『二条城×ネイキッド 二条城夏まつり2021〜ネイキッド万華鏡花火〜』、夜の二条城で打ち上げられる「祈り」のマッピング花火を堪能

世界遺産・元離宮二条城の、季節の風物詩として定着しつつある、クリエイティブカンパニーのネイキッドとのコラボレーション「二条城×NAKED」。今夏は2021年7月21日（水）〜9月5日（日）まで、『二条城×ネイキッド 二条城夏まつり2021〜ネイキッド万華鏡花火〜』 が開催中だ。新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年夏は規模を縮小して『二条城×ネイキッド 夏季特別ライトアップ2020』を、今年春にはソーシャルディスタンスや感染対策をもアートとして楽しめるように工夫された『NAKED FLOWERS 2021ー桜ー世界遺産・二条城』 を開催。コロナ禍で分断されてしまった、世界をつなぐ「祈りのアート」が来場者の目と心を潤した。今回のテーマは「花火大会」。万華鏡のように様々な模様を映し出す、NAKEDオリジナルデザインの「ネイキッド万華鏡花火」が、プロジェクションマッピングで世界遺産・二条城の歴史的建造物と融合する。春と同様、ソーシャルディスタンスとアルコール除菌のアートを導入。コロナ禍で中止が相次ぐ花火大会や夏まつりに代わり、夏気分を安心安全に楽しんでほしいとの想いが込められた、新しい生活様式に合わせた、新しい夏まつりだ。また、来場が難しい人に向けて、VRでバーチャル花火を楽しめるキットも用意されている。この記事では、現在開催中の『二条城×ネイキッド 二条城夏まつり2021〜ネイキッド万華鏡花火〜』をレポートしよう。

「NAKEDディスタンス提灯」でソーシャルディスタンス

青くライトアップされた二条城の東大手門を入り、左に進んだ東南隅櫓前のテントでは、「NAKEDディスタンス提灯」の無料配布が行われている。春に続いて登場した、コロナ対策アートの1つだ。提灯を持つと、足元に光の花火が咲く。

光の模様がぶつからない距離で提灯を持って歩くことで、ソーシャルディスタンスを保ちながら、自分自身も光の演出に参加できる。ピンク・イエロー・ブルーの3色から好きな提灯を選び、会場内を回遊しよう。二の丸御殿台所前では、提灯を置くことで花火を打ち上げられるインタラクティブ展示に参加できるため、ぜひ1人1つ借りることをおすすめする。

重要文化財・唐門に光の花火が咲き誇る「夏花火」

恒例となった重要文化財・唐門でのプロジェクションマッピング。タイトルは「夏花火」。「ヒュー……」という打ち上げ音とともに花火が上がり、大きな万華鏡花火が開く。

ガラスが割れるような清涼感のある音とともに、色とりどりの万華鏡花火がダイナミックに映し出される様子は実に華やかで、来場者も思わず見入っていた。

二の丸庭園がライトアップ

唐門をくぐり、二の丸庭園へ足を向けると、どこからかアロマの香りがただよう。アットアロマとのコラボレーションによる、天然アロマの空間演出だ。ライトアップされている特別名勝・二の丸庭園は、書院造庭園として1602年～1603年頃（慶長7年～8年）に作られ、幾度にもわたる改修を経て現在の景勝になった。1953年（昭和28年）に国の特別名勝の指定を受けるほど優れた、価値の高い庭園だ。

夜の闇に照らし出される島や橋の荘厳さは、昼間では見ることのできない貴重なもの。また、滝の水音が涼しさを感じさせてくれる。庭園から望む、厳かな存在感を放つ国宝・二の丸御殿の姿も、ともに楽しもう。

内堀と水面をプロジェクションマッピングで彩る「NAKED FIREWORKS －京花火－」

二条城の内堀では、コロナ収束を願うネイキッドの花火アート「NAKED FIREWORKS －京花火－」がプロジェクションマッピングされている。

本物さながらの大きな花火が内堀にどんどん上がり、壁一面が鮮やかに美しく染まる。約10mもの京花火がイメージされているそうだ。ネイキッドオリジナルデザインの、まるく大きな万華鏡花火が眼前で競演する様子は圧巻。

お堀の水面に花火が反射して、水上花火のように幻想的な雰囲気を醸し出す。スターマインやナイアガラを思わせる演出もあり、どこか郷愁を感じさせる音楽も相まって、まさに日本の夏・花火大会を感じられるマッピングとなっている。

香雲亭ライトアップ「涼の灯（りょうのともしび）」

香雲亭では、池や庭も含めた一帯が、ブルーやグリーンといった涼しげな色彩でライトアップ。なにか別世界にいるような物語性を思い浮かべてしまう迫力と佇まい。昼間の香雲亭とは全く違う趣きを感じられる、夏限定のライトアップを楽しんでほしい。

清流園ライトアップ「夏の灯（なつのともしび）」

香雲亭を通り過ぎ、東側半分が芝生を敷き詰めた洋風庭園、西側半分が二棟の建物を含めた池泉回遊式庭園（和風庭園）からなる和洋折衷庭園の清流園にさしかかると、再び爽やかなアロマの香りに包まれる。

木々生い茂る並木道が、イエロー、ブルー、グリーンのライトで照らされ、幽玄な雰囲気を作り出す。アロマの良い香りにリフレッシュしながら提灯を手に、風が吹き抜ける夜の散歩道を歩こう。

アルコール除菌をアートに。「NAKEDつくばい―FIREWORKS―」

本展の最後を飾る二の丸御殿台所前では、春にも登場したアルコール除菌アートが体験できる。手をかざすとセンサーが反応し、アルコールが噴射されるとともに、手の平の上で万華鏡花火が踊り咲く。まるで手の中に夏のかけらを閉じ込めたような気持ちになる。やらなければならない手指消毒を楽しみながらできるのは、「二条城×ネイキッド」の作品ならではだ。

提灯で花火を打ち上げよう。台所前インタラクティブ花火「提灯花火」

除菌を済ませて台所前の壁を見やると、美しい天の川がマッピングされている。ここではインタラクティブ花火「提灯花火」が展示されている。「NAKEDディスタンス提灯」を使って、自分自身も花火の打ち上げに参加することができる、体験型の作品だ。

「NAKEDディスタンス提灯」を指定の台に置くと、目の前の壁に「牡丹」「大柳」「土星」「菊」「千輪菊」「冠菊」の計6種類から、ランダムでバーチャル花火が打ち上がる。と同時に足元にミストが噴射され、除菌が行われる。

天の川の中に打ち上がる美しい花火。夏まつりを思わせる、太鼓や笛の軽快な祭囃子が気持ちを盛り上げてくれる。打ち上がったあとにくるくると形を変えるネイキッドオリジナルデザインの万華鏡花火がパリーンと弾ける様や、余韻を残して儚く消えていく様は、実際の花火大会のように、鑑賞者にも鮮やかな印象をもたらしてくれる。

また、自分自身もアート作品に参加できるのはもちろん気分が高揚するのだが、花火が機械的に打ち上がるのではなく、人が提灯を置いたタイミングで打ち上がるので、「次はいつ上がるのだろう」というワクワク感も引き出してくれる展示だと感じた。キラキラと様々な表情を見せる華やかな万華鏡花火を、いつまでも眺めていたくなった。

「花みくじ」で運試し、華やかな写真が撮れる「万華鏡花火フォトフィルター」も

展示会場の最後にあるテントでは、「二条城×NAKED」のオリジナルグッズや、紙で作られた花びらが美しい、人気の「NAKED花みくじ」が発売されている。

また、8月1日（日）〜8月15日（日）は、「京の七夕」期間として、通常演出に加え、メッセー ジ行灯や短冊に記入できる、願い七夕の展示が行われたり、株式会社亀田富染工場／Pagongの友禅染とネイキッドのプロジェクションマッピングがコラボレーションするなど、「伝統と革新のアート作品」も期間限定で展示される。

さらに、「NAKED INC PLAY!」アプリを携帯にダウンロードして、起動したカメラでマーカーを読み取ると、オリジナルの「ネイキッド万華鏡花火フォトフィルター」で写真撮影ができる遊び方も。浴衣を着て、夜の二条城で涼みながら、夏まつりの雰囲気を感じてみてはいかがだろう。『二条城×ネイキッド 二条城夏まつり2021〜ネイキッド万華鏡花火〜』は、世界遺産・元離宮二条城にて、9月5日（日）まで。

取材・文・撮影＝ERI KUBOTA