OMS戯曲賞で高評価を受けた作品の再演

2015.12.28
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缶の階「客席編『椅子に座る女/椅子を並べる男』」(初演)

「生きる希望を見出された」と評された、劇場と演劇をめぐる物語。

先日行われた「第22回OMS戯曲賞」で、入賞こそ逃したけれど、審査員の渡辺えりに「谷間に咲くユリのような作品。これを読んで生きる希望を見出された」と絶賛された戯曲がある。かつて同戯曲賞で佳作を受賞したものの、その後長らく演劇活動を休止していた久野那美の、14年ぶりの新作「舞台編『ヒーローに見えない男/缶コーヒーを持つ男』客席編『椅子に座る女/椅子を並べる男』」だ。この作品は、1つの劇場で起こる2つの物語を、2本立てで見せたもの。「舞台編」では公演前に台本から削除された登場人物と、その人物を演じるはずだった俳優が舞台上で出会い、「客席編」ではある芝居の再演を待つ観客と、その劇の結末に不満を持つ登場人物が客席で対話をする。どちらもファンタジックな設定でありながらも、物語を作ること・芝居を作ることについて自然と考えをめぐらせる、しなやかな強さを持つ作品だ。

 

渡辺にそこまで言わせた作品がどんなものか? と気になった皆さん、実はこの作品、新年の始めに大阪で再演されることが決まっている。今回はタイトルを刷新するとともに、2つの作品を1本の芝居に再構成したそうだ。公演のサイトでは、今回の戯曲がウェブ公開(http://homepage2.nifty.com/floor/recan/daihon.pdf)されているので、時間があれば一読してはいかがだろう。生きる希望を見出すとまではいかなくとも、登場人物たちが動いている所を、その目で見たくてたまらなくなるかもしれない。

 
 
イベント情報
Recycle缶の階『話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。 今ここにないものの話ばかりしようと思った。』

■日時:1月7日(木)~10日(日) 7・8日=14:00~/19:00~、9・10日=11:30~/17:00~
■場所:パシフィック・シアター
■料金:前売3,000円 当日3,500円
■作・演出:久野那美
■出演:太田宏(青年団/カムヰヤッセン)、諸江翔大朗、七井悠、中村彩乃
■公式サイト:http://homepage2.nifty.com/floor/recan/