伝説のライブアルバム『唐十郎/四角いジャングルで唄う』が奇蹟の初CD化

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2021.8.5


1973年2月、唐十郎/状況劇場の劇中歌リサイタル「四角いジャングルで唄う」が開催され、同年10月には、その実況録音盤が(キング)ベルウッド・レコードより自主制作LPとして発売された。「永遠に再発はない」と言われていた、その伝説のレコード『唐十郎/四角いジャングルで唄う』がこのほど初CD化され、2021年9月22日に発売される。これはまさしく、48年目の奇蹟の出来事といえる。そのトレイラー動画も次のとおり公開された。

【動画】『唐十郎/四角いジャングルで唄う』より


唐十郎/状況劇場の劇中歌リサイタル「四角いジャングルで唄う」は、1973年2月8日、後楽園ホールの特設リングで行われた。当時の唐は32歳、前年には『二都物語』や『鐵仮面』を上演し、またこのライブの直後には『ベンガルの虎』や蜷川幸雄演出の桜社『盲導犬』等の上演が控えていた、最も脂の乗っていた時期だった。

リサイタルには、唐十郎をはじめ、李麗仙(当時は「李礼仙」)、大久保鷹、不破万作、根津甚八、小林薫ら状況劇場の劇団員が総出演、さらに前々年に退団していた四谷シモンも特別に復帰した。演奏を務めたのは、日本フォーク界の草分けたるシンガーソングライターの小室等が指揮する“ザ・サウンド・ガーリック”(この日のためだけに結成された楽団)。ちなみに、この当時の状況劇場の劇中歌の殆どは、小室が作曲を担当していた。

歌のプログラムは、『吸血姫』『腰巻お仙 振袖火事の巻』『少女都市』『由比正雪』『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』『少女仮面』『ジョン・シルバー』等、劇団初期の名作の劇中歌群。また、唐による自作小説の一部の朗読も披露された。

特筆すべきは、1970年2月、岸田國士戯曲賞受賞直後の唐十郎がベルウッド・レコードより1stシングルレコードとしてリリースしたが、すぐに発売禁止処分を受けた「愛の床屋」が、このリサイタルの中で歌われていることだ。発禁処分の理由は明らかではないが、唐の書いた歌詞は、A・ジャリの戯曲『寝取られユビュ』の劇中歌のパロディで、小室等のドラマチックな作曲により、危険度の高い歌謡として仕上がっている(大島渚監督1968年作品「新宿泥棒日記」の中で唐が歌う同曲はメロディが異なるため、幾分味わいが薄いものとなっている)。ちなみに、小室は「愛の床屋」と同時期に、後の彼の代表作となる「雨が空から降れば」を含む、別役実の『スパイものがたり』の劇中歌を作曲しており、小室もまた最も脂の乗っていた時期なのだった。今後、件の発禁シングル「愛の床屋」の音源CD化も切に待たれるところだ(ちなみにシングルB面「さすらいの歌」はCD化済み)。なお、「愛の床屋」の現物は、放送禁止歌のコレクター・とうじ魔とうじも所有していることを明らかにしている。

なお、1973年10月に実況録音盤がLPアルバムとして発売された際には、ジャケット画を合田佐和子が担当。同年に出版された唐十郎の小説集『ズボン』の表紙絵や、数々の劇団ポスターなど、唐ワールドとは非常に相性の良い合田が生み出す幻想風景は、今回のCD化に際しても堪能できる。

そして、CD化にあたっては、唐十郎が横浜国立大学教授に就任して以来、唐の薫陶を受け続けてきた劇団☆唐ゼミ代表の中野敦之が解説を執筆しているのが何よりも頼もしいかぎりで、その期待は大きい。彼は、2011年11月「大唐十郎展」を企画し、その一環として、唐十郎や小室等らを招き、「四角いジャングル」2011版ともいうべき「21世紀リサイタル」を横浜・赤レンガ倉庫1号館 3Fホールで開催した経緯もある。唐十郎の劇宇宙を、劇中歌の切り口から解読していくうえで、中野ほど相応しい人選はないだろう。

本CDを通して、日本の演劇界を震撼とさせた唐十郎/状況劇場の全盛期の息吹を感じ取って欲しい。


【プロフィール】唐十郎(1940~):劇作家、俳優、小説家。1963年、状況劇場を旗揚げし1967年より紅テント公演を行う。天井桟敷の寺山修司、黒テントの佐藤信とともに前衛演劇の代表的存在となり、劇団からは、李礼仙(麗仙)、麿赤兒、根津甚八、小林薫、佐野史郎、六平直政、渡辺いっけいらを輩出。1982年、『佐川君からの手紙』で芥川賞を受賞。1988年、状況劇場を解散して唐組を結成し現在に至る。音楽活動では、1967年に山下洋輔と共演。1970年、シングル「愛の床屋」(キングレコード)で歌手デビュー、また同年、東宝映画『銭ゲバ』の主題歌「銭ゲバ大行進」も。
 

リリース情報

『唐十郎/四角いジャングルで唄う』

2021年9月22日発売 FJSP436 
 
■収録曲:
1 オテナの塔 (レコード:淀かおる、森田克子とザ・プリティーズ)
2 開演挨拶 (大久保鷹、不破万作) 
3 吸血姫のテーマ/唐十郎
4 挨拶 (唐十郎) 
5 ミドリのおばさんの唄/唐十郎+全員
6 けつねうどん/四谷シモン
7 さすらいの唄/唐十郎
8 『少女都市』のシーン (大久保鷹、不破万作、他) 
9 怒れる乙女 /唐十郎
10 お銀の唄 /四谷シモン
11 犬殺しの唄 /唐十郎
12 あの人に会ったら/唐十郎
13 とらわれの姫/李礼仙
14 オテナの塔 /唐十郎
15 愛の床屋 /唐十郎
16 『吸血鬼』のシーン (大久保鷹、不破万作、他) 
17 ほおづきの唄/李礼仙
18 月がかげれば/唐十郎
19 時はゆくゆく /唐十郎
20 朗読 (唐十郎) 
21 ジョン・シルバーの合唱/唐十郎+全員

 
■作詞:唐十郎 作曲:小室等 (except M10:Claude Valéry)
■編集・マスタリング:中村宗一郎(ピースミュージック)    
■画:合田佐和子 
■解説:中野敦之(劇団☆唐ゼミ代表)
■公式サイト:https://diskunion.net/jp/ct/detail/1008337662


★先着特典付き★
1973年発売「唐十郎/四角いジャングルで唄う」LPに封入されていた当日の台本
そのレプリカ復刻冊子(全44頁/紙質、サイズなど厳密な復刻ではないことご了承ください)。

 

【発売中】FJSP150 唐十郎、李礼仙/状況劇場劇中歌集
「音版 唐組~紅テント劇中歌集」(1984年PARCO出版カセットブック)全22曲CD化。演奏は山下洋輔トリオ他
https://diskunion.net/portal/ct/detail/IND7920
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