尾上松緑、菩提寺・浄見寺を墓参し公演への思いを語る 『四月大歌舞伎』第一部『天一坊大岡政談』で大岡越前守を勤める

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2022.3.18
尾上松緑

尾上松緑

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2022年4月2日(土)に歌舞伎座にて初日を迎える歌舞伎座『四月大歌舞伎』。第一部では、通し狂言として『天一坊大岡政談』が上演される。この度、尾上松緑が茅ヶ崎市・浄見寺大岡越前守の墓参りをした模様がコメントとともに届いた。

茅ヶ崎市・浄見寺

茅ヶ崎市・浄見寺

初代神田伯山が得意とした人気の講談を元に河竹黙阿弥が書き下ろした『天一坊大岡政談』は、「天一坊事件」という天下を揺るがした実在の大事件が題材。天下の名奉行・大岡越前守に尾上松緑、悪の魅力溢れる天一坊に市川猿之助、天一坊の参謀役・山内伊賀亮に片岡愛之助が豪華共演し、クライマックスまで怒涛の展開で魅せる作品となっている。

3月17日(木)、大岡越前守を勤める尾上松緑が、神奈川県茅ヶ崎市にある大岡家の菩提寺・浄見寺を墓参。茅ヶ崎市では、毎年4月に名奉行を偲んで「大岡越前祭」が開催され、墓前祭、越前行列など様々な催しが行われているが、新型コロナウイルスの市内感染のまん延防止・感染拡大の防止という観点から昨年に引き続き今年も中止となったが、市の内外を問わず親しまれている。

テレビ時代劇や講談でもお馴染みの江戸時代の名奉行・大岡越前守。公正で機知と人情に溢れる見事な裁きは「大岡裁き」と呼ばれ、多くの人々に愛されてきた。1996年にはNHK時代劇「大岡政談 池田大助捕物帳」で祖父・二世松緑が大岡越前守、父・初世辰之助が池田大助を演じている。

茅ヶ崎市・浄見寺を訪れた尾上松緑は、本堂や大岡越前守のお墓の前で手を合わせ、4月公演に向けての思いを語った。

尾上松緑 コメント

ーーお墓参りを終えて

大岡様というと越前守の忠相を思い浮かべますが、本日、歴代の大岡家のお墓参りをさせていただいて、歴史と重みを感じました。自分が大岡越前守をさせていただくことがあるとは思ってもおりませんでしたので、非常に身の引き締まる思いです。「あいつに大岡を任せてよかったな」と思ってもらえる大岡越前守を勤めたいです。また、大岡忠相の息子・忠右衛門を私の息子である尾上左近が演じさせていただくので、「親子で勤めさせていただきます」というご挨拶ができました。本堂では、まさか大岡様の直筆の書(「所寶惟賢」)を拝見できるとは思いませんでした。大岡様らしい書で、あやかって東京に帰ったら改めて台本と向き合って役を作っていきたいと思います。

ーー大岡越前守のイメージ

『天一坊大岡政談』大岡越前守=尾上松緑 /(C)松竹

『天一坊大岡政談』大岡越前守=尾上松緑 /(C)松竹

歌舞伎では、尾上菊五郎のお兄さん、(十二世)市川團十郎のおじ、中村梅玉のお兄さんなど尊敬する先輩方が演じられてきた重要な役。時代劇では加藤剛さんや北大路欣也さんの印象があり、私が生まれる前には「大岡政談 池田大助捕物帳」という時代劇で父が池田大助を、祖父が大岡越前守を勤めています。今回、師匠でもある菊五郎のお兄さんからは、「自分なりの大岡を作るように」と言っていただきました。私は演じる年齢が皆さんに比べて若いので、その分、颯爽と爽やかに勤めたいと思います。大岡越前守は曲がったところのない、理知的で、真っすぐな人物。久しぶりにど真ん中の正義を一か月貫いて演じたいと思います。

ーー天一坊を演じる市川猿之助、山内伊賀亮を演じる片岡愛之助との共演について

お二人とも気心の知れている仲なので、心配はありません。来月の共演を楽しみに、3人で良い舞台を作っていければと思います。大岡越前守として、きっちりと猿之助さん、愛之助さんを裁きたいと思います!

ーーお客様へ向けてメッセージ

まだまだ大手を振って劇場にいらしてくださいとは言えない状況ですが、観に来てくださった方には、芝居をご覧になっている間は、コロナのことや世界情勢のことなどを忘れていただけるような爽快な物語を猿之助さん、愛之助さんはじめ皆さんと作っていきたいと思います。

『四月大歌舞伎』は歌舞伎座にて、4月27日(水)まで上演。

公演情報

『四月大歌舞伎』
■日程:2022年4月2日(土)~27日(水) 休演 11日(月)、19日(火)
■会場:歌舞伎座
 
【第一部】午前11時~
 
河竹黙阿弥 作
奈河彰輔 補綴

通し狂言天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)
紀州平野村お三住居の場より大岡役宅奥殿の場まで
 
大岡越前守:尾上松緑
山内伊賀亮:片岡愛之助
池田大助:坂東亀蔵
平石治右衛門:中村歌昇
下男久助:坂東巳之助
下女お霜:坂東新悟
近習金吾:市川男寅 
同 新蔵:中村鷹之資
嫡子忠右衛門:尾上左近
藤井左京:市川青虎
名主甚右衛門:市川寿猿
お三:市川笑三郎
伊賀亮女房おさみ:市川笑也
赤川大膳:市川猿弥
僧天忠:市川男女蔵
吉田三五郎:中村松江
大岡妻小沢:市川門之助
天一坊:市川猿之助

【第二部】午後2時40分~
 

真山青果 作
真山美保 演出
齋藤雅文 補綴・演出

江戸絵両国八景
一、荒川の佐吉(あらかわのさきち)
 
荒川の佐吉:松本幸四郎
丸総の女房お新:中村魁春
お八重:片岡孝太郎
極楽徳兵衛:中村亀鶴
大工辰五郎:尾上右近
櫓下の源次:大谷廣太郎
あごの権六:中村吉之丞
茶屋女房おかつ:中村歌女之丞
白熊の忠助:嵐橘三郎
鍾馗の仁兵衛:松本錦吾
隅田の清五郎:市川高麗蔵
成川郷右衛門:中村梅玉
相模屋政五郎:松本白鸚

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
所作事 時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)
 
源義経:中村梅玉
鷲尾三郎:中村鴈治郎
白拍子園原:中村壱太郎
同 帚木:中村種之助
同 伏屋:中村米吉
同 雲井:中村虎之介
白拍子三芳野:中村扇雀
傀儡師輝吉:中村又五郎

【第三部】午後6時20分~
 
森 鷗外 原作
宇野信夫 作・演出

一、ぢいさんばあさん
 
美濃部伊織:片岡仁左衛門
下嶋甚右衛門:中村歌六
宮重久右衛門:中村隼人
宮重久弥:中村橋之助
久弥妻きく:片岡千之助
戸谷主税:片岡松之助
石井民之進:片岡亀蔵
山田恵助:河原崎権十郎
柳原小兵衛:坂東秀調 
伊織妻るん:坂東玉三郎
 
二、お祭り(おまつり)
 
芸者:坂東玉三郎
若い者:中村福之助
同:中村歌之助
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