京本大我が熱演! ディズニーミュージカル『ニュージーズ』が満を持して日本初上陸

レポート
舞台
2021.10.10
写真提供/東宝演劇部

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2021年10月9日(土)、ディズニーミュージカル『ニュージーズ』の日本初演が東京・日生劇場にて開幕した。

本作は1992年公開の同名映画を原作としており、音楽を『美女と野獣』、『アラジン』、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』などを手掛けてきたアラン・メンケン、作詞をジャック・フェルドマン、脚本を『ラ・カージュ・オ・フォール』や『キンキー・ブーツ』などで知られるハーヴェイ・ファイアスタインという豪華クリエイター陣の手によって誕生。日本初演においては、日本ミュージカル界の巨匠・小池修一郎が演出/日本語訳/訳詞を手掛ける。

本来であれば2020年5月に上演予定だったが、コロナ禍の影響で全公演中止となっていた本作。京本大我をはじめとする豪華キャスト陣が再び集結し、奇跡的な早さで今回のリベンジ上演に至った。その初日公演直前に行われたゲネプロの模様と、メインキャストらのコメントをお届けする。

写真提供/東宝演劇部

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舞台は1899年のニューヨーク。実際に起きた新聞販売の少年たち“ニュージーズ”のストライキを描いた物語だ。

心沸き立つような「Overture」と共に徐々に舞台上が明るくなると、とあるビルの屋上で眠る二人の少年の姿が浮かび上がってくる。どうやらここが、ニュージーズのジャックとクラッチーの住処のようだ。右脚が不自由なクラッチーに手を貸すジャック。二人の小気味いい掛け合いから、まるで本当の兄弟のように信頼しあっている様子が伝わってくる。ジャックは屋上からどこまでも続く空を見上げ、瞳を輝かせて憧れの街サンタフェへの想いを募らせる。

しかし現実は厳しい。ニュージーズの多くは家族を持たず、学校に通うこともできないその日暮らしの子どもたち。新聞社から新聞を卸値で買い取り、それを売り歩いて得たお金で生きているのだ。そんなある日、新聞社のオーナー・ピュリツァーは、利益のためにニュージーズに対しての新聞の卸値を上げるという暴挙に出た。これにはニュージーズも黙っていられない。ジャックを中心に一丸となって自分たちの権利を求め、ストライキを試みる。ところが……

本作の目玉は、なんといってもニュージーズによる躍動感溢れるエネルギッシュなダンスシーンだろう。アラン・メンケンの心躍る音楽に乗せて、バレエ、モダンダンス、タップダンス、さらにアクロバティックな技の数々が次から次へと舞台上で繰り広げられる。約20人のニュージーズによる、一糸乱れぬキレのあるダンスも必見。ダンサーそれぞれの見せ場もふんだんに盛り込まれており、大技が披露される度に客席から拍手が巻き起こっていた。

その中心で座長として堂々と歌い踊るのが、ジャック役の京本大我だ。ハンサムでカリスマ性があり、胸に熱い想いを秘めた情熱的な青年を活き活きと演じていた。中でも1幕ラストのソロナンバー「Santa Fe」では、髪を振り乱しながら力強くドラマチックな歌声を劇場中に響かせ、圧巻のパフォーマンスで魅せてくれた。京本はジャックという新たな役への挑戦によって、新境地を開拓したと言っていいただろう。

写真提供/東宝演劇部

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ジャックが密かに想いを寄せる新聞記者のキャサリンを演じたのは、咲妃みゆ。聡明で凛とした女性の役がよく似合う。キャサリンはニュージーズのストライキを応援してくれる心強い存在だ。ニュージーズを扱う記事を悩みながらも書き上げる場面では、息継ぎする間もないほど歌詞が続く難曲を見事に歌いこなしていた。

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ジャックの弟的存在のクラッチー役は、近年舞台での活躍が目覚ましい松岡広大。愛嬌たっぷりな芝居と豊かな表情が印象的だ。松葉杖を使いながらも、ニュージーズと共に迫力のダンスシーンを見せてくれた。ニュージーズの新入り・デイヴィを演じた加藤清史郎は、子役時代の印象を持っている人が多いかもしれないが、ここには我々が知っている子役の彼はいない。真面目で頭が切れるデイヴィを説得力のある演技で表現していた。デイヴィと同じく赤髪の弟・レスとの掛け合いもコミカルで微笑ましく、目が離せない。

多くの若手キャストが活躍する中、ベテラン陣の存在が作品を支えてくれていたように思える。霧矢大夢はバーレスクのスター歌手メッダを、包容力ある大人の女性として魅力的に演じていた。セクシーな衣装で歌い踊るショーシーンも実に華やか。今回が数年ぶりのミュージカル出演となる松平健は、そんなことを微塵も感じさせない貫禄たっぷりの立ち居振る舞いで、どこか憎めない権力者ピュリツァーを作り上げていた。

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日本初上陸の『ニュージーズ』は、少年たちが奮闘するエネルギッシュな姿に希望と活力をもらえる、エンターテインメント性抜群の爽快なミュージカル作品に仕上がっていた。

以下に、メインキャスト6名からの開幕コメントを掲載する。

ジャック:京本大我(SixTONES)

人生最大のチャレンジと言っても過言ではない程、高く大きな壁を目の前に感じながら日々稽古してきました。『ニュージーズ』を知っている方からすれば、ジャックと僕のイメージはかけ離れていると思いますが、僕だからこそ演じられるジャックを必ず皆様にお届けしたいです。これから長丁場になりますが、エネルギッシュでパワフルなカンパニーと共に、最後まで駆け抜けたいと思います。ミュージカルの素晴らしさが存分に詰まったこの『ニュージーズ』を、これからもよろしくお願いします。

キャサリン:咲妃みゆ

昨年4月に涙を飲んでから今日まで開幕を願いに願い続けて1年以上。多くの方々のご尽力あってこそ、ようやくここまで辿り着けたのだと感謝の気持ちでいっぱいです。怯むことなく立ち向かう勇気、支え合い助け合う中で育まれる強い絆……胸が熱くなるシーンに溢れた素晴らしいミュージカルだと感じています。ご覧くださる皆さまに笑顔と心の栄養をお届け出来ますように……。劇場でお待ちしております!

クラッチー:松岡広大

遂に幕が上がります。感に堪えないとはまさにこのことです。苦節の月日が流れました。お客様と共に辛抱をしました。これまでの皆様の憂色をどうにかして晴らしたいと思っています。お座席に着かれましたら、どうぞ心は解放してご観劇下さいませ。劇場はそれができる空間だと感じています。日頃の束縛から放たれ、『ニュージーズ』の世界を存分に楽しんで頂けたら幸いです。

デイヴィ:加藤清史郎

こうしてようやく皆さんの元へ『ニュージーズ』をお届けできると思うと、「この日のために、これまでの涙や汗があったのかもしれない」なんて思ったりして。ワクワクとドキドキが止まりません。『ニュージーズ』を通して、少しでも多くの方が元気になってくれたら、それ以上に幸せなことはありません。大我ジャックの"FOREVER NEWSIES"という言葉を信じてきて本当に良かった。最後まで突っ走らせて下さい!!

メッダ:霧矢大夢

昨年の中止という雪辱から、パワーアップしていよいよ『ニュージーズ』日本版が開幕します。私が演じるメッダは、ジャック、キャサリン、ニュージーズ達を支え、見守る立場ですが、親心の如く、自慢の若者達を早く皆さまの前にお披露目したくてウズウズしています。メッダの劇場シーンでは、華やかに、貫禄たっぷりに「That’s Rich」を歌わせて頂きます。芸術の秋に相応しい、劇場でのパワーを体感して頂きたいです。お越しをお待ちしております!

ピュリツァー:松平健

私の演じる新聞社オーナーのピュリツァーは、若きパワーのニュージーズたちに立ちはだかる権力者の象徴です。少年たちのリーダー・ジャックとの対決では、底知れぬ若いエネルギーと底の厚い老巧なエネルギーのぶつかり合いをお楽しみいただきたいと思います。挑み来る少年たちとの熱い戦いを通して、近代アメリカのニューヨークという未成熟な街の魅力、そこで生きる者たちの未完成ながらも果てしない情熱も併せてご覧いただけたらうれしいです。


上演時間は1幕1時間15分、休憩25分、2幕1時間10分の計2時間50分。本公演は10月30日(土)まで東京・日生劇場にて、11月11日(木)〜17日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演予定だ。

取材・文=松村蘭(らんねえ) 写真提供=東宝演劇部

公演情報

ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』
 
◎東京公演 日生劇場
2021年10月9日(土)初日~10月30日(土)千穐楽
料金(全席指定・税込):S席14,000円 A席9,000円 B席4,500円
 
◎大阪公演 梅田芸術劇場メインホール
2021年11月11日(木)初日~11月17日(水)千穐楽
料金(全席指定・税込):S席14,000円 A席9,500円 B席5,000円
お問い合わせ:梅田芸術劇場 06-6377-3800
 
作曲:アラン・メンケン 作詞:ジャック・フェルドマン 脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン 
演出/日本語訳/訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)
製作:東宝/TBS
 
【作品公式サイト】 
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