有華の「Partner」がTikTokなどで大反響、その話題の裏側で苦しみながらたどり着いた現在地「私の歌は一生終わらない」

2022.6.17
インタビュー
音楽

有華 撮影=日吉”JP”純平

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6月22日にEP『Stamp Rally』をデジタル配信する、シンガーソングライターの有華。自分にとって大切な存在について歌った収録曲「Partner」がTikTok、InstagramなどのSNSで大反響となり、多くリスナーがその心温まる楽曲の世界観に感情が揺さぶられた。しかし『Stamp Rally』の全曲を聴くと、良い意味でその印象は変わるはずだ。人生は決して幸せばかりではないこと。そんななか、どうやって前に進んでいくか。有華のリアルな気持ちが描かれた全6曲。7月14日に梅田CLUB QUATTROからスタートする『有華ワンマンツアー 2022「Stamp Rally」』のことも含めながら、同EPについて話を訊いた。

有華

「実際に元カレに対していだいた感情」を素直に歌っている

――TikTokなどでは、EPのリードトラック「Partner」にあわせて、ユーザーが自分にとって大切な存在を映したり、幸せそうに踊ったりする動画が急増していますね。すごくハッピーな現象が起きている一方で、EPの全体像は実はめちゃくちゃシビアな構成になっているという。

そうなんです。「Partner」を聴いて「かわいい曲」という感想を持ってもらえていますが、でもEPとしては後半になるにつれて圧がかかってくるというか。「一蓮星」で遠距離の恋愛関係を描いて、「Merry me」で女性から「結婚したい」と。そうやっていろんなことを乗り越えてパートナーになったけど、「サヨナラのはじまり」で1度別れて、「終わらない唄」にたどりつく。このEPは何かを決意をする日、つまりアニバーサリーがコンセプトであり、ひとりの20代女性の生き方についての物語にもなっているんです。

――「Marry me」で<2人で歩んでこう forever>と歌い終わって、次の「サヨナラのはじまり」でいきなり<ねぇ 私のどこがそんなにダメだった?>は落差が激しすぎますよ(笑)。

世の中、急に何が起こるか分からない……みたいな(笑)。「サヨナラのはじまり」はかつて付き合っていた相手が結婚してしまうことがテーマ。曲の最後には「私よりも幸せにならないでね」という素直な気持ちを歌っています。実はこれって、私自身が実際に元カレに対して抱いた感情で(笑)。根拠はなにもないんですけど、なぜか自分の方が先に結婚するものだとばかり考えていたから、余計に複雑な感情になったんです。好きだったのにフラれちゃったことも大きくて、納得できる別れじゃなかったから。

有華

――そういえば1stミニアルバム『キミノサプリ』でインタビューをさせてもらったとき、「フる側ですか、フラれる側ですか?」と逆質問されました。「フるか、フられるか」ということが有華さんのなかで非常に大きなものなんですね。

自分はフラれる側ばかりだし、そうなるとどこかで被害者的な気持ちになっちゃうんです。それでも今はちょっと成長したところがあって、だから「サヨナラのはじまり」のような曲を作ることができたんです。相手に「幸せになって」とは言えないけど、「私はあなたよりも幸せになるよ」と前向きにはなれるという。ただ、そうやって自分を主人公にして音楽を作るってことは、良くも悪くも自分を悲劇の主人公のようにしちゃうのかも。「終わらない唄」も、誰もいないステージの上にスポットライトがパッとあたって、そこに高2の自分が立って歌い始めるような、そんなイメージが浮かび上がって曲ができあがったので。

「2019年の自分の写真を見ることができなくなった」

有華

――今回の『Stamp Rally』というタイトルにもあらわれていますけど、有華さんはかつて自分が好きだった人やその思い出を形に残していくタイプなのかなと。YouTubeでお話ししていらっしゃった好きな恋愛ソングも、そういう曲ばかりあげてらっしゃいましたし。ずっと引きずって生きちゃう、みたいな。

幸せだった分、たくさん傷つけられることも当然あるし、もちろん私も相手を傷つけていたかもしれない。そう考えているから、色濃く残ってしまうのかもしれません。思い出は美化されるところがあるけど、いろいろ振り返ってみるとやっぱり傷ついていることの方が多い気がしていて。

――今回のEPは「Partner」のようなハッピーな曲で固めることもできたはずだけど、そうしなかったのは、有華さんのなかで「人生って幸せばかりじゃないよ」とあらためて言いたかったんだろうなって。

そうそう。恋愛だけではなく、どんな物事でも楽しいことと一緒に苦しいことも続いていくんだよと。それを自分にも言い聞かせています。「終わらない唄」を最後の曲にもってきた理由も、まさにそういう想いがあらわれているんです。私は上京して1年が経ったのですが、コロナの影響もあり、音楽生活をはじめてから1番苦しい時期になりました。「何で歌っているんだろう」とすごく考えこんじゃって。一方で、「こうやって悩んでいるけど、私はきっとこれからも歌い続けるはず。私の歌は一生終わらないんだ」とどうにかして伝えていきたくなりました。

有華

――特に有華さんは、ライブでもお客さんとのコミュニケーションを大切にしていますもんね。

今まではライブ中もお客さんと喋ったりするのが当たり前だったけど、コロナ禍でそれができなくなったじゃないですか。それ以前にライブができない状況にもなってしまい、みんな離れて行っちゃうんじゃないかとものすごく不安になっていました。それまで、そんな風に考えることはなかったのに。だからなのか、2019年の自分の写真を見ることができなくなっちゃって。あのときは怖いものがないような感じで、「自分には音楽しかない」と純粋な顔ができていた。3年前のそんな自分の表情には、もう戻れない気がして……。だけど少しずつ「そういうことに惑わされちゃいけない。ちゃんと届いている人には、届いているんだ」と思えるようになりました。

「有華はこんな人間です、と知ってもらえるライブに」

有華

――先ほど、アニバーサリーという言葉が出てきましたが、有華さんは記念日とか大切にするタイプですか。

すごく大事ですよ! え、逆に大切じゃないんですか?

――忘れちゃうタイプです!

ダメ、ダメ、ダメ(笑)。確かに「7割の男性は記念日を気にしない」と聞いたことがあるんですけど。10代の頃は「付き合って何ヶ月記念日」「毎月、この日は記念日」みたいなのがありますよね。私もお相手がいれば、そうやって「何ヶ月記念日だね」と言うタイプ。逆に「忘れちゃった」は絶対にダメですよ! たとえ忘れていたとしても、それを口に出したら相手を傷つけることになる。「忘れた」と言っちゃうのは良くないですね。

――友人関係でも記念日は重要視しますか。

友人の誕生日は必ず意識しています。私、友だちのお祝いは絶対に誕生日当日にやりたいんです。前日や後日じゃなく。だからかなり前から誕生日当日の予定を押さえてもらうんです。ただ5月は誕生日の友だちが多くて、大変でした。ある日、午前中はこの人、午後はこの人みたいになっていましたから(笑)。私は誕生日を特に大切にしたいタイプなので、今回「バースデーソング ―2022 ver.―」を入れたんです。7年ぶりに新しく録り直して。

有華

――そんな『Stamp Rally』の楽曲群を引っさげて、7月14日から『有華ワンマンツアー 2022「Stamp Rally」』がスタートしますね。

以前から応援してくれているファンの方達は、今回「Partner」が広がったことにすごく喜んでくださっている。だからこそ今回のツアーで「いつもありがとう」と伝えたいし、初めましての方には「有華ってこんな人間です」ということを知ってもらいたいですね。あと、今までは東京公演のときは東京のバンド、大阪では大阪のバンドに演奏をしてもらう形だったのですが、今回はみんなが集結してひとつのバンドになっています。これは大きな見どころだと思います。

――先ほど、「上京してからの1年は何のために音楽をやっているのか分からない状態だった」とおっしゃっていましたが、すべてをぶつけられる機会になりそうですね。

やっとみんなに会えるなって……。出し切りたいですね。バンドもそうだし、お客さんも含めてみんなで作り上げたいです。私だけじゃなくて全員の想いが込められたようなライブしていきたいです。

有華

取材・文=田辺ユウキ 撮影=日吉”JP”純平

リリース情報

『Stamp Rally』
2022年6月22日(水)Release
【通販・ライブ会場限定盤】Stamp Rally(CD+Tシャツ)
サイズ :  M, L, XL
価格 : ¥5,000(税込)
https://shop.columbia.jp/shop/e/eyuka/

ライブ情報

『有華ワンマンツアー2022 「Stamp Rally」』
7月14日 (木) 梅田CLUB QUATTRO(大阪)   開場:18:00 開演:19:00
7月16日 (土) Drum Be-1(福岡)   開場:17:30 開演:18:30
7月22日 (金) 名古屋CLUB QUATTRO(愛知)   開場:18:00 開演:19:00
7月24日 (日) 渋谷CLUB QUATTRO(東京)   開場:17:30 開演:18:30
 
【料金】
全自由 ¥4,400 (消費税込・別途ドリンク代必要)
  • イープラス
  • SPICEインタビュー
  • 有華の「Partner」がTikTokなどで大反響、その話題の裏側で苦しみながらたどり着いた現在地「私の歌は一生終わらない」