パスピエ『RUSH BALL 2021』ライブレポート ーー結成11年目、なおも更新し続ける魅力
パスピエ 撮影=瀧本JON…行秀
『RUSH BALL 2021』パスピエ
時刻は17時35分。オレンジ色の西陽が照りつけるステージに登場したのは、昨年結成10周年を迎えたパスピエ。SEに乗せて登場したメンバーに大きな拍手が送られる。「パスピエでーす!」と大胡田なつき(Vo)が挨拶し、佐藤謙介(サポートドラム)が叩き込んだビートから、1曲目「Q.」をプレイ。
パスピエ
サビでは一斉にオーディエンスの手がアップ。その様子を見て、成田ハネダ(Key)が嬉しそうに笑顔を浮かべる。直射日光が当たる角度なので大胡田はかなり眩しいはずだが、そんなことを感じさせないくらい、サラサラの髪をなびかせて、ステージをくるくると踊るように歌う。
パスピエ
「『RUSH BALL』、今日はよろしくお願いします」と再びぺこりと挨拶した大胡田。続いてはMBSドラマ特区『ホームルーム』エンディング主題歌で最新シングルの「まだら」を披露。不協和音と独特のリズムで、ともすればざわつきを感じるが、大胡田の中性的で高く伸びやかな歌声や曲の展開がドラマティックで、パスピエの実力の高さを実感させられる。
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メロディアスで生命力のある「影たちぬ」では、三澤勝洸(Gt)のギターが火を吹き、露崎義邦(Ba)と佐藤のリズム隊が確実にビートを支え、成田のシンセが感情を動かし、パスピエワールドを作り上げる。大胡田の歌声には童謡感と神聖な感覚が同居する不思議な魅力がある。彼女が歌いながら顔のまわりで手をひらひらと動かす動作を見ていると、すっかり没入してしまう。
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「どこでどうなるかわかんない日々だけど、今日は良かったね、面白かったね、楽しかったねという日になるといいなと思って歌ってます。みんなと、『RUSH BALL』との出会いに感謝して、あと2曲歌わせてもらおうかな」と大胡田がMCを挟み、「グッド・バイ」を演奏。サビのメロディーがポップで、オーディエンスも軽快に身体を揺らす。
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ラストは初期の楽曲「MATATABISTEP」。オーディエンスは待ってましたと言わんばかりにジャンプ! 大胡田もステージ上でステップを踏む。サビの<パパパリラ>では、全員が手首のスナップをきかせてダンス! 素晴らしい一体感と熱量で、最高潮に持っていき、最後は「またねー」と手を振りステージを後にした。結成11年目の彼らが魅せた、芸術的で圧巻のパフォーマンスだった。
取材・文=久保田瑛理 撮影=瀧本JON…行秀
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