俳優・山崎一が主宰する劇壇ガルバ、第4弾公演は初の実験プロジェクト 新作『錆色の木馬』公演詳細決定(コメントあり)
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『錆色の木馬』 photo by Takashi Kato
俳優・山崎一が主宰する劇壇ガルバが、2022年11月13日(日)〜11月20日(日)SCOOL(東京都三鷹市)にて、新作舞台『錆色の木馬』を上演する。
劇壇ガルバの創立目的である「キャストやスタッフが能動的に創作に関わり共に作り上ること」。その活動を推進すべく初の実験プロジェクトが立ち上がった。
主宰が提示した問題意識やテーマをベースにワークショップを重ね、若手劇作家・山崎元晴が新作を紡ぎ出し、演出は着実にキャリアを重ね注目を集める文学座の西本由香が手がけ、山崎 一、土屋康平、大石継太が出演する。
今回選ばれたテーマは、「老人とアイデンティティ」。
高齢化社会において、日々退化する自分の肉体や思考力と向き合いながら、過去の自分と現実の自分とが交錯するひとりの男の姿を通して、テーマを掘り下げる。自分が属する、家族を含む団体、環境、居場所を失うことで、アイデンティティを見失うことは、もはや高齢者だけの問題ではなく、若年層の自殺問題も内包する現代日本が抱える普遍的なテーマだ。
客席数42席という小さな劇場で上演することで、観客とその問題意識を共有し、アフタートークイベントでのディスカッション、事後アンケートなど立体的に実施。今後の公演につなげていく。
本作は山崎元晴が書き下ろすオリジナル作品であるが、2022年1月に劇壇ガルバが上演した『THE PRICE』の中で山崎 一が演じた89歳の骨董家具鑑定士「ソロモン」からも着想を得ており、独特の可笑しみと悲しみを放つ、山崎一が造形した人物像を発展させる試みでもある。
山崎 一 コメント
山崎一 photo by Takashi Kato
還暦を契機に劇壇ガルバを旗揚げして、早くも5年。別役実、アーサー・ミラーと敬愛する作家の名作を取り上げ上演してきましたが、第4弾は、実験プロジェクト。劇壇メンバーによるワークショップを通して新作戯曲を完成させていく試みです。作家の山崎元晴は私の息子で、自身が主宰する劇団での作品を中心に活動し、また劇壇ガルバでは旗揚げから、演出部に参加してきました。演出家の西本由香(文学座)さんとは、2018年のこまつ座「父と暮せば」で鵜山仁さんの演出助手として参加していて知り合いました。堅実で信頼できる若手演出家のひとりだと思っています。ふたりには、実験なんだから完成品を提出しなければいけないとは思わないでほしい、チャレンジ精神を決して忘れないでほしいと言いました。
1公演に40人ほどのお客様しか入らない空間で、みんなで創り上げていく作品は、果たしてどんなものになるのか!いまからワクワク、ドキドキが止まりません!!
劇壇ガルバ主宰/出演:山崎 一 プロフィール
1957年、神奈川県出身。早稲田小劇場を経て小劇場を中心に活動。2018年劇壇ガルバを旗揚げ、『森から来たカーニバル』で演出を手がける。『シャンハイムーン』『父と暮せば』にて第26回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。『12人の怒れる男』(リンゼイ・ポズナー演出)『23階の笑い』(三谷幸喜演出)にて、第28回読売演劇大賞最優秀男優賞受賞。その他、最近の出演作では、『阿修羅のごとく』(木野花演出)『『THE PRICE』(桐山知也演出)『友達』(加藤拓也演出)『本当のハウンド警部』(小川絵梨子演出)『メアリスチュアート』(森 新太郎演出)『人形の家Part2』(栗山 民也演出)『ハムレット』(サイモン・ゴドウィン演出)『ワーニャ伯父さん』『陥没』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)など。
映画『シンウルトラマン』『科捜研の女〜劇場版〜』『決算!忠臣蔵』『アルキメデスの大戦』ドラマ『鎌倉殿の13人』『天使のリクエスト』『大富豪同心』『家政婦のミタゾノ』など。
作:山崎 元晴 プロフィール
山崎元晴 photo by Takashi Kato
小学校5年生の時、父・山崎 一が出演した舞台の楽屋で、故 井上ひさし氏から、「この国はふとしたことで暴走する。あなたのような若い人にそれを知っておいて欲しいのです。」と言われたことがきっかけで、劇作家を志す。
日本大学藝術学部演劇学科劇作コース卒業後、2017年劇団「人生旅行」を旗揚げ・主宰。
同年『ライオンの仔』(作・演出)『汽車からの眺望』(作)『霜月の非常』(作)、2018年『冷たい微熱/溺死する女神』(上演台本)『赤い水槽』(作・演出)。2019年新国立劇場×ロイヤルコートシアター主催劇作ワークショップ参加。2020年『錆色の木馬』(本作とは同名の別作品)(作・演出)、2021年『毎晩』(作・演出)が、いずれもコロナ禍により上演中止。劇壇ガルバには、旗揚げ公演より、演出部として参加。
演出:西本 由香 プロフィール
西本由香 photo by Takashi Kato
文学座演出部所属。日本大学藝術学部演劇学科演出コース卒。2018年12月『ジョー・エッグ』で文学座アトリエ初演出。
その他、近年の演出作品は、2020年『歳月』(作・岸田國士 文学座アトリエの会)『るつぼ』(作・アーサー・ミラー)、2021年『からゆきさん』(作・宮本研)『わが町』(S・ワイルダー)、2022年『お気に召すまま』(W・シェイクスピア)『病気』(作・別役実 名取事務所)。今後の演出予定作品は、劇団劇作家『世界が私を嫌っても』、2023年『黒い湖のほとりで』(作 デーア・ローアー)など。2019年1月から1年間、文化庁新進芸術家海外研修制度により渡独、マキシムゴーリキー劇場及びシャウヴューネにて研修。
出演:大石継太 プロフィール
大石継太 photo by Takashi Kato
1960年大阪府出身。1983年にニナガワ・スタジオ入団。『タンゴ・冬の終わりに』に出演。
その後、蜷川幸雄の演出にて『三人姉妹』『夏の夜の夢』『近松心中物語』などの作品に多く出演。劇壇ガルバには旗揚げ公演以来、全ての公演に参加。
『N I N A G A W A・マクベス』ほか。最近の出演作では、『薔薇と海賊』(大内直子演出)『THE PRICE』(桐山知也演出)『ヘンリー八世』(吉田鋼太郎演出)ドラマ TBS日曜劇場『DCU』 など
出演:土屋 康平 プロフィール
土屋康平 photo by Takashi Kato
1997年、愛知県出身。日本大学藝術学部演劇学科演技コース卒業。劇壇ガルバ旗揚げ公演に俳優として参加。その後も演出部として参加している。劇団「喜劇のヒロイン」主宰。2021年清水宏 主宰、ひとり芝居フェスティバルに参加。
第3回全国学生演劇祭 観客賞、 第7回ミノカモ学生演劇祭 大賞受賞。
ある部屋の中、いつの間にか無くなってしまった私物を探し続ける一人の年老いた男。
と、突然扉にノックがあり、演出助手だと名乗る若い男が入ってきて、「本番1時間前です」と告げる。寝耳に水の老人は混乱しつつも、ずるずると本番直前の楽屋に引き摺り込まれていく。
演目は「リア王」? 1時間後には幕があく!?
深まる混乱の中、さらにもう一人の男が現れ、事態は複雑さを増していく。
「誰でもいい、教えてくれ、私は誰だ?」