ジャパン・ソサエティーが1年4カ月ぶりに劇場での公演再開 タニノクロウ脚色・演出『ダークマスター』NY公演が決定

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2021.5.13
 (c) Japan Society

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1907年にニューヨークに設立された米国の民間非営利団体(NPO)ジャパン・ソサエティー(JS)が、1年4カ月ぶりに劇場での公演再開。2021年6月23日(水)~27日(日)ニューヨークのジャパン・ソサエティー内にて、VR (バーチャル・リアリティ)演劇公演『ダークマスター』が上演される。

元精神科医にして、劇作・演出家であるタニノクロウによる『ダークマスター』は、自己と他人、他者による支配、さらに他者が自己の中で同化していく様を描いた実験的演劇。狩撫麻礼の原作による同名短編漫画をタニノが脚色・演出し、2003年の初演以来、日本各地とフランス、オーストラリアなどで上演されてきた。

もともとは生の役者が出演する舞台作品としてニューヨーク公演が予定されていたが、コロナ禍の影響でオリジナルの形での公演が困難となった。そこで、JS芸術監督と共にVRバージョンでの公演の可能性が模索され、2020年10月の東京芸術劇場での上演を経て、ついにニューヨークでも『ダークマスター』VR公演が行われる。

本公演では、観客はそれぞれ個別のブースの中でVRゴーグルとヘッドホンを装着し、主人公の視点を共有しながら、劇的世界を疑似体験するが、VR映像以外にも他の観客とともにライブとしての演劇体験が味わえる様々な仕掛けが施されている。ネット映像によるリモート・ワークが一気に普及したソーシャル・ディスタンス新時代に相応しく、興味深い作品といえるだろう。

 (c) Keizo Maeda

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JSでは、2014年にタニノクロウ率いる庭劇団ペニノによる公演『だれも知らないあなたの部屋』の北米ツアーをプロデュースし、米国各地で大きな反響を呼んだが、その大成功を受けて本公演で7年ぶりのNY再訪となる。英語公演で、各公演定員10名で上演される。

公演概要

ある食堂にふらりと訪れた“あなた”は店の「マスター」から月給50万円で、この食堂をやってくれないかと強引に頼まれます。調理経験がないという“あなな”に、店内に取り付けられた小型カメラとイヤホンを使って指示を出すから大丈夫だと説得するマスター。イヤホンからの指示に従って調理をし、マスターに操られるままに店を切り盛りしますが、最初の出会い以降、マスターはイヤホンから指示を出すだけで“あなた”の前に姿を表しません。マスターからの声によりリモートでコントロールされる“あなた”。そして次第に“あなた”の人格と肉体に変化が起こり始めます。

 

 

公演情報

VR (バーチャル・リアリティ)演劇公演
『ダークマスター』[英題:The Dark Master]

 
脚色・演出:タニノクロウ(庭劇団ペニノ)
 
公演日時:  
2021年6月23日(水)午後6時30分、午後8時30分
6月24日(木)午後5時、午後7時、午後9時30分
6月25日(金)午後2時30分、午後4時30分、午後7時、午後9時
6月26日(土) 午後2時30分、午後4時30分、午後7時、午後9時
6月27日(日)午後12時30分、午後2時30分、午後5時

※作品の機能上、開演後遅れてののご入場は一切いただけません。
※作品の一部に未成年者に不適当な場面があるため、本作品は18歳未満のお客様の入場をお断りしています。
 
料金:  25ドル/JSメンバー 20ドル
 
ボックスオフィス: JSウェブサイト https://www.japansociety.org/performingarts または、ボックスオフィス:212-715-1258 (月-金 10:00AM – 6:00PM)。
 
会場:ジャパン・ソサエティー(333East 47th Street、1アベニューとにアベニューの間)。
 

 
【プロフィール】
 
タニノクロウ
1976年富山県出身。庭劇団ペニノの主宰、座付き劇作家・演出家。セゾン文化財団シニアフェロー(2015 年まで)。2000年医学部在学中に庭劇団ペニノを旗揚げ。以降全作品の脚本・演出を手掛ける。ヨーロッパを中心に、国内外の主要な演劇祭に多数招聘。劇団公演以外では、2011年1月には東京芸術劇場主催公演で『チェーホフ?!』の作・演出を担当。狂気と紙一重な美しい精神世界を表現し、好評を得る。2015年3月ドイツにて新作『水の檻』を発表。2016年『地獄谷温泉 無明ノ宿』にて第60回岸田國士戯曲賞受賞。2016年北日本新聞芸術選奨受賞、第71回文化庁芸術祭優秀賞受賞。2019年第36回とやま賞文化・芸術部門受賞。
 
庭劇団ペニノ
2000年1月、昭和大学演劇部メンバー有志にて「庭劇団ペニノ」を結成。自宅マンションを改造した劇場スペース「はこぶね」や野外での公演など、作り込んだ舞台美術とともに上演空間には透徹したこだわりを持つ。「フェスティバル/トーキョー09秋」や「ふじのくにせかい演劇祭」、「KYOTO EXPERIMENT」など国内の主要な国際舞台芸術祭に多数招聘。『苛々する大人の絵本』は09年にベルリン(ドイツ)、2010年にチューリッヒ(スイス)、グロニゲン(オランダ)などで上演され、スイスの著名な演劇賞ZKB Patronage Prize 2010 にノミネートされた。また『誰も知らない貴方の部屋』のアメリカ5都市ツアーを行い好評を得た(2014)。2015年『大きなトランクの中の箱』がウィーン芸術週間、世界演劇祭にて招聘され、ウィーン地元紙で五つ星の評価を得た。2016年『地獄谷温泉 無明ノ宿』ではヨーロッパ4カ国ツアーを行ない、高い評価を得た。2018年、ジャポニスム2018の公式企画としてフランス・ジュヌビリエで「ダークマスター」と「地獄谷温泉 無明ノ宿」を連続上演し、話題となる。
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