムを認識できるのは人間だけだからです。
リズムを追い続けてきた日野浩志郎が打ち出す楽曲と、「たたく」という本能的な行為を繰り返してきた我々鼓童の音が重なったとき、これまで辿り着けなかった、人間の根底に流るる、本能的なバイブレーションに共鳴する、新しくも根源的な音楽が生まれるに違いないと確信しています。

鼓童・中込健太(演奏) コメント

鼓童・中込健太(演奏)  写真:Takashi Okamoto

鼓童・中込健太(演奏)  写真:Takashi Okamoto

北風が彼方からやってくる
波は容赦なく荒ぶる
岸壁は
自然が激しく震わせる
音で満ちていて、
大太鼓の響きを
容易く
かき消す。
豊田利晃監督は
日野浩志郎、鼓童が
生み出した
音を
畏れと
祈りが
匂い立つ
原初の佐渡に
響かせた。
寒さは
身体の自由を奪い
太鼓の
律動を止めようとしていた。
根源的な恐怖の中
「お前は何故今叩いている」と
監督は
問いつづけた。
血を流し、吠え
呻き、叩きつけながら
音の生まれる瞬間と
その場所を必死で
探しつづけた。

『戦慄せしめよ | Shiver 』予告編

配信情報

『戦慄せしめよ / Shiver』
 
【配信概要】
配信開始日時:2021年2月5日(金)19:00 各配信プラットフォームにてオンライン配信開始
鑑賞料金:1,000円(税込)
販売開始日時:2021年2月4日(木)18:00
配信先:
イープラス「Streaming+」:https://eplus.jp/etto0205/
ほか
※別途、配信プラットフォームによる手数料がかかります。
 
監督・脚本:豊田利晃
音楽・演奏:日野浩志郎、鼓童(阿部好江、中込健太、小松崎正吾、住吉佑太、鶴見龍馬、小平一誠、前田順康、吉田航大、三枝晴太、渡辺ちひろ、小野田太陽、詫間俊、中谷憧)
出演:渋川清彦
撮影:槇憲治 照明:野村直樹 美術:松本千広 衣装:服部昌孝、江戸一番隊 ヘアメイク:白銀一太
音響効果:北田雅也 音楽録音:葛西敏彦 録音:高橋勝
スチール:大森克己 編集:沖鷹信
制作プロデューサー:沖鷹信
企画・製作:越島(安澤太郎、黒瀬万里子)
 
2021年/カラー/5.1ch/89分
 

(C)2021 越島
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