いま、クラシックがおもしろい! 亀田誠治×角野隼斗が語る、『スタクラフェス2023 ONLINE』特別ステージ『STAND UP ! NEW WAVE』~未来へ託したい想いとは
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◆スタクラのステージは “未来を委ねたい” 二人に(亀田)
亀田:今回、イープラスの橋本会長から、“亀田さんに委ねるからスタクラで何か新しいことをやってほしい”といわれて、これは僕が未来を委ねたい角野さんに出てもらうしかない!と。ちょうど同じ頃、挾間美帆さんとも知り合い、彼女も自分で切り拓く方ですから、その姿勢に感銘を受けていました。お二人の活動を見るうち、挟間さんと角野さんが一緒になったら、ちょっと今までの“お品書き”にないものが生まれるのではないかと思いついたのです。
角野:お話をいただいて、本当に嬉しかったですね。挾間さんとは去年11月、BBCプロムス・ジャパンの日本人作曲家の作品を集めた公演で、彼女のピアノ協奏曲の1楽章を演奏したとき初めてお会いしました。その後もニューヨークで飲みに行く機会はあって、いつか一緒に何かできたらいいなと思っていたんです。
亀田:そうしたら僕から話が飛んできたと。心を開いて常に新しいことを考えているお二人がステージに集ったら、すごい化学反応と新しいことが起きるに違いないと思って、「STAND UP ! NEW WAVE(スタンドアップ・ニューウェーブ)」というタイトルをつけました。僕はプロデューサーとはいえ、普段は何かしらの形でステージに立つのですが、今回はその必要はないと感じています。実はこういうことは初めてなんです。
オンラインでしたミーティングも、初回から一気に話が進みましたよね。
角野:あれはいいミーティングでしたね、具体的にやってみたい曲もそれぞれからすぐに出てきて。僕はカプースチンのトッカータOp.8がやりたいと提案しました。実はこの曲、動画はあるけれど楽譜がないので、耳コピをしなくてはいけなさそうで……。
亀田:あれを耳コピするの!?
角野:はい、ちょっと大変なんですけれど(笑)。それから挟間さんはラヴェルのピアノ協奏曲をビックバンド版で書いてみたい、ただスケジュールが厳しいとおっしゃって。
亀田:そう、僕は仲人としてこの話が“破談”になったら困ると思って、みんなでサポートしますから大丈夫!と画面に向かって必死に説得して(笑)。ただあのとき、二人が“ラヴェルのピアコン”って言っていたんですよ。最初、ピアコンてなんだろう?と思ったんだけど、ピアノコンチェルトのことだと気づいたときに、うわぁ、これが子供の頃からクラシックの音楽教育を受けてきた人たちの文化なのかって、ちょっとジェラシーを感じましたね(笑)。
角野:そこですか(笑)。
亀田:演奏されるのはビックバンドアレンジだけれど、ちゃんと元の作品を知っておこうと、あれから“ラヴェルのピアコン”のスコアも買いましたから! 僕、挟間さんがこの曲を挙げた瞬間、角野さんがバァッとピアノを弾いている画が見えたんです。疾走感があって本当に素敵な曲ですよね。2楽章はとにかく美しいし、終盤はまるでウエストサイドストーリーのようなミュージカル風の雰囲気がある。
角野:ジャズの影響をかなり受けている作品なので、実際そういう雰囲気になると思います。それにしてもあの曲をビッグバンドのアレンジにしようだなんて、普通に生きていたら思わないですよ。そのあたりはさすが挟間さんで、ものすごくおもしろい(笑)。
この前ニューヨークで一緒にピアノを弾きながら打ち合わせをしたのですが、1楽章のこのあたりはビッグバンドを全面に出してスウィングさせていこうとか、3楽章もかなり自由にやってみようという話をしていて。一方の2楽章については、あれはもう変えられないよねという話になったので、だいぶ原曲に近い形になると思います。
>(NEXT)世代は違えど方向は同じ。クラシックがおもしろくなってきた!