齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第九十沼 『苦節40年!遂に1番とったど!沼!』

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2021.2.24

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「welcome to THE沼!」

沼。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れること

という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。

これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第九〇沼 『苦節40年!遂に1番とったど!沼!』

大昔、郷ひろみさんが「音楽は順番をつけるものではない!」といい、人気絶好調の中、順位を争う歌番組の出演を辞退した事があった。

私も「そのとおり!」と当時納得したのだが、よく考えてみれば、その時点で既にスターの座を極めた郷ひろみさんなわけだ。まだ何も始まっていない自分とは次元が違う。

彼の言葉を自分の事のように信じた私は、その後40年以上にもわたり苦渋を味わうとは思わなかったw

しかーし!なんと先日、私のプロデュースしているgalcidのニューアルバム「Hope and Fear」diskunionのダンスミュージックチャートで第一位を取ったのだ!

しかも、あの「インコグニート」を抑えて!w

金が入って来るまで実感が無い。ただ、これは事実だ。

金が入って来るまで実感が無い。ただ、これは事実だ。

海外でも同様に話題となっており、英国JUNORECORDでも今週のトップ10に選出されるなど、いままで味わった事のないような感覚に包まれている。

正直な気持ちを言うと「嬉しい」。ただこの一言につきる。

しかし、なぜこのアルバムがそんなに評価されているのだろうか。分析してみた。

実はこのアルバム、売れない要素の塊と言ってもいいくらいの材料が揃っている。

まずは「アナログレコード」であるという事だ。

これは、映像の世界で言えば、ブルーレイやHDインターネット配信、サブスクが当たり前になった世にあって、未だに「VHS」、いや「ベータ」などのビデオテープ並みに古典的なメディアで発売しているという点だ。

そして、「歌が入っていない」という事も売れなさそう加減に追い討ちをかける。

更に、一曲めの「awareness」については、「核兵器の悲惨性」という強烈な政治的、社会的なメッセージを(英語の歌じゃなくって、喋り声で)世界で唯一の被爆国である私たちが訴えている。しかも、このレコードはアメリカから販売されているのだよ。

海外のレコードレビュアー、評論家からは絶賛の言葉と共に、オフィシャルメールアドレスに「ボクにもっと手伝えることはないか?」というメッセージを何通もいただいた。ありがたい。

数々の強豪を抑えての第一位に!嬉しいじゃんかよ!

数々の強豪を抑えての第一位に!嬉しいじゃんかよ!

本当になぜこのアルバムが売れたのかがわからなすぎて、一つ一つあらいだしてみたところ、いくつかの疑問が解決された。

まず一つ目は、我々galcidサイドはもちろん、レコードレーベルも、レコードジャケットも、全てgalcidのファーストアルバムを出したメンバーが参加していると言う事だ。

つまり、これは阿吽の呼吸の上になりたっている作品。チームgalcidってわけだ。

と言いたいところだが、実はモメにモメた。

あの世界的なグラフィックデザイナーの巨匠、イアンアンダーソン(aphex twinやオーテカを始め世界の神々のジャケットを手がける)が作ってくれたジャケットに、われわれgalcidがまさかのダメ出しをしてしまったのだw 少しだけイメージの相違があったからだ。

周りには「怖いもの知らず」「リスペクトが足りない」「おバカ」などと散々いわれたが、尊敬しているからこそ、共同作業の作品に対して真っ向から思った意見を言ったまでだ。レコード会社のDetroitoundergroundの社長であるkeroは

「おらぁ、とてもじゃねっけどおっかねえから言えね.......。おめさんたちにまがせた........」

という事で自分たちでイアンに再発注w

イアンは一瞬拗ねたようだが、さすが英国紳士。次に出してきたデザインは予想を上回る素晴らしいものであった。

天才イアン・アンダーソンのジャケとタイポグラフィー。読めない!w

天才イアン・アンダーソンのジャケとタイポグラフィー。読めない!w

しかし、そんなこんなでジャケットが完成するまでに半年以上の時間がかかってしまった。

ジャケットデザインが遅れに遅れ、やっとレコードがプレスできる!という時期に、アメリカの工場がバカンスで長期休暇に入ってしまったwwwwww しかも数ヶ月もだwwwwww 笑い事では無い!wwwwwww

「世界で仕事をするという事は、そういう事なのだ」

そして、長い長いバケーションが終わり、やっとプレス工場が稼働!とおもいきや、今度は新型コロナウイルスが発生し、アメリカの多くの州がロックダウン!

もちろん、プレス会社も流通会社もストップするという事態に!

そして、このアルバムが録音されてから、実に3年も経過してやっと発売という異例の遅さ!w

その間、他のレーベルからいくつもの作品を発表www

このアルバムは予約の段階でジワジワとランクを上昇してきたのは知っていたが、発売日にSOLD OUTするとは我々、そしてレコード会社も、さらにはdiskunionさんも予想していない嬉しい結果だった。

つまりは、買ってくれたお客さんのおかげで、こんなにも売れにくい条件が揃った作品が1位を取ることができたわけだ。

そして、最大の謎は溶けた。

私たちは、常日頃から「他人とは違う作品」を作ることを心掛けてきた。

そのため、それまで全く世の中の時流に乗った事が無い。

要するに、ひねくれているので世の中のドンピシャからズレているのだ。

しかしだよ、このコロナのおかげで発売が3年伸びた事、その間、死ぬほど休みなく活発にひねくれ活動を継続してきた事が今回の結果につながっているのではないかと分析。

そして、私たちの手元に届いたレコードに針を落とした。

「なんじゃこりゃあ」

思わず口に出た言葉がこれだった。

3年も前に作ったトラックの事なんて、自分たちでも忘れている。昨日作ったトラックすら忘れるくらいの人間だからw

超客観的に聴いた自分たちのアルバムは、まるで見知らぬ他人が作ったような感覚で聞く事が出来た。

そこで思ったのが

「こんなの、売れるわけない」

だったwwwwww

ひねくれているにも程があるサウンド構成。

よくぞ買ってくれた!世界中のファンに感謝している。

そして、焦ったのがレーベルだ。即増盤し、ただいま飛行機で空高く世界中に第二波、いや第二ロッドをディストリビュート中だ。

「やりたいことだけをやり続ける」

こう考えると、とても難しいことのように感じる。

確かに、世間から見れば苦労の連続にしか映らないだろうが、自分では全く感じたことはない。

しかし、

「やりたくない事はやらない」

っていったら、もう少しハードルは下がるでしょ?

第一、身体に悪いよ、精神的にくるよ。我慢してたらさあ。

今は「風の時代」っていわれているんだって。

そのうち、お金や仕事という概念が無くなる日が来るんだって。

 

「蟻とキリギリス」の話はあまりに有名だけど、私はキリギリスって悪いと思わないよ。

実はキリギリスだってちゃんと仕事してメシ食ってるんだよね。ただストレスを溜めないようにして。

蟻はそのストレスに気がついていないだけだよ。

 

大袈裟な話かもしれないけど、自分は自由になるために作品を作り続けているんだよ。

じゃないと、アウトプットし続けていないと「便秘」状態になってUNKOが身体中にパンパンに溜まって鼻の穴や耳などありとあらゆるところから溢れ出して、しまいには倒れるよ。

 

それぞれ形はちがうけど、みんなも出した方がいいよ!

出した分、捨てた分、良いものが入ってくる。

私は売れるとか売れないとか全く関係なく、これからも作りまくって出しまくり続けるよ!

 

ところで、こんな売れてるgalcidだけど、YouTubeの登録者数が少ないにも程があるんだ!w

みんなチャンネル登録してくれ!しろ!お願いします。すみません、ほんとすみません、お願いですからチャンネル登録よろしくね!そして、もう一つ!

昨年から始めたここでしか聞けないgalcidの曲、しかも週一曲アップしているPatreonというサービスがあって、そこではレコード化されていないgalcidが月5ドルからきけるよ!

これね、本当にフレッシュだから。しかも、なんと!だいたいメロディー入ってるの。

もしよかったら是非パトロンになってね!

 

 

 

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