『わけあって絶滅しました。展』に生き物大好き小学生が行ってみたーー化石や標本に触れ、ロボットやVRで体感する、大はしゃぎな1日
-
ポスト -
シェア - 送る
『わけあって絶滅しました。展』ステラーカイギュウのマスコット人形と一緒に 撮影=黒田奈保子
わけあって絶滅しました。展 2022.7.22(FRI)~9.4(SUN) 大阪南港ATCホール
シリーズ累計90万部を突破する大人気図鑑『わけあって絶滅しました。』(丸山貴史著)が、初の大型展覧会『わけあって絶滅しました。展』として、9月4日(日)まで大阪南港ATCホールにて開催中。会場では古生代~新生代の時代ごとに、絶滅動物の貴重な化石や標本などを展示。生きたカブトガニに触れられる体験コーナーや「絶滅しそうで、してない」貴重な動物の生態展示なども展開。今回は動物が大好きな小学生と一緒に、夏休みの自由研究にもぴったりな、楽しみながら学べる展覧会の様子をお届けする。
(同展の展示品の制作も手掛ける海洋堂の塗装、造形師の古田悟郎や、子ども向けにも解説された著書の丸山貴史へのインタビューも要チェックを)
まず入口で出迎えてくれるのは「やさしすぎて絶滅」した、ステラーカイギュウのマスコット人形。『わけあって絶滅しました。』でも一番はじめのページで紹介されている生き物だ。図鑑に掲載されていたイラストから、そのまま飛び出したようなビジュアルにさっそく釘付けになってしまう。
会場に入ると、絶滅動物に関するプロローグから展示がスタート。生き物たちが絶滅したキッカケについて、分かりやすいイラストとともに紹介されている。実際の図鑑にも掲載されているページを拡大したものだが、『わけあって絶滅しました。』を読んでいない人にもわかりやすく、ふりがなもふられているので小学生もしっかりと読みこむことができる。
メイン展示に入る前に手にしてほしいのが「かんしょうのーと」だ。子ども限定で、1人1冊無料でもらえるノートには会場マップのほか、絶滅動物についてのクイズや展示の感想を書くページがある。これをもって展示を巡れば、より分かりやすく、さらに夏休みの自由研究にも使えるそうなので、お忘れなく!
「歯が弱くて絶滅」したアノマロカリス
まずは古生代の生き物たちにまつわる展示エリアへ。目の前に飛び込んできたのは、「歯が弱くて絶滅」したアノマロカリスと「デコりすぎて絶滅」したオパビニアの巨大ロボットだ。いきなりロボットの展示? しかも巨大化!? とズッコケそうになったが、子どもは大喜びでロボットの周囲をグルグル回っている。「ほんまにこんな動きしてたん?」、「めっちゃ派手やなー」、「なんで? なんで?」と想像力を膨らませながら展示を眺めていた。
次に見つけたのは「背中の帆がじゃまで絶滅」したディメトロドンの全身骨格の写真。恐竜のようだが両生類でも哺乳類でもない、単弓類という分類の生き物で、見た目の奇抜さから子どもたちにも大人気。背中にずらりと並んだ帆の骨を観て、通りすがりの子どもがポツリと「これは確かに邪魔やわ」と呟いていた。鑑賞はもちろん、大人も子どもも一緒になって絶滅理由にツッコミを入れるのも楽しそうだ。
「首がむき出しで絶滅」したプシッタコサウルスの骨格標本
続いては中生代の生き物が集まる展示エリアへ。まず見つけたのは「首がむき出しで絶滅」したプシッタコサウルスだ。骨格標本はギリギリまで近づけるので、色々な角度から観ることもできる。ほかの多くの展示も驚くほど間近で鑑賞することができるので、お気に入りの場所から観察したり、スケッチをしたりと楽しみ方は様々だ。
VR双眼鏡で迫力満点、実物大のティラノサウルスの骨格標本
ひときわ賑わっていたのが、実物大のティラノサウルスの骨格標本だ。その大きさはなんと全長12m。しかもただの骨格標本ではなく、VR双眼鏡を覗くと目の前に、まるで生きているように動くティラノサウルスが現れるのだ。子どもも大人もみんな夢中になって双眼鏡を覗いていて、あまりの迫力にびっくりして手を放してしまう人もいるほど。スタッフが人が入れ替わるたびに手に触れる部分を消毒してくれるので、安心して体験できるのも良い。
「暑さや寒さにも弱くて絶滅」したティタノボアの実物大イラスト
展示はロボットや骨格、化石標本だけではない。新生代のエリアでは、「暑さや寒さにも弱くて絶滅」したティタノボアを80%サイズのイラストで展示。全長13m、直径1mもあったという、史上最大のヘビ。推定体重は1tを越え、今の地球で一番重いヘビ、オオアナコンダの5倍の重さだったという。イラスト展示だけ!? と思うが、それが実物大だと迫力もすごい。見た目はもはや、B級動物パニック映画に出てきそうなサイズで、これが新生代に実際に生きていたのかと思うと……正直怖い。
続いてのイラスト展示は「無敵すぎて絶滅」したメガテリウムだ。100万年以上前から南アメリカで生息していたという、体長6m、体重3tを越える最大最強の生き物。見上げるほどの大きさに驚いていたが、それ以上に驚いたのがこの巨大な生き物、食べ物はなんと木の葉で、ナマケモノの仲間だという。無敵だけどナマケモノ……、無敵だったらなんで絶滅したの? と疑問が出てくるが、それぞれ絶滅動物の展示には『わけあって絶滅しました。』の図鑑に掲載されているのと同じように、絶滅した「わけ」や生態にまつわる情報などが記載されたカードも併せて展示されているので、ぜひチェックを。
『わけあって絶滅しました。』シリーズのファンの子どもたちは、自分のお気に入りの絶滅動物を見つけると大はしゃぎ。図鑑はイラストで紹介されているが、展示では化石や骨格標本などよりリアルに生き物について知ることができる。記者の甥っ子のお気に入りはこのメガテリウム。「無敵」というワード、小学生男子には魅力たっぷりに写っているのだろう。会場入口で配布された「かんしょうのーと」にはメガテリウムを描きこんでいた。この絵、夏休みの絵日記にも使えそうだ。
会場は古生代、中生代、新生代と時代ごとに展示を展開。場内は広々としていて、各所で感染症対策も行われているので、安心して回ることができる。
展示のなかには超有名な絶滅動物たちも展示されている。「のろますぎて絶滅」したドードーだ。こちらはレプリカの展示だが、見た目はとてもリアル。子どもたちは「のろま」な理由をあーだこーだと考えながら、ドードーを眺めている。そこへ「鳥なら飛べばいいのに……」とツッコミを入れていたのは、記者の甥っ子。飛べない理由については図鑑『わけあって絶滅しました。』内に記載されているので、改めて図鑑を読みながら展示を回るのもいいし、もしかして別の絶滅理由があったのかも? と新説を考えてみるのも楽しそうだ。
「やさしすぎて絶滅」したステラーカイギュウの骨格標本
お次は『わけあって絶滅しました。』の表紙にも登場する、「やさしすぎて絶滅」したステラーカイギュウの骨格標本だ。図鑑では愛くるしいイラストで表現されているが、実際の骨格標本を観て驚いたのはその大きさ。大型化したジュゴンの仲間で、なんと体長8m! しかし食料として人間によって狩り尽くされ、わずか27年で絶滅してしまったという。
ステラーカイギュウが展示されているエリア周辺より、新生代・第四紀完新世から現代へと展示が変わっていくが、このあたりから絶滅の「わけ」に人間が関わってくる。これ以上、人間によって絶滅動物を増やさないためにはどうすればいいか。資源の無駄を減らして環境を変えすぎないようにするのか。実際に会場では、「人間は絶対に絶滅せーへんやんな?」と、お父さんを悩ませる質問をぶつける子どもの姿も。動物が絶滅した「わけ」や生き残る方法、地球を大事にする方法……、夏休みの自由研究のテーマにもできそうだ。
展示はいよいよ終盤にさしかかり、「絶滅しそうでしてない」動物たちの展示へ。「脳が小さくて生きのびた」ダチョウの展示ブースでは、本物の卵に触れることができる。「玉子焼き何個分?」、「ゆで卵にして食べたい!」など、子どもたちは初めて触る巨大なダチョウの卵に大興奮だ。
『わけあって絶滅しました。展』は体験型展示が多いのも特徴。「絶滅しそう 助けてください」の展示エリアでは、体を動かして学べるVRシアターが体験できる。「氷がすくなくなって絶滅しそう」なホッキョクグマを助けるべく、北極の地に降り立ってゲームに挑戦。これまでとは違う、ゲーム感覚で遊べる展示は子どもに大人気だ。
最後の「体験コーナー」では、「だらだらすごして生きのびた」カブトガニに触れられるブースが。水槽の砂のなかには小さなカブトガニがあちこちにいて、子どもたちは楽しそうに手に取っている。「生きている化石」として知られ、大昔からほとんど姿を変えていないカブトガニ。しかもカニと言っているけど、実はクモやサソリの仲間という衝撃の事実も知ることができた。子どもは珍しい生き物に触れられて大興奮だが、「え? クモなの?」と戸惑いを隠せない大人もいたりと、反応も人それぞれ。このコーナーではほかにも化石に触ることができたり、五感を使って生き物の生命を感じることができるので、最後までしっかりと楽しんでほしい。
展示は最後に物販コーナーへと続く。ここでは同展の展示品の制作などを手掛けた塗装、造形師の古田悟郎が所属する、海洋堂が手掛けたフィギュアなどのグッズを販売。『わけあって絶滅しました。』の図鑑に掲載されている動物たちの立体図鑑は思わず集めたくなるほどの精巧な造りだ。ほかにも「わけあって絶滅しそうなカレー。」なんていう気になるフードも。
また、会場では『わけあって絶滅しました。』シリーズ最新作となる絵本『わけあって絶滅したけど、すごいんです。』(1,430円)も販売。シリーズ初の絵本は、読むだけで地球の生物進化の歴史がザックリとわかり、巻末には「絶滅どうぶつ図鑑」や、広げると約1mになる巨大な「絶滅年表」もついてくる。小さな子どもから大人まで楽しめる内容になっているので、こちらもぜひチェックを。
今回の取材に協力してくれた甥っ子には、会場限定Tシャツと絵本『わけあって絶滅したけど、すごいんです。』を購入。ちなみにTシャツは大人サイズもあり、パパやママとおそろいにもできるので、最後にお財布のヒモが緩みそうです!
いまはもう地球にはいない絶滅動物、その絶滅の理由や生態の謎について知ることができる同展。実は著者の丸山貴史は、7月22日(金)に実施された夏休み特別教室でも「ほとんどの動物の絶滅した理由は、よくわかっていません」と語っている。古い時代ほど手がかりは少なく、これからの研究で新しい「わけ」が出てくるかもしれない。そして、いま地球にいる生き物もいつかは絶滅するかもしれない。それを防ぐためにはどうしたらいいのか。『わけあって絶滅しました。展』を通じて、考えてみてはどうだろう。
取材・撮影・文=黒田奈保子
関連記事
イベント情報
■会期 2022年7月22日(金)~9月4日(日) ※45日間 ※会期中無休
チケット特典の色違いメガテリウム (c)海洋堂 ※実際の商品とイメージが異なる場合あり。
※実際の商品とイメージが異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。
【特典】
・海洋堂の限定フィギュア
料金:2,300円
※無くなり次第終了
※商品は会場でのお渡しとなります。