趣里、橋本淳、じろう(シソンヌ)ら出演 山内ケンジが作・演出を務める『温暖化の秋 -hot autumn-』の上演が決定

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2022.7.14
(上段左から)趣里、橋本淳、岡部たかし、岩谷健司(下段左から)東野絢香、笠島智、じろう(シソンヌ)

(上段左から)趣里、橋本淳、岡部たかし、岩谷健司(下段左から)東野絢香、笠島智、じろう(シソンヌ)


2022年11月13日(日)~11月27日(日)KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて、KAAT×城山羊の会『温暖化の秋 -hot autumn-』が上演されることが決定した。

長塚圭史の芸術監督就任2年目となる2022-2023シーズンのシーズンタイトルは<忘(ぼう)>。長塚はこのシーズンタイトルについて、「人間は忘れる生き物。忘れるという罪を背負っているのかもしれません。時に自ら目を逸らし、積極的に忘れることもあります。(以下、略)」と話している。

2022年秋、<忘>プログラムのひとつとして、長塚が新作上演を委嘱したのが、劇作家・山内ケンジ。長塚自身、山内作品のファンのひとりであり、その魅力を、「我々が普段忘れかけている、あるいは忘れようとしている本能、本来隠しておくべき欲望、人間の負の部分を絶妙なユーモアで包んでいる」と語る。

山内ケンジによる演劇プロデュース・ユニット<城山羊の会>はこれまで、下北沢・三鷹を中心に演劇活動を行ってきた。山内氏の書き下ろし新作『温暖化の秋 -hot autumn-』を、ぜひ神奈川県民の皆さん、特に演劇を観たことが無い方に初めての演劇体験として観劇して欲しい、という長塚の強い希望で、この秋はじめて、神奈川県内での公演が実現する。

2004年に発足以来、ほぼ年に1〜2本のペースで作品を上演している演劇プロデュース・ユニット<城山羊の会>で作・演出を務める山内は、ソフトバンクモバイルの白戸家シリーズなど、話題のCMを数多く手掛けるCMプランナーであり、2015年には『トロワグロ』で第59回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・演出家だ。

昨年12月に上演された『ワクチンの夜』では、ワクチン接種後に発熱した主婦を主人公にするなど、時流を鋭く見つめて現代社会に鋭い洞察力を持ち、日常に潜む可笑しさがあぶり出されるコメディで話題を呼んだ。山内が得意とする軽妙なセリフの応酬。作品の中に生きる市井の人々の姿に、観客は自身や周りの人々を重ね、クスッと、そして大笑いしてしまう。

今作『温暖化の秋 -hot autumn-』では、城山羊の会の常連メンバーの俳優たちから、出演を熱望していた俳優たち、そしてオーディションによって新たに出会った俳優たちまで、バラエティに富んだ出演者が顔を揃えた。

<城山羊の会>作品のファンのひとりで、舞台はもちろん、テレビ・映画と幅広い活躍で存在感を示す女優・趣里は、KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『オレステスとピュラデス』(杉原邦生演出)以来、KAAT主催公演に2度目の出演となる。また、山内作品へは3度目の出演となる橋本淳、<城山羊の会>作品になくてはならない役者・岡部たかし岩谷健司に加え、俳優としても活躍する、お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうがどのような役どころで登場するのかも、期待したい。

【あらすじ】
女は、男を好きで結婚したいと思っている。
ところが男は別の女と二股をかけていた。
女は悲嘆に暮れた。
暮れながら、女は、あたしはなんて感情が豊かなんだろう、と驚きつつ、自死することにした。
それはよくない、と言う者や、男に復讐するべきだ、と言う者がいた。
女は自死するのはやめ、復讐について考えるようになった。
復讐を考えている自分が嫌いじゃない、と思った。
あなたは、もともとあの人を好きではなかったのでしょう、と男が二股をかけた女が言った。
女は言われてドキリとした。
復讐はやめた方がいい、と言う者が現れた。


KAAT 神奈川芸術劇場芸術監督 長塚圭史 コメント

神奈川県でも山内ケンジさんの作品を観たい。そんなシンプルな思いから始まりました。どういう演劇が生まれるのかはまだわかりません。山内作品は、まず俳優があり、題名が生まれ、未知なる会話が紡がれていくのです。それは作者の現在を捉える瞳を映す鏡のようでもあります。山内作品が面白いのは、私たちが日常生活で表に出せない、あるいは胸の内に抱えていても忘れようとしている期待や欲望が鮮やかに零れ落ちるからです。そして劇の終わりには一体どうしてこんなことになってしまったのかと途方に暮れ、きっとまた次も観ようと中毒化していくのです。
まだ劇場に訪れたことのない方も是非。照れくさいような演劇の先入観をきっと打ち砕いてくれます。ユーモアたっぷり且つヒリヒリとした大人の会話劇を存分にお楽しみください。

作・演出 山内ケンジ コメント

すみません! 要するにいつもホンが遅いのです。書いている途中で考えすぎてしまうからです。
昔はあんなに毎日が楽しかったのに、なぜ今はこんなにつらくて大変な日々なのだろう、などと考えてしまいますね。コロナにも疲れた。それから「正しいこと」にも疲れています。
なぜ疲れるのか。乳酸がたまるかららしいです。その一方で、乳酸と似た「失恋」の感情を思い出さない訳にはいきません。失恋の苦しさ悲しみを、もはや忘れているからです。『温暖化の秋』は、その感情をただただ見つめる話になります。
言うまでもなく、こういう小さな話は、客席五十人ほどの場所でひっそりと上演されるのが通常です。しかし今回、長塚圭史さんから光栄なるオファーをいただき、このような立派な建物の上の方で行わせて頂くことになりました。
果たしてご期待に沿う事ができるのか不安なので引き返したい気持ちも正直あるのですが、ここまで来たからには、素晴らしいキャストのみなさんと一緒にどのような風景の場所に辿り着くのか、見届けてから家に帰りたいと思っています。よろしくお願いいたします。

出演者 コメント

■趣里 
心の奥を覗かれているような、これでもか、という"人間"を感じる山内さんの作品が大好きで、その中に入ることが長年の夢でした。
本当に光栄に思っています。楽しんでいただけるよう、全身全霊で向き合いたいと思います。

■橋本淳
今作への参加、心の底から嬉しく、様々な感情が方々へ迸っております。
いつも山内さんからのオファーは、
「あっちゃん、3年後くらいのここらへん、何してますか?」
と会話の途中に挟み込まれる、このようなフワッとした、やり取りから始まります。そこから、正式なオファーが来るのを、今か今かと毎回待ち侘びてる日々は贅沢な過ごし方。そして新作の台本が、日毎に1ページ1ページ渡される、あの楽しみで待ち焦がれる垂涎な日々を過ごせると思うと、幸せで仕方ないです。
つまりは、山内さんからは、いつも生活をも、満たしてもらえるのです。細やかな難しいやり取りを体現し、その対価として、今回も満たされるよう、きちんと努めます。

■じろう(シソンヌ)
城山羊デビューは2013年。初観劇後、その面白さに衝撃を受け物販で売られていた脚本を全部買って帰りました。毎公演楽しみながらも、自分がここに立てたら何ができるだろう、などと考えながら観るようになりました。なので昨年このお話を頂いたときは飛んで喜びました。もっと面白くなりたいんです。感覚的には海外挑戦に似た気持ちです。今スポーツニュースを見ながら書いてるせいもあります。海外でやれるのか、すぐ帰国するのかわかりませんが、貴重な経験になることだけは間違いありません。監督に泣かされないかだけが心配です。成長して帰ってきたいと思います。

公演情報

KAAT×城山羊の会
『温暖化の秋 -hot autumn-』
 
作・演出:山内ケンジ
出 演:趣里 橋本淳 岡部たかし 岩谷健司 東野絢香 笠島智 じろう(シソンヌ)
 
日程:2022年11月13日(日)~11月27日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>

発売:2022年9月上旬(予定)
お問合せ:かながわ 0570-015-415(10:00‐18:00) https://www.kaat.jp
公式サイト: https://www.kaat.jp/d/ondankanoaki

主催・企画制作:KAAT 神奈川芸術劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会 
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