“炎の飛龍”藤波辰爾がデビュー50周年記念大会をプロレスの聖地・後楽園ホールで開催!

コラム
スポーツ
2021.11.9

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日本プロレスでデビューし新日本プロレスの旗揚げに参画、長州力との「名勝負数え唄」やアントニオ猪木との師弟対決で全国のプロレスファンを熱狂させた“炎の飛龍”藤波辰爾が、今年、プロレス人生50周年を迎える。

藤波率いるドラディションは、一年かけての記念ツアーを開催。まずは10月31日、大阪ATCホールにてスタートし、11月9日(火)には東京での第1弾大会をおこなうのである。東京の舞台はプロレスの聖地・後楽園ホール。1試合のみで超満員札止め、入場できないファンが館外にあふれた木村健吾とのワンマッチ興行をはじめ、数えきれないほど上がってきた後楽園のリングで、藤波は新たなる歴史を刻もうとしている。当日は、藤波の試合をメインに全5試合がラインアップされた。

藤波辰爾デビュー50周年記念試合PART2 6人タッグマッチ(60分1本勝負)
藤波辰爾&天山広吉&小島聡vsグレート・ムタ&白使&KAZMA SAKAMOTO

▼タッグマッチ(45分1本勝負)
長井満也&吉江豊vs望月成晃&岡林裕二

▼タッグマッチ(30分1本勝負)
越中詩郎&AKIRAvs高岩竜一&新井健一郎

▼タッグマッチ(20分1本勝負)
リッキー・フジ&LEONAvsTAMURA&三州ツバ吉

▼倉島信行デビュー25周年記念試合(20分1本勝負)
倉島信行vsスーパー・タイガー

オープニングを飾るのは、藤波が95年に興した「無我」でデビューした倉島信行の25周年記念試合である。「無我」とは、藤波が学んだクラシカルなレスリングを前面に押し出したテーマ性の強い自主興行。“プロレスの神様”カール・ゴッチからも教えを受けた藤波は、ゴッチが学んだイギリスのビリー・ライレー・ジムを踏襲するレスラーを招聘するなどしてプロレスの原点を追求してきた。ここでいう原点とは、ライレー・ジムで培われたキャッチ・アズ・キャッチ・キャン、ランカシャー・スタイルのレスリングであり、このスタイルに魅せられたひとりが倉島だった。

倉島はデビュー以来、プロレスの基本と第1試合にこだわり続け、今大会でもオープニングマッチに登場する。第1試合は大会の流れを決定づける位置づけであり、倉島はプライドをもってその役割を果たしてきた。

相手は、藤波を継ぐ形で日本のジュニア界に革命を起こした初代タイガーマスクの一番弟子であるスーパー・タイガーだ。スーパーは現在、佐山サトル主宰のストロングスタイルプロレスでレジェンド王座に君臨。藤波と佐山の遺伝子が第1試合で激突するという、単なる第1試合以上に意味合いが強いカードとなった。やはり第1試合は大会の流れを左右する重要なポジション。その事実を倉島が身をもって体現する試合になりそうだ。

藤波の後楽園と言えば、息子・怜於南のプロレスデビューも50年史における重要ポイントとなるだろう。12年4・20後楽園、藤波の40周年ファイナル興行において、メイン終了後、怜於南がエプロンに立ちレスラーデビューを直訴した。突然のアピールに困惑した父は「保留」としたのだが、怜於南の熱意が通り13年11月19日にデビューを果たした。

初マットまではランカシャー・スタイルを基礎から学び、ビリー・ライレー・ジムを継ぐロイ・ウッドやUWFスネークピットジャパンで修行、リングネームはLEONAとなった。そして迎える父の50周年、デビューからまもなく8年となるLEONAはリッキー・フジとのタッグでTAMURA&三州ツバ吉組と対戦する。

TAMURAは自身が主宰するHEAT―UP 9・17川崎でのビッグマッチに藤波招聘を実現させるも、HEAT―UPユニバーサル王座&PWL世界王座の2冠を奪われてしまった。TAMURAとしては、なんとしても藤波からベルトを奪還したい。が、まずはその前に息子を破り、あらためて奪還のチャンスをうかがうつもりなのだろう。藤波2世LEONAと、藤波と直接タイトルマッチを争ったばかりのTAMURA。藤波をキーワードにした新世代の闘いが、この試合最大の注目点だ。

そして、50周年イヤーの東京第1弾における藤波のカードは6人タッグマッチ。藤波はもちろんメインイベントへの登場で、新日本の歴史に名を刻む名タッグチーム“テンコジ”天山広吉&小島聡とトリオを結成。グレート・ムタ&白使&KAZMA SAKAMOTO組と対戦する異次元の闘いだ。

10・31大阪では天山&小島と対戦した藤波だが、今回はテンコジと同じコーナーに立ち、大阪で組んだ武藤敬司の化身・ムタと対する図式となった。武藤と組んでムタと闘う。なんとも豪華な2連戦の顔合わせだが、藤波とムタと言えば、いまから30年前の91年9・23横浜アリーナのメインで一騎打ちをおこなった経緯がある。試合ではムタが凶器での殴打からムーンサルトプレスを見舞いフォール勝ちを奪った。飛龍革命後に腰の負傷で長期欠場、90年9月に復帰しリングネームを辰巳から辰爾に改名、93年のLEONA(怜於南)誕生前と考えれば非常に感慨深いカードでもある。

ムタと組むのは新崎人生の化身である白使で、ムタとの競演も大きな見どころになるだろう。この2人にKAZMAが加わる。KAZMAは元WWEのスーパースター。白使はWWE、ムタはWCWをはじめ全米を席巻しただけに、海外で名を馳せたトリオはWWEホール・オブ・フェーマーの藤波の相手にふさわしいと言えるだろう。

藤波は15年にWWEの殿堂入り。レッスルマニアウィークでの式典に続き、WWE日本公演でもセレモニーがおこなわれた。また、日本においてもプロレス殿堂会が待望の発足、今年9月に初の式典が後楽園ホールで開催され、藤波は6人中唯一の現役として殿堂入りを果たしたのである。力道山のプロレスデビューから70年、藤波の現役50年はプロレス史に永遠に刻まれる偉業である。しかも現在2冠王。左足の蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症し欠場していたが、不屈の闘志で50周年ツアー開幕に間に合わせてみせた。それこそ「ネバーギブアップ」の精神で再び立ち上がったのだ。

大会には藤波ゆかりの選手が多数参戦。その顔ぶれからしても、藤波が日本プロレス史に刻んだ数々のレガシーが蘇る。11月9日後楽園ホール、不屈の闘志で闘い続けるドラゴンの雄姿を見逃すな!
(新井 宏)

イベント情報

『TATSUMI FUJINAMI 50th ANNIVERSARY THE NEVER GIVE UP TOUR PHASE-1 IN TOKYO』

 日時:11月9日(火)19:00開始
 会場:後楽園ホール(東京都)

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