CRYAMY『RUSH BALL 2022』ライブレポートーーたった2曲のセトリで打ち立てた存在証明

レポート
音楽
2022.8.28
CRYAMY 撮影=瀧本JON…行秀

CRYAMY 撮影=瀧本JON…行秀

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『RUSH BALL 2022』CRYAMY

『RUSH BALL 2022』のATMCは、CRYAMYから幕を開けた。やや緊張したような面持ちでステージに現れたメンバー。低い声でぽつりと「おはようございます」と挨拶したカワノ(Vo.Gt)の弾き語りからライブはスタートした。やがてフジタレイ(Gt)とタカハシコウキ(Ba.Cho)、オオモリユウト(Dr)がジョイン。ゆっくりと4人の音を鳴らす。するとどんどん人が集まり、尖った表情を見せていたカワノがほんの少しだけ緩んだのが印象的だった。曲の後半は演奏もヒートアップ。サビではしっかり手が挙がり、一体感を見せていた。

CRYAMY

CRYAMY

MCではカワノが「今日2曲だけやって帰ります。25分なんで」と述べ、今日が夏の最後のライブだと話す。続けて「しんどかった夏でした」と、今年起きた事件や戦争を挙げて回顧。「ロックフェスでも人種差別だなんだ、ルールを破るだの守るだのなんだ、色々あって。僕には関係ないっちゃ関係ないんですけど、こうやって音楽をやってる者としては、他人事ではないなと思います」「既存の仕組みを壊すとか、ルールを破るとか、何かに歯向かうのがロックだというのであれば、僕は全然違うなと思ってます。ネットでも対面でも誰かのことを傷つける奴が大勢いますし、それに躊躇がない人も増えてきてる。何かを傷つける方向に向かうエネルギーはロックじゃない。じゃあ何がロックかと思うかといえば、例えば地震が起きて停電した時に友達や家族から電話がかかってくるでしょ。大丈夫か? と、そういう声を聞いて僕は嬉しいなと思う。そのことにまず気づかなきゃいけない。今日来た人全員にわかってもらおうなんて思ってはないんだけど、その人たちに向けて意思を投げかけること。それは間違いなく美しいと認識すること。その行動がロックなんじゃないかなと思います」と熱く語り、「世界」を轟音で繰り出した。長く続くセッション、フジタの魂を込めたギターソロ、がなるように声を振り絞るカワノのエモーショナルな姿に、オーディエンスは釘付けに。

CRYAMY

CRYAMY

約10分の曲が2曲と5分のMC。たった2曲のセットリスト。だが、CRYAMYというバンドの存在感を示すには十分すぎる。気迫と熱量、内包するロック性。バチバチにカッコ良いステージングで存在証明をしっかりと打ち立てたCRYAMYだった。

取材・文=ERI KUBOTA 撮影=瀧本JON…行秀

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