新国立劇場、2021/2022シーズン フランス・オペラからドビュッシーの傑作『ペレアスとメリザンド』を上演

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2022.5.12
『ペレアスとメリザンド』 エクサンプロヴァンス音楽祭公演よりcPatrick Berger/ArtComPress

『ペレアスとメリザンド』 エクサンプロヴァンス音楽祭公演よりcPatrick Berger/ArtComPress

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2022年7月2日(土)~7月17日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、2021/2022 シーズンオペラ C.A. ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』新制作が上演される。

大野和士芸術監督4年目の2021/2022シーズンの締めくくりは、大野の注力するフランス・オペラから本作が登場。フランス印象主義の作曲家ドビュッシーの唯一のオペラ。独自のオペラを目指したドビュッシーは独特の語法を用いて、メーテルリンクの戯曲に描かれた光や水、霧や風といった自然の息吹を色彩感と陰影に富んだ音楽で表現し、フランス語の韻律と音楽を融合させて、登場人物の苦悩や感情の起伏を抑制したタッチで濃密に描いた。閉鎖的な城の愛憎の日々の物語が神秘的、象徴的に緊張感のうちに綴られ、幕切れでは後奏がもたらす静けさがドラマを浄化する。

演出のケイティ・ミッチェルは演劇大国イギリスで演劇、オペラの演出で活躍し、独自の感性と論理がもたらすリアリティが高く評価される演出家。ミッチェルの『ペレアスとメリザンド』は、近年最も尖ったオペラが上演されることで注目されるエクサンプロヴァンス音楽祭で2016年に初演された。このプロダクションでは、中世の架空の城を舞台とした象徴的な物語が、ある一家へやって来た女性の密室の夢想となって、現代的なドラマに蘇る。ミッチェルは原作の象徴的なイメージを活かした神秘的な空気を基調としながら、現代的な女性観とリアリズムに基づく鮮やかな解釈を提示し、今日の名演出と絶賛を博した。イギリスきっての先鋭的な活動で知られるケイティ・ミッチェルの秀逸な舞台は、すべての舞台芸術ファン必見だ。

また、大野和士芸術監督自らが指揮する本作には、新世代を代表するテノール、ベルナール・リヒター、フランス音楽の旗手として活躍し、世界中でメリザンドを歌っているカレン・ヴルシュ、パリ・オペラ座やメトロポリタン歌劇場、英国ロイヤルオペラで活躍するバリトン、ロラン・ナウリら、『ペレアスとメリザンド』の世界随一の歌い手であり、大野と共演を重ねる信頼厚い歌手たちが世界から集結。浜田理恵、妻屋秀和らの日本人歌手も大野和士自信のキャスティング。今望みうる世界最高の布陣による『ペレアスとメリザンド』は、音楽ファン必聴の公演となっている。

エクサンプロヴァンス音楽祭公演よりcPatrick Berger/ArtComPress

エクサンプロヴァンス音楽祭公演よりcPatrick Berger/ArtComPress

 
<あらすじ>
【第1幕】
狩の途中で道に迷ったゴローは、水辺で泣く女性メリザンドを見つけ連れて帰る。半年後、ゴローは異父弟ペレアスへ、祖父の老王アルケルから結婚の許しを得て欲しいという手紙を送る。王はゴローの新しい妻を迎え入れることとする。城にやって来たメリザンドとペレアスが出会い、二人は彼女の乗ってきた船が去る光景を見つめ言葉を交わす。
ペレアスは庭園の「盲人の泉」にメリザンドを誘い、その力について語る。メリザンドはゴローからの結婚指輪を泉に落としてしまう。その瞬間、ゴローは森で落馬し深手を負っていた。居室で夫を介抱するうち、メリザンドはこの城では心が休まらないと訴える。その時妻の手に指輪がないと気付いたゴローに激しく追及され、メリザンドはゴローの息子イニョルドに貝を拾っているうち失くしたと嘘をつく。ゴローの命令で、メリザンドはペレアスを伴い、恐怖に震えながら海辺の洞窟へ赴く。
月光の晩、寝室でメリザンドが髪を梳くと、通りかかったペレアスはその長い髪に陶然となる。そこへゴローが来て、二人の振る舞いを責める。翌日、ゴローはペレアスを地下に連れて行き、身重のメリザンドを刺激しないよう言い渡す。ゴローはイニョルドに、ペレアスとメリザンドの様子について詰問し、母の寝室を覗くよう強要する。

【第2幕】
アルケルとメリザンドが語る部屋へ、嫉妬心に駆られたゴローが来て、妻の髪を掴んで引き倒す。夜、いよいよ旅立つというペレアスに請われ、メリザンドは泉に赴く。月光の下で二人はついに愛を告白し、口づけを交わす。そこへゴローが現れ、ペレアスは殺される。
逃げ延びたメリザンドは女の子を産み落とし、死の床にあった。ゴローは妻に許しを請いながらも、弟との関係を執拗に問い始める。メリザンドから真実が語られることはない。アルケルがゴローを制し、赤子をメリザンドに抱かせようと渡す。メリザンドが息を引き取り、皆取り残される。

※本プロダクションでは2部構成で上演されます。

 

公演情報

新国立劇場 2021/2022 シーズンオペラ
C.A. ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』新制作
Claude Achille DEBUSSY / Pelléas et Mélisande
全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉
 
日程:2022年7月2日(土)~7月17日(日)
会場:新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約3時間30分(休憩含む)
 
スタッフ:
【指揮】大野和士
【演出】ケイティ・ミッチェル
【美術】リジー・クラッチャン
【衣裳】クロエ・ランフォード
【照明】ジェイムズ・ファーンコム
【振付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史
 
キャスト:
【ペレアス】ベルナール・リヒター
【メリザンド】カレン・ヴルシュ
【ゴロー】ロラン・ナウリ
【アルケル】妻屋秀和
【ジュヌヴィエーヴ】浜田理恵
【イニョルド】九嶋香奈枝
【医師】河野鉄平
 
【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
 
共同制作:エクサンプロヴァンス音楽祭、ポーランド国立歌劇場
Co-production with the Festival d'Aix-en-Provence, Teatr Wielki - Polish National Opera
 
料金】 S:27,500円 ・ A:22,000円 ・ B:15,400円 ・ C:8,800円 ・ D:5,500円・ Z:1,650円
【前売開始】 2022年5月21日(土)
※新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式を考慮した演出により上演いたします。
※招聘キャストにつきましては、出入国制限の状況により変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
 
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