浦島坂田船「声出しを取り戻せてよかった、みんなに会えて本当によかった」　春ツアーファイナル・富⼭公演をレポート

浦島坂⽥船 Spring Tour 2023 彩-sai-
2023.4.16 富⼭県 富⼭オーバード・ホール

春を告げる、彩り豊かな歌声と躍動。

うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人からなるボーカルユニット・浦島坂田船が、2023年3月から4月にかけて全国12か所を巡るツアー『浦島坂田船 Spring Tour 2023 彩-sai-』を開催。ここでは、4月16日に富山・富山オーバード・ホールにて行われた最終公演の模様をお伝えする。

浦島坂田船の春ツアーといえば、“和”がコンセプト。キービジュアルそのまま、それぞれのイメージカラーを配したたすきがけも印象的な藍色の和洋折衷衣装をまとった4人が丁寧に歌をつなぎ、しなやかに舞った1曲目は、この春ツアーのテーマ曲「絶景」だ。メンバーカラーと重なる＜花萌葱＞＜今紫＞＜猩々緋＞＜黄支子＞、その4色が混ざり合って描かれる＜絶景＞に、どうしたって胸が高鳴る。

「ファイナル楽しんでいきましょう！」とうらたぬきが呼びかけたのは、和情緒とジャージーなテイストが融合する「燦然賛歌」。情熱のラテンテイストに艶っぽい歌声とダンスが映えた「フランマ」にしても然り、ステージに立つ4人の存在感はあまりにも鮮烈だ。

メンバーカラーを灯したペンライトを振り、マスク越しに声援を送るcrew（浦島坂田船ファンの呼称）に向け、「来てくれてありがとう！」と笑顔で手を振る4人。「今日はとことん俺ら色に染めてやるからよろしくな！」とうらたぬきが宣言して、着物の袖をひるがえしながらの華麗な舞い、うらたぬきのロングトーンでも魅せた「青く塗り替えろ！」へ。となりの坂田。が「今日はファイナルだろ、しっかりついてこいよ！」と煽った「花魁俺嵐コンフュージョン」では、志麻の呼びかけで観客も一緒に歌い、うらたぬき＆となりの坂田。、志麻＆センラが背中合わせになる場面も。ドSな口上といい、どれだけドキドキさせるつもりなんだ。

まさに＜踊らにゃ、損＞な「アワ・ダンサー」では、歌詞に合わせてうらたぬきがセンラを操ったり（!?）、志麻ととなりの坂田。が肩を組んだり。パンキッシュな「合戦」では、メンバーカラーに染まったフラッグをダンサーが振る中、うらたぬき＆志麻、となりの坂田。＆センラが仲良く隣り合ってジャンプしながら、crewとコール＆レスポンスしたり。すれ違いざまにタッチする4人の姿にも、なんだか嬉しくなってしまう。

「勝手ながら、ファイナルは一番迫力があってほしい。富山のみなさんが俺の中の一番であってほしい。なので、今日は全体的に爆発して最高の思い出を作りましょう！」と言って、特別バージョンのペンライトの振り方指南をするとなりの坂田。に全力で応えるcrew、その気合いの入り方に思わず「素晴らしい！」と驚嘆する4人。「共鳴コントラスト」では、ますます大きなコール＆レスポンスで一体感が高まり、となりの坂田。も「やればできるじゃん！」とご満悦な様子だ。

「ミダリニハルイロ」は、「絶景」と同じくこの春ツアーのテーマ曲であり、2023年4月にリリースされたばかりのシングル「SHINY」にも収録の軽やかなダンスナンバー。「返り咲」では4人が扇を手に華麗に舞いながら歌って、場内がますます素敵に春めいていく。

『全国12か所 ご当地クイズ』と題しツアーでまわる12都道府県を4人がクイズで学んだ幕間映像のあとは、コラボコーナーへ。うらたぬき×センラによるオトナモード全開な「Delicious」。サングラスをかけた志麻×となりの坂田。がワイルドなラップバトルも繰り広げた「RED」。うらたぬき×志麻がキャッチーなフレーズ＆振付を完璧にものにして沸かせた「マウントリタガール」。となりの坂田。×センラの伸びやかな歌声に聴き惚れた「絶頂讃歌」。志麻×センラの色気爆発、中毒性が高すぎる「SWEET」。うらたぬき×となりの坂田。による“近う寄れ”は破壊力がありすぎる「百花繚乱デンジャービーツ」。どんな組み合わせでも最強の相棒となる、それが浦島坂田船だ。

再び4人が揃った「Ring」、バンドメンバー＆ダンサー紹介のあとは、黒基調衣装から白のライダースジャケットに着替えて、「プレゼント」をcrewに届けた4人。富山でのライブは実に4年ぶりとのことで、前回の富山公演の思い出話に花が咲いたり、富山グルメに興味津々だったり。「飲めや 歌えや 踊れや 騒げ」では、くじ引きで当たりを引いた志麻が、歌っている最中に4人の似顔絵を大きなパネルになんと生お絵描き。そこには、「ファイナルありがとう！」「LOVE CREW」という言葉も添えられていた。自分たちも楽しんでcrewも楽しませて、浦島坂田船のライブは本当に多幸感と笑顔が絶えない。

スウィートなラブソング「ドラマティックノエル」では、うらたぬきがとなりの坂田。を、センラが志麻をバックハグしたり、志麻ととなりの坂田。が指を絡ませたり、うらたぬきがセンラをお姫様抱っこしたり、うらたぬきとセンラ、志麻ととなりの坂田。がそれぞれ手でハートマークを作ったり。2023年のバレンタインナンバー「10 CARAT CHOCOLATE」では、＜ピンクダイヤよりまばゆい＞美声で心奪ったり。とどめは、「Beetle Battle」だ。ピンクのライトに照らされた4人のセクシーダンス、うらたぬきの「最後までしようぜ？」、センラの「めちゃくちゃにしていい？」、となりの坂田。の「もう1回しようよ」、志麻の「2回目？ 好きやな」、志麻＆となりの坂田。、うらたぬき＆センラの抱擁と、刺激が強すぎた。

そして。crewの大歓声を浴び、「ライブが中止や延期になったり、みんなの声が聴けなかったりして辛い時期もあったけど、声出しを取り戻せてよかった、みんなに会えて本当によかった」と言って目に涙を浮かべたうらたぬき、「みんなの声援は力になるって実感したツアーだったね」と感慨深げなセンラはじめ、コロナ禍を経て戻ってきた声出しライブの喜びをあらためて噛みしめる4人。

「こうしてみんなから幸せをもらえるってわかってるから、大変な準備も頑張れます。春ツアー最後の曲、よかったらみんなも一緒に歌ってひとつになれたら嬉しいです」という志麻の言葉が導いたのは、5年前に発表された浦島坂田船にとって初めての春曲「そらに、ひらり」だ。4人のエモーショナルな歌声は、別れと出会いのドラマが数多生まれる春を温かに彩ってくれたように思う。

「千本桜 -guitar rock arrangement ver.-」でスタートしたアンコール。「楽しいだけで終わらせたらだめ、ちゃんと締めないと」と言うとなりの坂田。に、「そうやね、次の楽しいことのためにこの春ツアーをちゃんと終わらせないと」とセンラが同調、さらには「これから先もみんなと楽しい未来があるから」とうらたぬきが約束し、4人で声を合わせてタイトルコールしたのは「RAINBOW」だ。＜ずっとずっと 消えないRainbow＞をcrewの心にかけてくれた、2023年の春ツアー。最終公演で、まさしく掉尾を飾った浦島坂田船である。

文＝杉江優花
撮影＝小松陽祐（ODD JOB）

※ライブ写真は3月21日高崎公演のもの​