世田谷パブリックシアターが2021年度ラインアップを発表 上村聡史、小山ゆうな、栗山民也、白井晃らの作品を上演
世田谷パブリックシアターが本日3月1日(月)に、多彩で魅力的な公演ばかりの2021年度ラインアップを発表した。
国内演劇創作では、ワジディ・ムワワド×上村聡史「約束の血の4部作」、待望の第3弾となる『森 フォレ』を皮切りに、『チック』に続き小山ゆうながドイツ発の同時代戯曲に挑む『愛するとき 死するとき』、栗山民也と瀬戸山美咲による初の強力タッグで送る『彼女を笑う人がいても』(仮題)、フィリップ・リドリー×白井晃の衝撃作『マーキュリー・ファー Mercury Fur』の再演。
恒例企画では、芸術監督・野村萬斎の総合演出で斬新な狂言2作を上演する『狂言劇場 その九「法螺侍」「鮎」』をはじめ、夏の「せたがやこどもプロジェクト」では、サーカス、落語、ジャズコンサートを、秋の「世田谷アートタウン」では、おなじみの『三茶 de 大道芸』に加え、「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクトとして国際共同制作によるサーカスやダンスを上演するなど、バラエティー豊かな内容が上演される。このほか、従来の公演形態に捉われない新たな若手演劇人育成プログラムも始動するなど、普及啓発・人材養成事業にもさらに力を入れていくそうだ。
世田谷パブリックシアター2021年度ラインアップ
『フリーステージ 2021』
日程:4月29日(木・祝)~5月5日(水・祝)
会場:ダンス部門 世田谷パブリックシアター
音楽部門:シアタートラム
出演:世田谷区民団体約50組
世田谷区で舞台芸術活動を行う区民団体に表現の場として劇場を提供し、公募で集まった約50組の団体がダンス・音楽の2部門で発表を行う。開場以来続く本企画は24回目となり、出演者だけではなく、来場者にも地域の劇場として親しんでもらえるような機会の提供を目指す。
『狂言劇場 その九「法螺侍」「鮎」』
『狂言劇場 その九「法螺侍」「鮎」』
日程:6月
会場:世田谷パブリックシアター
総合演出:野村萬斎
出演:野村万作 野村萬斎 野村裕基 石田幸雄 ほか万作の会
「“舞台芸術=パフォーミングアーツ”としての能・狂言」をコンセプトに、劇場に特設能舞台を作り上げて上演する人気企画『狂言劇場』。3年ぶりの今回は、シェイクスピア劇「ウィンザーの陽気な女房たち」を題材にしたオペラ「ファルスタッフ」をもとに、狂言ならではの身体表現も盛りだくさんの祝祭劇『法螺侍』と、池澤夏樹の短編小説をもとに、立身出世を目指して都会へ出る青年の物語を、鮎を擬人化したユニークな演出で描く『鮎』などを上演。両作とも主人公を野村萬斎が演じる。
『森 フォレ』
『森 フォレ』 上村聡史
日程:7月
会場:世田谷パブリックシアター
作:ワジディ・ムワワド
翻訳:藤井慎太郎
演出:上村聡史
数々の演劇賞に輝いた『炎 アンサンディ』(14・17年)、『岸 リトラル』(18年)に続く、レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワド×上村聡史による「約束の血の4部作」第3弾の上演が決定。家族をテーマに送る4部作の中で『森 フォレ』は、母の死により自らのルーツを辿ることになる少女の成長を6世代2大陸にまたがる壮大なスケールで描く。前2作のシアタートラムから世田谷パブリックシアターに劇場を移して送る一大叙事詩に期待しよう。
世田谷パブリックシアターでは開場以来、子どもたちにとって身近な劇場、遊べる劇場、楽しい劇場となることを目的に、毎年子どものための事業を行ってきた。2021年度も未来を担う子どもたちと創造性あふれる舞台芸術との出会いの場として、海外招聘サーカス公演、落語、ジャズコンサートと幅広いラインアップの<ステージ編>と、実際に作品創造を体験する<ワークショップ編>の構成で「せたがやこどもプロジェクト」をおくる。
<ステージ編>
フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)
『悟空~冒険の幕開け~』
フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)『悟空~冒険の幕開け~』
日程:7月28日(水)・7月29日(木)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)
アジア随一の現代サーカスカンパニーである台湾のフォルモサ・サーカス・アート(FOCA)が、世田谷パブリックシアターに初登場。アヴィニョン演劇祭などのヨーロッパやアジア各地のフェスティバルで公演を行い、好評を博している彼らの人気作『悟空』を上演。日本でもおなじみの「西遊記」のはじまりの物語を、サーカスとストリートカルチャー、ダンス、演劇などをミックスさせた迫力のパフォーマンスでおくる。
『せたがや 夏いちらくご』
『せたがや 夏いちらくご』 撮影:山添雄彦
日程:8月8日(日・祝)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:春風亭一之輔 ほか
開場以来、多彩な寄席企画を届けてきた世田谷パブリックシアターが、昨年新たに立ち上げた子どもから大人まで楽しめる寄席企画の第2弾。昨年に引き続き、プロデュースと出演は、古典落語を現代風にアレンジした作風と親しみやすい語り口で人気の落語家・春風亭一之輔。劇場でたっぷりと寄席のにぎわいを楽しむことができる。
『日野皓正 presents “Jazz for Kids”』
『日野皓正 presents “Jazz for Kids”』 撮影:牧野智晃
日程:8月15日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:日野皓正 ほか
日野皓正をはじめとするプロのミュージシャンを講師に迎え、世田谷区の中学生がジャズや音楽の魅力を体験する「Dream Jazz Band Workshop」と共に開催してきた『Jazz for Kids』。17年にわたった事業の集大成として、ファイナルコンサートを開催。日野皓正ら国内外で活躍するミュージシャンたちによる大迫力のセッションに期待しよう。
<ワークショップ編>
世田谷アートタウン 2021『三茶 de 大道芸』
世田谷アートタウン 2021 『三茶 de 大道芸』 (C)加藤春日
日程:10月16日(土)・10月17日(日)
会場:キャロットタワー周辺
出演:国内外のパフォーマー約50組
地元商店街とボランティアスタッフ、世田谷文化生活情報センターが一体となって開催する大道芸フェスティバル。今回は25回目の開催となる。街中のいたるところが舞台となり、国内外から結集した一流のアーティストたちによるパフォーマンスが繰り広げられるほか、屋台や“アート楽市”などが出現し、例年2日間で約20万人の来場者を超えるほどの賑わいをみせている。
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト
French Circus Focus 2021/フランス×日本 現代サーカス交流プロジェクト
『フィアース5』
『フィアース5』 ラファエル・ボワテル
日程:10月9日(土)~10月11日(月)
会場:世田谷パブリックシアター
演出・振付:ラファエル・ボワテル
出演:日本のサーカスアーティスト 5名
日本初演となった『When Angels Fall/地上の天使たち』(19年)でも豊かな才能を見せつけた現代サーカス界の若きカリスマ、ラファエル・ボワテル。彼女が自身の代表作を日本のアーティストと共にリ・クリエイションする注目作。ダンサーやサーカスパフォーマーなど異なるバックグラウンドを持つ5人の若いアーティストの人生や人間像、そして日本の若者の現在を、ダンスとサーカステクニックを通して描く。
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト
French Circus Focus 2021
『ぶくぶくマリンパレード』
『ぶくぶくマリンパレード』
日程:10月16日(土)・10月17日(日)
会場:キャロットタワー周辺
アーティスティックディレクター:ギヨミット
出演:プラスティシアン・ヴォラン ほか
衣装やポスター上の3Dアニメーションを操作できる拡張現実のアプリケーションを開発するアーティストのギヨミットと、巨大なバルーンを操り街中で物語を生み出す大道芸集団のプラスティシアン・ヴォラン。彼らのコラボレーションにより誕生した不思議な海の生物ミュータントと日本のミュージシャンとが一緒になって大通りをパレードし、三軒茶屋の街に新たな物語を紡く。地元の子どもたちもお面をつけて参加予定。
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト
日仏国際共同制作ダンス公演
『ゴールドシャワー』
『ゴールドシャワー』 photo: Laurent Philippe
日程:10月15日(金)~10月17日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
構想・出演:フランソワ・シェニョー 麿赤兒
フランスを拠点に振付家・ダンサー・歌手として活躍するフランソワ・シェニョーと、大駱駝艦を主宰し舞踏家・演出家・俳優の顔を持つ麿赤兒が共に構想・出演する日仏国際共同制作公演。クラシックバレエを経て、コンテンポラリーダンスの世界で新しい地平を切り開くシェニョーと、スペクタクル性あふれる舞踏作品を創造し続ける麿が生み出す、言葉や世代、文化的背景を超えた化学反応に注目したい。
『MANSAI◉解体新書 その参拾弐』
『MANSAI◉解体新書 その参拾弐』 (C)森日出夫
日程:10月27日(水)
会場:世田谷パブリックシアター
出演:野村萬斎 ほか
芸術監督・野村萬斎とゲストが多様なテーマでトーク&パフォーマンスを繰り広げ、“表現の本質”を探ってきた人気シリーズ『MANSAI◉解体新書』。2002年のスタート以来、各芸術分野のトップランナーたちを迎え、「森羅万象」「解析」「場」「古事記」「日本」「発酵」「伝」など、表現の世界を縦横無尽に行き交う多彩な内容で届け、好評を博してきた。32回目となる今回はどんなテーマが飛び出すのか、楽しみに待とう。
『愛するとき 死するとき』
『愛するとき 死するとき』
日程:11~12月
会場:シアタートラム
作:フリッツ・カーター
翻訳・演出:小山ゆうな
出演:浦井健治 ほか
読売演劇大賞優秀演出家賞受賞作『チック』(17・19年)以降、劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の演出など注目を集めている小山ゆうなが、再びドイツ発の同時代戯曲に挑む。社会主義体制下のやるせない愛と人生を描いた本作は、劇作家フリッツ・カーターによる2002年初演の名作。演劇やミュージカルの大作で主演を飾る俳優・浦井健治が、小山との初顔合わせでシアタートラムの舞台に初めて立つ。
『彼女を笑う人がいても』(仮題)
『彼女を笑う人がいても』(仮題)
日程:12月
会場:世田谷パブリックシアター
作:瀬戸山美咲
演出:栗山民也
出演:瀬戸康史 木下晴香 渡邊圭祐 近藤公園 ほか
日本演劇界を牽引する巨匠・栗山民也と、昨年11月にシアタートラムで上演された「現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より」でも読売演劇大賞選考委員特別賞・優秀演出家賞を受賞した気鋭・瀬戸山美咲による初の強力タッグが実現。現代と安保闘争の時代を舞台に正義と真実を問う意欲作を立ち上げる。
世代を超えた二人の新聞記者を瀬戸康史が一人二役で演じるほか、木下晴香、渡邊圭祐、近藤公園ら魅力的なキャスト陣で上演。
世田谷パブリックシアター 若手演劇人育成プログラム
Hatch Out Theatre ハッチアウトシアター2021
『子どものためのリーディング公演+ワークショップ』
『子どものためのリーディング公演 +ワークショップ』
日程:12月
会場:シアタートラム
上質な舞台芸術作品の創造・上演だけでなく、公共劇場として初めて専任の学芸セクションを設け、舞台芸術と地域を結びつける先駆者として活動を行ってきた世田谷パブリックシアターが、新たな若手演劇人育成プログラムを始動。“子どもに伝えたいこと/子どもと考えたいこと”をテーマに「戯曲」と「演出+ワークショップファシリテーター」を行う人材をそれぞれ公募し、実際の上演だけではなく若手実演家と観客との対話・協働も実現する企画となる。
『マーキュリー・ファー Mercury Fur』
『マーキュリー・ファー Mercury Fur』
日程:2022年1月~3 月
会場:世田谷パブリックシアター
作:フィリップ・リドリー
演出:白井晃
翻訳:小宮山智津子
出演:吉沢亮 北村匠海 ほか
英国の劇作家フィリップ・リドリー×白井晃の4作目として2015年に日本初演された衝撃作が、キャストを一新し、さらに進化させ再演。荒廃した街の一角で始まるパーティーを舞台に、極限状態に置かれた人間の残虐性を描いた本作。そんな中で純粋なまでに生と愛を渇望する兄弟を、NHK大河ドラマ「青天を衝け」で主演を務めている吉沢亮、「にじいろカルテ」ほか多くのドラマや映画で活躍中の北村匠海という、今をときめく二人が演じる。
『地域の物語 2022』
日程:2022年3月
会場:シアタートラム
劇場開場時より続く一般市民によるプロジェクト。公募で集まった地域の人々が、進行役と共に数カ月にわたるワークショップを通して対話を重ね、身体を動かし、自分自身と周囲の人のさまざまな物語をもとに演劇をつくり上げ、発表する。近年は、結婚、介助と介護、生と性、家族、生きること、死ぬことなどをテーマに上演してきた本企画、2021年度はどんな物語が生まれるか、楽しみにしよう。
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/performances/2021lineup.html